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【代表インタビュー vol.02】企業と人は相互成長―困難を乗り越えて得たもの【コンテンツIPビジネス】
A3代表インタビュー、第二弾を掲載します。
前回のインタビューでは、学生時代からA3の設立、現在の事業に力を入れるまでの経緯をお話いただきました。
今回は、設立から今までの壁にぶつかった経験や、人材育成に力を入れている理由についてをお話いただきます🌸
↓ 2章はこちらから
今の組織構成に至るまでの多数の壁とは
――設立13年目を迎えるまで、困難な状況に陥ったこともあるかと思います。壁にぶつかったエピソードがあれば教えてください。
これまで色々ありましたが、一番記憶に残っている大きな問題は、組織のことですね。組織の人数規模によって体制を変えていく時が、一番大変なんです。個人事業主から徐々に仲間を集めていったので、会社らしくない体制の時もあって、今の300人規模になるまでに色々と学びもありました。
昔は今みたいにしっかりとしたチームマネジメント体制ができているわけでもないので、残業時間や勤怠のコントロールさえも全然できていなかったんです。そのうえで組織の人数が増えてくると、今まで大体見えてたことでも一気に目が届かない状況になっていました。
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従業員数:30人~50人
30人くらいまでの規模は、誰が何をやっているのか大体想像がつくし、オフィスを見渡せばみんなが活躍している姿もすぐに分かるんですよね。ですが30人を超えたくらいから、急にチームのみんなが何をやっているのかが見えなくなり、メンバーとのコミュニケーションも希薄になり、不安でしょうがなかったですね。
昔はマネジメントが不十分だったこともあり、意思や考えていることもみんなバラバラなので、トップダウンの話も上手く伝わらないんです。例えば、会社として取り組むことを共有すれば、みんな一応その通りには進めてくれます。ですが本当の意味では納得してくれてなかったんじゃないかと思います。「みんな何を考えているんだろう」と思っているうちに、信頼していたメンバーが急に辞めていくという事が多々ありましたね。
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従業員数:100人
そこで仕組みを整えていったんです。今までは会社経営の全部を自分1人でやっていたのですが、徐々に経理や総務業務を人に預けたり、メンバーの役割や責任を明確にしていくなど権限委譲してチームを作っていきました。チームが整ったことにより事業成長が加速し、広いオフィスへ引っ越しもしました。新卒採用を積極的に始めたりなどたくさんの仲間も加わり、100人規模まで力強く成長することができました。
しかし、次の100人の壁にぶつかります。この規模になると、トップダウンである程度届いたところも、全然届かなくなるんです。
人数が増えると、メンバーとトップの間にいるマネジメント層が重要になります。当時はまだ経験の少ない若い人を抜擢してマネジメントを任せていったのですが、しっかりとしたマネジメントの仕組みがないまま拡大したので、100人規模になるとそこで停滞してしまいました。
チーム成長に合せた組織体制にするために、キャリア採用を積極的におこない経験豊富なメンバーも増えていったんですが、すぐに任せるわけにはいかず、全然組織として大きくならず、事業に勢いがないから人も辞めていってしまうなど、「なかなか上手くいかない…」という状況が100人の壁でしたね。
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従業員数:300人
そこからキャリア採用で仲間に加わった経験豊富なメンバーと、若手から抜擢されたメンバーで、マネジメントの仕組みやチームをしっかりと作って、組織としての基盤を固めていきました。基盤がしっかりとできたので、そこから本格的な事業拡大が始まり、現在は従業員数300人規模まで拡大することができました。
そして今、300人の壁にぶつかっています。100人を超えた頃から、メンバー間で話したことがない人や名前も知らない人など、コミュニケーションが遠くなってくるんです。僕自身も今まですべての採用に携わっていたことを任せるようになり、入社するメンバーを把握することさえも難しくなっていきました。そうなると、自社の商品やサービスさえ理解していないメンバーが増え、向かっている方向や考え方もバラバラでチームの総合力が発揮しづらい状況に陥っていると思っています。
そこで、「ミッション」「ビジョン」も一新して目指すべき方向をしっかりと定め、僕たちチームとして大事なスタンスはきちんと設定し、それを全社で取り組むことをも始めました。(――後述 ”12 Values & 45 Stances")
従業員数:1000人(これから)
組織人数による体制の変化には"1・3・1・3"という法則があって、次は1000人の壁に向けて、また組織のあり方を変えていく必要があります。現在も、次のフェーズについて議論しているところです。
事業のフェーズが変わるタイミングでは、組織課題が発生するのは当たり前だと思っています。きっと乗り越えなくてはいけない難しい課題や問題が山ほど発生すると思いますが、「成長していくための通過点」として、未来のチーム飛躍をイメージして、前のめりに対峙していきながら良いチームを作っていきたいですね。
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個人の成長は会社の成長―組織戦略に込められた意味
――事業と社員の成長のために設定している価値観や姿勢"12 Values & 45 Stances"を決める際、一番意識したことは何でしょうか。
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僕らは「楽しみを創造し提供する事業領域において、世界を代表する企業になる」と、高い目標設定を掲げています。大きな目標に向けて突き進んでいくためには、当たり前ですが素晴らしいチームが必要です。一人じゃ何もできないからこそチームの総合力が大事であり、もっと良いチームになっていくには、1人1人が活躍できる環境が大事だと本気で思っています。そして、当然みんな価値観もバラバラなので、組織として大切にすべき考え方を示す意味もありますね。
昔からチーム教育などの取り組みは大事な要素だと取り組んできたのですが、組織が未熟なときは全然響かなくて空回りしていました。小さいオフィスで全員を集めて、一生懸命に会社の方針などを伝えていても、明らかに寝ているよねって人もいましたからね。そのときは「みんなはどう思って話を聞いてるんだろう」って、すごく孤独に感じたことを覚えています。
それでもあきらめずに積み上げてきたことで、最近は組織としてしっかりとした基盤もできて、チーム教育に本格的に取り組むことができるようになりました。まだ若い人たちが多いチームなので、経験が浅いのであれば教育という形でしっかりと引き上げていく。A3内部だけでとどまらず、世の中で活躍できる人を育てていこうとしています。企業と人は相互依存の関係だと思っていて、僕らのチームで働く人たちも自分の価値を上げるために成長する意味があると思っているし、そういった成長の機会を僕らが作っていかなければいけません。それによってチーム内の個々人の価値も上がれば、世の中に価値をたくさん生み出すチームになっていくし、そういった考え方や取り組みが世の中に広まれば、良い人も集まってきてくれると思うんです。
企業側だけの都合で、「良いチームになろうね」と言っても、その人にとって取り組む価値がなければ、意味がないじゃないですか。昔は、こちらが一方的に教育を押し付けている気がして嫌だったんです。ですが、みんなにとっても価値があると設定して取り組めている今は、みんな本気でやる理由があります。これまで組織的な問題が色々あったからこそ、チームを信じて成長を促し、本気でメンバーを育てていくことが、事業成長の重要な要素だと気付くことができました。教育体制を整えることで、みんなの市場価値も上がり、会社としても良い事業ができると本心で思っているので、僕も素直に、本気で伝えることができています。なのでこれから更に、どんどんいい方向に進んでいくと思っています。
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――社長の考えの根幹である「最大限の価値を世の中に提供する」ためには、社員の成長も必要不可欠ということですね。A3のミッション・ビジョンに込められた想いもお聞かせいただきたいです。
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ミッションの「楽しむ機会を提供し、人々と社会をより豊かにする」とは、言い換えると「楽しみが多いほど、人生は豊かになる」ことを実現させていくことです。
楽しみはいっぱいあったほうが人生は豊かになるじゃないですか。特に現代社会において、衣食住に対しての満足度はある程度担保されていると思います。なので、今を生きる人々の人生の意味は、「自分の時間をいかに楽しいことに費やせるか」という生きがいに重きが置かれてきてるんじゃないかなと思っています。そこを僕らが提供していくことによって、きっとその人の人生が豊かになるはずだと。「社会に潤いを与える」という表現を使っていますが、生きることだけをやっている人生って、つまんないじゃないですか。ですがそこに潤い――楽しさを混ぜることによって、より豊かな社会を作っていくことを、僕らは目指しています。
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――物質的な豊かさを求めるよりも、心の豊かさに貢献しようということですね。
そうですね。心の豊かさをどんどん増やしていきたいです。物質的な豊かさはだいたい揃っていると思うんです。あと、画一的な社会というのもつまらないじゃないですか。"多様性の広がる世の中"で、その人にとって、どれだけ楽しいものを作れるか"という事を、僕らは一生懸命考えています。
――「大きな価値を提供したい」という想いで事業を始められたと、1章でお伺いしました。その言葉は、社長の中でどういったイメージなのでしょうか。
事業が拡大にするにつれて、大きな企画などにもたくさん関わるようになってきました。そうすると、大規模なイベントやコンサートなどにも招待されることもあるのですが、観客もたくさんいて、すごく盛り上がっているのを見て、「こういうのができたらいいな」と思ったりすることがあります。
A3も物販のお手伝い等の側面でコンサートにも関わっていますが、そういった大規模なイベントを目の当たりにすると、「僕らはまだまだちっぽけなことしかできてないな」と悔しく思う時もたくさんあるんですね。世の中がもっと喜んでくれること、たくさんの人を喜ばせることができることを、どんどんやっていきたい。いつの日か、世界中を楽しませるようなスケールの大きな事業をやっていきたいですね。
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