「土管のおやじ」:フィンランドの国民的ボディローション
良いと言われて買っても、使い切るとそのまま忘れてしまう私が、これだけは手元に置いておきたいのがフィンランドのボディローション「土管のおやじ」
オーガニックコスメのトップメーカーフランシラが、150年前に実在した治療家オヤンおじさんの薬草レシピの継承を許されて製品化しました。2013年にはベストケア製品賞も受賞しています。ほとんどの薬局に置いてあって、昔からあるのに廃れないのは、メンソレータムみたいな位置づけでしょうか・・・
元々メンソレータムは近江兄弟社の製品で、現在はロート製薬が販売しています。近江兄弟社は紆余曲折を経てメンタームを開発。頭に羽を付けたメンタームキッドのイラストは、リトルナースと同じ今竹七郎氏がデザインしたそうです。こちらの歴史も興味深い・・・って、実はこの記事を書きながら初めて知りました。
本題の土管のおやじに戻ります。 可愛らしいピンクのパッケージにごっついオヤンおじさんの写真。このギャップに萌えます。
以前、フィンランドをドライブ中に夫が腰を痛めて、小さな町でマッサージを受けました。ネットでみつけた治療院に行くと、出てきたのは筋骨粒々のプロレスラーみたいな男性。見かけと違って優しい施術だったそうです。ごっついおじさんは安心の印かも?
オヤンおじさんの元には、国内各地から施術を受けにやってきたそうで、医療が発達する前は民間の治療家さんが頼られていたのでしょう。むしろ今は製薬メーカーの方が、民間薬を調査・研究していると聞いたこともあります。
筋肉痛や関節痛などの痛み、むくみ、緊張からくる諸症状にお薦めで、スーッと爽やかなリフレッシュ感のあるハーブの優しい香りが、大好きです。私は腱鞘炎になりやすいのですが、まめに塗ってケアしたら、「そういえば、不調にならなかった」と後で気づきました。そんな効き方が良いんです。
サラっとしたローションなので、最初はちょっと物足りなかったけれど、かえって手軽に使えて気に入っています。しっかりマッサージしたいときは、オイルをブレンドすれば良いですし。
そんな「土管のおやじ」が成分見直しのため、製造を一旦休止することになりました。え~、このまま無くなっちゃったりしませんよね? 再販するときはぜひパッケージも昔のままでお願します!!
ヘルシンキ大学博物館は近年コレクションの移管に伴い、2000種類を超える薬品やサンプルなどの成分(化学物質)を詳しく調べたそうです。
なかには万病に効く「Viisaan muijan voide:賢い老女の軟膏」なんて面白いネーミングのものがあったり、「スローンの軟膏」は独学で獣医となった馬具職人のスローンが、もともと馬の筋肉のこわばりを緩和するために使っていたとか・・・
その流れで「土管のおやじ」も現代の基準に合わせて変える必要が生じたのかもしれません。(←私の勝手な想像です)
「何か知らんけど、昔からあってよく効くんだよね、これ」的なものがずっと残ってほしいと思う私です。 オヤンおじさん、また会いましょう!
*ヘルシンキ大学博物館Flameのブログ