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熊野古道&スペイン、二つの巡礼路

2023年を迎え、巡礼路にも人が戻ってきているようです。
熊野古道中辺路なかへち(2021年10月)とスペイン巡礼(2022年5月)の旅が、今とても懐かしい。


スペイン巡礼の旅


熊野古道とスペイン巡礼街道は姉妹協定を結んでいて、2つの道を完走するとデュアル・ピルグリムに認定されます。

裏面がスタンプで埋まった共通巡礼手帳 

  

熊野古道中辺路と熊野三山の旅

滝尻王子から熊野本宮大社を目指して出発。
姉妹道といっても性格は全く違います。熊野古道はアップダウンのある狭い山道のため、山間部では一歩一歩丁寧ていねいに歩きました。
海外から来る巡礼者には、高温多湿も影響して、スペインよりも大変なのだそうです。

語り部さん


胎内くぐり  生まれ変わるまでいかなくても、若返ったかな?

女性には安産のご利益があるとか


人っ子ひとりいない道筋で出会ったのは、何とトレイルランナーさんでした。


高原熊野神社  こじんまりした神社ですが、気持ちが整いました。


存在感のある老木


初日は、どこかスペイン風なおもむきのあるお洒落な宿。 本来なら予約を取るのが難しい人気の宿も、2021年は海外からの渡航が途絶えて、貸し切り状態でした。 

また賑わいが戻っていると良いな


見晴らし抜群のお部屋。 冷んやりした空気に気持ちが引き締まります。

霧の郷たかはら


野菜寿司など、びっくりするほど美味しいお料理でした。

夕食の一部


幻想的な朝靄あさもやの風景


今日も元気に歩きまっしょい!

ここは以前、観光ポスターに使われたスポットだそうです


リスが松ぼっくりをかじると、海老フライになる!
語り部さんからは、動植物や街道の歴史など様々なお話を伺えて、熊野古道初心者の私は目からウロコの連続でした。

それにしても器用にかじるなあ


愛らしい牛馬童子像   
小さいほこら、かつての集落の跡など、魅かれるものにたくさん出会いました。


お弁当、ど~~ん☆  道の駅名物の、めはり寿司・さんま寿司・こんにゃく稲荷など。 もりもり完食、ご馳走さま♪

手前左はきな粉草餅


もう秋の気配


2泊3日で総距離38.5kmを無事完歩して、熊野本宮大社へ着きました。


太鼓の儀。 
「2つの道の巡礼者」に認定された仲間が、大太鼓を鳴らして祝ってもらいました。 


ドドンとお腹に響く太鼓の音を聞きながら、スペインはこの倍以上も歩くのか・・と果てしなく思われたのに、その7か月後、自分がデュアル・ピルグリムになっているとは! 
きっと、このホタテ貝の道標が呼んでくれたのでしょう。

サンティアゴ・デ・コンポステーラまで10,755kmの道標

続いて、神が降り立ったという|大斎原《おおゆのはら》へ。
山あいから、遠くにこの大鳥居が見えたときは感激でした。 スペイン巡礼街道の「歓喜の丘」を思い起こします。
元々熊野本宮大社はこの中州なかすにあり、明治22年(1889年)に大洪水が起きたため、少し離れた現在の場所に移ったそうです。

鳥居の後ろの森が旧社地


川原に降りると、突然天気雨がサーッと降りました。 

熊野川


振り返ると、森にうっすら虹がかかっていました。 虹のゲートをくぐって森に入ると、そこはかつて本宮の社殿があった場所です。


今も神域はこちらなのでは・・・そんな気配を感じる場所でした。

旧本宮社殿(右手)


那智の滝   
日本3大名瀑の一つ。 滝そのものが、熊野那智大社の別宮、飛瀧神社のご神体で、私も自然と手を合わせる気持ちになりました。

森の木々や岩、川や滝、あらゆる自然に聖なるものを感じる旅でした。そこに点在する集落ひとの温かさにも癒されました。
日本の道ももっと歩いてみたくなりました。


2つの道を振り返って今感じるのは、「もっとその瞬間にいたい」
道である以上、スタートとゴールがあります。ここまで来た、次はあそこまで・・と線でとらえてしまいます。
どこで突然終わっても良いくらい、ゴールの存在すら忘れているくらい、もっとその瞬間にいたいと思いました。
ひとつひとつが「永遠の瞬間いま」であるような時間を過ごしていきたい。 今そんな思いでいます。