フィンランド国立図書館:古代の神殿のように美しいメインロビー
ヘルシンキを訪ねると必ず目にするヘルシンキ大聖堂。 そのすぐお隣(西側)にフィンランド国立図書館があります。
木の扉が閉まっていて入るのを躊躇しますが、入館無料で自由に入れます。国を代表する学術図書館(組織上はヘルシンキ大学の一部)を見学しました。
荷物入れにリュックを預けて、中に入ります。(地下に暗証番号を入力するロッカーがあると聞いていましたが、私が訪ねたときは何故かここに来ました)
メインロビーに一歩足を踏み入れると、圧巻の美しさ!!
まるで古代ローマの神殿のようです。
ヨーロッパの歴史ある中央図書館は、重厚でほの暗いイメージですが、ここは不思議と明るい空間でした。均整のとれた新古典主義様式に加え、2年間の大規模な改修工事を経て2016年に新たにオープンしたことで、建築当初の輝きを取り戻しているのでしょう。
ここが図書館だということを忘れてしまうような空間でした。
個人的にうけたのは、この椅子。「すずめの戸締り」に出てくる椅子みたいだと思いませんか? 今にもカタカタ動き出しそうで、じ~っと見てしまいました。背もたれの部分が柄のようになっていて、移動しやすそうです。
奥に進むとカウンターと書架スペースがあります。
カウンターのある1階から天井まで吹き抜けになっていました。
こちらも美しい!
地下にはカフェもあります(訪ねたときはclosed)
あちこち連結(増設)されているらしい館内は、ちょっとした迷路のようでした。どこかに広大な書庫もあるはず。
「スラブ語の図書室」の案内表示に歴史を感じました。
*17世紀~:スウェーデン統治下、政治的中心だったトゥルクで収蔵されたコレクションが原点
*1809年:スウェーデンからロシア支配に変わる(フィンランド大公国)
*1812年:首都がロシアに近いヘルシンキに移転、図書館もヘルシンキに移されアレクサンダー帝国大学図書館となる。
*1917年:フィンランド独立 フィンランド大学図書館に改名。
*2005年:フィンランド国立図書館に改名
現在の名称になったのは、つい最近なのですね。
蔵書300万冊というと気が遠くなる数ですが、実は日本の国立国会図書館の方がずっと蔵書数は多く、一昔前のランキングでは日本は世界7位、フィンランドは世界33位です。デジタル化推進力が凄いので、情報収集・発信力はぐんぐん増しているのではないでしょうか。
音楽関係の図書室に行ってみました。フィンランドといえばシベリウス。開いた楽譜が展示されていて、住まいだったAINOLAの本もありました。アイノラ、懐かしい!
返却本のカートに面白いイラストの本が乗っていました。
グーグル翻訳さんに直訳してもらうと、「音楽への資金提供」 他にも「傷つくまで音楽を愛する」、「サウンドアートにおけるバックグラウンド・ノイズ」
こんな本をどういう人が書いたのだろう? それを借りる人も。
世の中には色んな研究があるのですね・・・
図書館を設計したのはドイツ人のカール・ルートヴィヒ・エンゲル(Carl Ludvig Engel 1778-1840)で、没年の1840年に建物が完成しました。エンゲルはヘルシンキの主要建築の大部分を手がけ、あのヘルシンキ大聖堂もエンゲルの設計です。
敷地を囲む塀には、ヘルシンキの都市計画を統括したヨハン・アルべヒト・エーレンストローム(Johan Albrecht Ehrenstrom 1762–1847)と、主任建築家だったエンゲルのレリーフが飾られています。
元老院広場をとりまく官公庁エリアを歩くと、白い柱のあるクリーム色の四角い建物をよく見かけます。どこかサンクトペテルブルクを思わせる統一感のある首都の町並みは、ロシア統治下にこの二人の手で作り上げられたものでした。
人気観光スポットとなっているOodi(ヘルシンキ中央図書館)と違って、こちらは研究主体の学術施設であることを忘れず、静かに見学したいです。
<フィンランド国立図書館 公式サイト>