見出し画像

ニッポンの芸術祭・横浜トリエンナーレ編:『再び都市に凄む』

院展を見終えて次なる目的地横浜トリエンナーレへ。

今回の横浜トリエンナーレでは他に二つの展覧会も同時に横浜市内で開催されているようで(横浜トリエンナーレ『野草:いま、ここで生きてる』+「BankART Life7」と「黄金町バザール2024」)それらも一緒に見てきました。というかどこが三つの展覧会の境目なのかかなり謎でしたが。

パスポートを買って、まずは新高島駅から訪れます。

入り口にはいきなりデカイフン転がしのフンみたいな球体がありました。どっかの土を運んできたようで「環境を考えろ」とのことだそうです。

ちょっとライトニング・フィールドの人みたいだなと思いました。

地中海美術館 ウォルター・デ・マリア「Time/Timeless/Notime」

そして会場に入ると即座に意味のわからないものが一挙に目に飛び込んできました。全くもって現代美術はもぉこれだからって感じです。

中でも特に目を引いたのがこれら。

ペリエがシーソーゲームのように上げ下げしていたり…ベットが上げ下げしていたり…靴が膨らんでは倒れたりとか、一体何を表しているんだ?

で、キャプションを読むとこれらのオブジェは実は『伊勢崎町』を表しているらしいです。

正直全く意味がわかりませんでした…。というか伊勢崎町民これ見たら激怒するんじゃないか?と心配になりました。地方をバカにする都心の人よりちょっと怒られそうなんですけど。お前のかあちゃん〇〇みたいに、伊勢崎町民このオブジェ!って言われても…。

さらに『うつをむいて歩こう』とか、もぉ伊勢崎町シリーズに続き横浜のイメージが全体的に暗かったり、意味不明だったりして横浜=なんか変な街みたいなイメージになっています。

こちらは街の落書きを立体に起こした作品らしいです。そして箱にプリントされたQRコードを読み取るとそのグラフィティがある現場が見られるようでした。

箱の中には何があるのかと覗いてみると…

別に何もなかったよ!

とりあえず、さっきから横浜は暗かったり、変だったり、落書きされまくったりとが続き、このままだと横浜の『住みたい街ランキング』の順位に影響が出ないかが心配です。

こちらは横浜にある各所の有名な墓石を撮影し、そこに書かれた文字をデジタル処理で消してみるとどうなるかというものらしいです。墓石ってシュールだよね、よく見ると、日常って実は結構そういうのあるよねってことのようです。

確かに、ちょっと不思議な感じがしますね。普段当たり前のように見慣れてしまっているけどよくよく考えてみるとあれ?っていうことありますよね。自分の周りにいる友達とか会社の中の人とか、あれ?って感じの人いますよね。え?お前がそうだって?いやいや…。

ちなみにこの写真に載っていた墓石の一つがたまたま横浜市内を歩いていたら発見しました。

こちららしいです。

その後徒歩で馬車道方面へ。途中巨大な巨神兵がカットされていました。

土によってできていて時間と共に変化していく過程も含めて作品なんだということでした。

ですがたまたま近くでやっていたCMの撮影なのか芸能人がいるのか、なんだかわからないが有名人が来てるっぽいスポットの方がはるかに人だかりができていました。

欧米のアート、特に現代アートは社会に対する「自身のメッセージを表明する手立て」という側面が強いですが、日本のアートは未だアート=綺麗なものという印象が強いです。少なくともこれだけ印象派の展覧会が多く現代美術が根付かないのもそういうところに現れていると思います。また選挙への参加率も欧米諸国との大きな隔たりがあります。

そして近年のトリエンナーレやドイツのドクメンタなどに代表される屋外展示作品はなおさら政治的メッセージの強い作品が多くなっています。むしろあまりに直接的なメッセージの作品が多く、こうなるともはや(別にわざわざアートに変換しないで)普通に選挙に行って投票することの方が政治的効力を持つアートな試みなのではないか…?などと思ってしまいます。

そして横浜トリエンナーレ本会場、数年をかけてリニューアルした横浜美術館に着きました。

なんかやはり政治的メッセージ多いな、そしてどこをリニューアルしたのか全くわからないな…が感想でした。

さらに最後の方は縄文土器とかまで出てきてコンセプトが謎でした。どこかの評論家が言っていたのですが「横浜トリエンナーレの特徴とは特徴がないのが特徴」というのを思い出しました。

続いて今度は馬車道駅構内の作品に。

駅の構造がうねうねしているからなのか、そのうねうねに沿って曲線を描くテーブルなどの生活を感じさせる作品が並べられています。

そしてあっという間に夜になり、回れる限りを回ろうと最後の大御所、川俣正さんの作品を見に行きます。

途中石膏みたいのがありましたが、これはマンションのオブジェらしいです。

そしてなんとか帰る間際に発見しました。

しかし周囲に全然作品が見つからないなと思ったら建物の上になんかプリッツみたいな変な棒がありました…。

なんだよ…このプリッツの先端が飛び出したみたいのはよぉっ!!って。1日中歩いて見つけた最後の作品がこれか…という感じでした。
ちょっと拍子抜けでしたが、こういった街を歩きながら作品を探していくことでコンプリするような楽しさがトリエンナーレにはあります。唐突に都市に潜むアンタッチャブルなものや面白い出来事に遭遇することが、美術館という閉ざされた空間では得られない屋外を回遊する展覧会特有の楽しみだと思います。

なお横浜トリエンナーレを含む今回の三つの展覧会の作品を全て見ようとすると最低でも3回くらいは行かないと全てを見るのは厳しそうでした。



いいなと思ったら応援しよう!