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なんでドーピングってダメなの?

始めに申し上げますが僕はアンチドーピングです。

しかし昨今の筋トレYoutuberやインフルエンサー、フィジークに出ている人、多くの人がステロイドユーザーであると思っています。

確信のある情報ではありませんし、誰がステロイドユーザーで誰はナチュラルだなんて議論は終わりがないし無駄なのでしません。

しかし「覚悟がある人間はステロイドを使っても問題ない」「個人の健康の話なんだから他人がどうこう言う問題じゃない」「暗黙の了解だ」なんて言う人はハッキリ言いますが自己中心的で、短絡的で、思慮が浅いと言わざるを得ません。

以下に理由と僕個人の考察を書いていきます。

死のチキンレース

今現在ドーピングを公認している団体はごく僅かです。しかしボディビルやフィジークの大会は黙認している(とされている)団体は山ほどあります。

なぜ公認しないのでしょうか。

理由はスポンサーのイメージ悪化を防ぐためです。

仮の話だとして、もしどこかのボディビル大会でドーピングを公認し、尚且つ優勝賞金も1億円もらえる様な大会があったらどうなるでしょうか。

優勝するには筋肉量が必要です。しかも1億円もらえるのであれば出場者はかなり無理をしたドーピングをするのは明白です。「この薬を打てば1億円もらえる可能性が上がるけど、健康のリスクは上がるよ?」って言われたら皆さん薬を打ちませんか?

そうすると「ボディビルの大会」「健康リスクをどこまで背を得るか大会」に早変わりです。行き過ぎたドーピングは選手の健康を蝕み、死にも至る可能性すらあります。

死のチキンレースです。

まるで中世のコロッセオですね。コロッセオでは奴隷がライオンと闘い、食べられる様子を観客は娯楽として楽しんでいた様で。ボディビルもドーピングを認可すれば死を恐れずに競技に立ち向かう愚か者たちの生死をかけたエンターテイメントショーの出来上がりです。

さて、皆さん。もしこの様な大会を開いている会社やスポンサーがあるとしたら彼らに対してどのように思いますか?

僕は嫌悪感しか感じないです。選手に命を賭けさせ、注目を集め、お金を得る。この様な行為を世間は許すでしょうか。

おそらく世間は許さないでしょう。スポンサー企業、団体のイメージは最悪です。だから多くの団体ではドーピングを認可していませんし、認可している団体へはスポンサーが集まらず団体が拡大していきません。

これが多くの世界的スポーツ団体がドーピングを禁止している理由です。

ただ残念なことにスポンサーを集めるために「ドーピング禁止」を明言しているが検査を行わないボディビル、フィジーク団体はあります。その様な団体に所属している人、大会に参加する人は大体ステロイドユーザーです。FFMIがとんでもない数値の人らがゴロゴロいます。

(FFMI…身長と体重、体脂肪率から算出するどれくらい筋肉量があるかの指標。https://calculator.jp/health/ffmi/ こちらで計算可能)

しかし建前としては「ドーピング禁止」なんです。怪しい人がたくさん居ても検査しないくせに…。


インフルエンサーマーケティングの弊害


筋肥大する量を比較すると

トレーニングしない人筋トレする人筋トレせずにドーピングする人筋トレ+ドーピングの順番です。https://ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8637535

そして一般にステロイドユーザーとナチュラル(ドーピングしていない人の筋トレ会での呼称)ではトレーニング方法が大きく異なります。

詳しくは説明しませんがユーザーは追い込むトレーニングが効果的で、ナチュラルは高頻度のトレーニングが有効です。理由はユーザーはステロイドにより筋合成の期間が長いことと、関節軟部組織の回復が速いからです。

ユーザーのトレーニングをナチュラルがすると関節が先に悲鳴をあげてしまいます。

しかしSNS隆盛の現代。ユーザーの発信力はナチュラルを凌駕します。筋肉が多い方が方が「映える」からです。

そしてユーザーはドーピングについては隠している方がほとんどです。そんなユーザーに筋トレ初心者が質問するんです。

「どうすれば貴方のように筋肉が大きくなりますか?」

ユーザーはもちろんステロイドについては言及しません。そしてこの筋肉は努力の賜物であるかのようにこう言うのです。

「追い込め。限界まで追い込め。」と。そして無理をして怪我をするのです。(追い込むことで筋肉の体積あたりの筋力、瞬発力が下がるというスポーツにとってのデメリットもある)

いやー。本当にクソですね。くそです。

ズルをしているのにそれを隠して他人に適切でない情報を教えているんです。東大に裏口入学した人間が「東大に入った最強勉強法!」といった勉強法と言ってるようなもんです。

初心者はドーピングの問題についてほとんどの方が知りません。だから信じるんです。追い込めば筋肉は成長するのだと。

これが日本の筋トレ情報が遅れている理由や筋トレについて正しい理解が広まっていない一因だと個人的には思っています。


ドーピングは個人の問題では無い

僕はスポーツが大好きです。ラグビーが一番好きですがどのスポーツでも見れば楽しめるし、実際にスポーツをするのも好きです。

2015年のラグビー日本代表のブライトンの奇跡、2019年ラグビーW杯の成功。WBCのダルビッシュ投手のガッツポーズ、不調だったイチロー選手の決勝戦でのタイムリーヒット。サッカーW杯でのベルギー戦の悔しさ。天理大学ラグビー部の優勝。他にもまだまだありますが、どれも今思い出しても胸にじーんとくる物があります。

なぜここまで感動するのか。それは理由はたくさんありますが、一つは「公正公平に競技に対して努力を行う姿勢」だと思います。

「努力は報われる。」

そんなことはありません。スポーツの世界は「才能」という生まれ持った違いを容赦なく突きつけてきます。例えば僕がバスケットボールの選手になるには身長という大きなハンデがありますし、筋繊維も生まれ持った違いがどのような競技に対しても大きな影響を与えます。

しかしそれでも夢を諦めず、努力を積み重ねた結果勝てなかった相手に対して勝てた。その過程は堪らなく美しいですし、強い感動をもたらします。

2011年までのラグビー日本代表は弱かったです。今でこそワールドクラスの選手と評されるリーチマイケル選手ですが、リーチマイケル選手の母国であるニュージーランドで行われた2011年W杯にて彼は日本代表として凱旋。

母国の地でコテンパンに打ちのめされます。他の選手も大衆の前でボコボコに打ちのめされたのです。それでも諦めず努力をし、世界一過酷とされる練習を経て2015年にはスポーツ史上最高の下剋上とも評される南アフリカ戦。

2019年には当時世界2位のアイルランドを撃破してのベスト8。多くの人を感動させ「ONE TEAM」は流行語大賞も獲得したほどです。

ではもし、彼らがドーピングの力で強くなっていたらどうでしょうか。

世間どころか世界から見放され、信頼は失墜。日本ではラグビーの国際大会は開かれなくなり、他競技にも影響が出るかもしれません。

2015年大会の時に選手の誰かがドーピングをしていれば開催権を剥奪されていた可能性だってあります。(事実2015年大会時に日本があまりにも弱かったため、2019年のラグビーW杯の開催権を他国に奪われそうになっていた)

この動画をぜひご覧ください。どれほどの人がスポーツを支えているのかがわかります。

最早ドーピングは個人の問題では済まされないのです。


アスリートを舐めるな

ドーピングを暗黙している人で「ユーザーも努力をしている」「個人の覚悟の問題」「ユーザーも犠牲を払っている」などと主張している人がいます。

声を大にして言いたい。

ふざけんな。

あるラグビー選手が日本代表の合宿が長期に渡ったため、幼い子供に全然会えなかったそうです。そして久しぶりに子供に会うと、子供は母親の影に隠れたそう。

彼はそれくらい家族との時間、自分の時間を犠牲にして競技に打ち込んだのです。ラグビーを発展させるために。奥様や家族の支え、負荷も相当だった物でしょう。

しかし彼はそれでも十分に報われたはずです。なぜならこの話の人物は五郎丸歩元選手。(現在は静岡ブルーレヴズでお仕事をされています)

2015年当時、彼ほど有名なラグビー選手はいませんでしたし、今までのラグビー選手では考えられない程の脚光を浴びた人物です。2015年W杯の実績で海外にも移籍できました。

ではここまでの努力をされたのは五郎丸さんだけでしょうか。当然そんな訳ありません。選手、スタッフ共に「日本ラグビーを盛り上げる」という目標に向かってとてつもない努力をされたのです。

その中には努力をしたけれど一切報われなかった選手もいる訳です。怪我でプレーできなくなった選手、努力を重ねたけど選考から外れてしまった選手など。

もし選考から漏れそうな選手がドーピングをしてしまったら?怪我から復帰して遅れを取り戻すためにドーピングをしたら?

その場では強くなって選考に選ばれたとしても本番はドーピングできないし、本番でドーピングをすれば大変なことになります。(ラグビーは試合後にドーピングチェックがある)

努力や多くの犠牲を払ってでも報われない事がある。それでもドーピング違反はせず、公正公平であることにスポーツの高潔さがあるのです。

それを分かっていないステロイドユーザー、黙認している団体はマジで黙ってろと思います😇😇😇

以上が僕が考えるドーピングがダメな理由です。死のチキンレース、個人の問題ではない、アスリートを舐めるなの3点でした。

悪筆乱文でしたが、読者の皆様がドーピング問題について少しでも考えるキッカケとなりましたら嬉しく思います。

アスリートの為のトレーニング、栄養、ケガ、コンディショニング

まさ

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