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誰かへの手紙

2022/11/16
午前5時

僕は誰かに向けて、手紙を書いた。
もう、既に分かっている事だが、これは僕自身に向けた手紙なんだ。
少し、過去の、ほんの少し過去の僕に向けた手紙。

戦い疲れても、立ち止まる事を許せない、そんな人に対する手紙を書きたいと願った。
自分の心を大切に出来ない人に声を掛けたくなった。

それは自分自身かも知れないけれど、また別の誰かかも知れなかった。

僕自身が僕自身の心を大切に出来ないまま、もがいている時、また別の誰かも、同じようにもがいているのかも知れないと思った。

伝えたい事は
「焦らなくていい」という事。
そして、焦らない事すら、焦らなくていいと言う事。

僕は、言葉を紡ぐ事にした。
写真を撮るように、言葉を紡ぐ事にした。


僕の残りの人生に、僕は言葉を紡ぐ事にした。


あと、何枚写真が撮れるだろう。
あと、何枚手紙が書けるだろう。

僕はそう思って暮らす事にした。

既に友達には何枚か、手紙を書いた。
僕自身への手紙はあっという間に10枚を超えた。

まだまだ、書かなくちゃいけない事はある。
残りの人生の使い方を考えた時、まず、第一にこれをやろうと思った。


僕は家族を守ろうと経済的枠組みを用意した。
それでも家族を守れなかった。
仲間を守ろうと事業も作った。
それでも誰も守れなかった。

そして、吐き気と共に巨大な孤独が押し寄せてきて
僕の心を更地にした。


更地になった心の中にポツンと一人で立ってみる。
不思議なモノで、人は想像の上でなら、自分という存在の、小さな頭脳が作り出した小さな心の中に自ら立つ事が出来る。

ボロボロになって何もかもが薙ぎ倒された荒地の上に立ってみる。
とても小さな場所の筈なのに、地平線まで、その風景は続く。

そして、それはきっと淡い青空の下なんだ。


二日間、ベッド眠っていないのに、何故か眠くない。
車でとった仮眠のせいで、体の節々が軋んでいる。

日が昇る頃にはシャワーを浴びて、ストレッチで体を解す事にしよう。
それまでは珈琲で誤魔化しながら、適当にキーボードを叩く事にした。

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