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心が軽くなるアトリエ
2024年4月からおもちゃ作家として
完全に独立することが出来た。
ちゃんと余裕を持って生活出来ている、、!(これ大事!)笑
おもちゃ作家としてはじめて約10年くらい。始めたばかりの頃はここに辿り着くまでのイメージは出来ていない状態で、とにかく活動を続けていくという感じだったことを覚えている。
そんなあれこれと積み上げてきた約10年。
アトリエに本当に多くのお客さんを招き、日々世界観を楽しんだり、製作を楽しんだりしてくれる様子を見ていると、アトリエという場所を作って良かったと思える。
保育士と兼業しながら立ち上げてきたので、なんだかんだ3年目の年になる。3年目にもなるとリピーターがかなり増えてきた。
始めたばかりの頃は自分の事に必死でリピーターが出てくるということをあまり想定していなかった。日々増えていくリピーターの数には、嬉しさと少しずつ芽生える小さな絆のようなものを感じる。
しかし、何故ここまでリピーターが増えたのだろうか。
‟リピートが増えた”考えられる理由は2つ。
1つ目は今年から金土日祝営業に変更したことが挙げられる。昨年までは基本的に毎週日曜のみの営業としていたので、再予約がしやすくなった。そして、昨年は新規客を優先的に予約を受け入れており、リピートを断るような体制であった。なので、、当然と言えば当然の結果ともいえる。
2つ目は今年からアートギャラリーを開設したことにある。ここは紙・プラ・石・木材などの様々な素材を使って自由にものづくりが出来る場所として開設した場所だ。ここを作ったことで単にビー玉の世界観で遊べる場所ではなく”日常の生活の中に繋がる場所”として、打ち出すことが出来たように思える。確かにお客さん視点になって考えると、なんとなくエンタメだけ消費をするのではなく、何かを得たいと思って訪れる人も沢山いる。やはり、この部分が多くのリピートに繋がった大きな要素だと言える。
今年は本当に数多くのリピーターの方々との交流が深まった1年だった。
毎年必ず同じ時期に来訪される方や毎月必ず来店する家族などがいる中で、今回は心に残ったエピソードを紹介したい。
■「家族と自分の変化」 m・mさん
今年の7月に初めてm.mさん家族が来訪してくれた。保育士さんで感性豊かな方だ。夜のアトリエにも何度も遊びに来てくれており、気が付けば、毎月遊びに来て頂いている。本当に有り難い。
何度か家族や職場の同僚とも夜のアトリエでものづくりを楽しみながらリピートしてくれるm・mさん。僕はとても嬉しかった。色々なリピーターさんがいてどの人も印象深いエピソードはあるけれど、僕自身が保育士だったこともあり、夜のアトリエでもの作りを思う存分楽しんで日々の保育実践に活かされていることが特に嬉しかった。
そんなある日、m・mさんが家族で2回目の来訪した時のことだった。
会計の際にふとm・mさんの旦那さんに声を掛けた「夜のアトリエにもいつもきて頂いてありがとうございます。本当にいつも楽しそうで~、、」
すると、「こちらこそありがとうございます。妻がリフレッシュした表情で帰ってきます」そんなことを話していた。当時はそんなやりとりを気持ちよく終えた、、ただ、そう感じていた。
その後、m・mさんが夜のアトリエで「どうしても話をしておきたいことがあります」と何やら少し思いつめた表情で話を切り出した。
こんなことは僕自身も初めてだったので、
少しドキドキしながらアトリエの中央で正座をして話を聞いた。
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m・mさんは保育士である。保育現場の様々な状況で心を病む保育士は多い。m・mさんも昨年までは酷く心を病んでいたらしい。
そして、それは小学5年生の娘さんにも伝わり、娘さんも不安定な状態に。娘さんは学校でも担任の先生にその話を打ち明けていたらしく、担任の先生はその話を丁寧にm・mさんに伝えてくれたらしい。その話を聞いてm・mさんは母親として色々と考えさせられたという。このままでは家族がバラバラになってしまうのでは、、そんな不安も感じていたそうだ。
しかし、今年に入って保育の状況が変わり、少しずつm・mさんは心の安定を取り戻しつつあったそうで、そんな中アトリエに訪れたという。そして、アトリエに通う中で色々な感性が動かされ、m・mさん自身が”変われた”と感じたそうだ。
僕はここでようやくお父さんの言葉の
意味の変化に気付かされた。
「妻がリフレッシュした表情で帰ってきます」
そう話をしていたその言葉の意味の深さ、、。
お父さんの抱えていたものが
その言葉の中に詰まっていた。
m・mさんはここまでの経緯を話を打ち明けた後、
最後に頭を下げて感謝の気持ちを伝えてくれた。
こんな経験は初めてのことで、この時ようやく家族の在り方に変化をもたらすキッカケになったのだとじわじわと感じ始めた。
■心が軽くなる場所
アトリエはビー玉をコンセプトした世界観のビー玉のおもちゃが様々あり、その中で楽しく遊び過ごせる場所やものづくりを体験できる場所、、というのが僕の世の中への打ち出しであり、社会の認識になりつつある。
だが、今回のm・mさんのように心の変化を自分自身が感じられるというのは、単にエンタメや何らかの体験施設では味わえない「心が軽くなる場所」としての役割があることを改めて再認識する。
今回のようにアトリエの中でワクワクしたりドキドキしたりする連続性が居心地の良さや感動に繋がり、人の心の変化にも影響を大きく及ぼすことがある。
m・mさんが打ち明けてくれたからここまでの一連の流れが分かったが、日常の中で来る多くのお客さん一人一人にはそんな隠れたバックストーリーがあるのだろう。
そう思うとこれからも一人一人のお客さんを大切にしながら、アトリエに来たことで心を軽くなり、日々の生活を心豊かなものになることを願う。
そして、これから先も
僕がおもちゃ作家で在り続ける意味は
きっとそういう部分が大きなテーマになるはずだから
今日も誰かに繋がるおもちゃを作ろうと思う。