ATELIER HAYATO NAKAZAWA

西荻窪と新百合ケ丘で絵画および日本画を教える教室『ATELIER HAYATO NAKAZAWA』代表講師の中澤隼人です。 https://www.atelier-hayato.com/ 大半がアトリエとはほぼ無関係の話ですが、娯楽として楽しめるよう心がけております。

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西荻窪と新百合ケ丘で絵画および日本画を教える教室『ATELIER HAYATO NAKAZAWA』代表講師の中澤隼人です。 https://www.atelier-hayato.com/ 大半がアトリエとはほぼ無関係の話ですが、娯楽として楽しめるよう心がけております。

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美術作家として生きると言う事、(年末の過ごし方編)

心おとろえた時は海へいこう! 心さかんな時も海へ行こう! 忘却と自由を、解放と夢とを願うものは、海へ行こう。 この世は人を疲れされる。自由な心を縛り、閉じ込め、悲しませる。 虚偽と俗悪、因習と無恥!醜い人間的刻印は宿命のように、 我々を追い、我々に追いつき、そして我々を待ち受ける。 …だが、海の涯しないひろがりは、一切の刻印を否定し、心に自由を与え、無辺の彼方に解き放つ! 矢内原伊作 『海について』より。 毎年年末になると海を見に行きます。訪れる場所は様々ですが特に日本海

    • ニッポンの芸術祭・横浜トリエンナーレ編:『再び都市に凄む』

      院展を見終えて次なる目的地横浜トリエンナーレへ。 今回の横浜トリエンナーレでは他に二つの展覧会も同時に横浜市内で開催されているようで(横浜トリエンナーレ『野草:いま、ここで生きてる』+「BankART Life7」と「黄金町バザール2024」)それらも一緒に見てきました。というかどこが三つの展覧会の境目なのかかなり謎でしたが。 パスポートを買って、まずは新高島駅から訪れます。 入り口にはいきなりデカイフン転がしのフンみたいな球体がありました。どっかの土を運んできたようで

      • ライス的存在としての『日本美術院展』

        よく本などを読んでいると巻末に『我が愛する妻と娘に捧ぐ』とか『偉大なる師〇〇に捧ぐ』などの文言が出てくる。その文言を見る度に、 『誰だよっっっ!!!!』 と思ってしまう。 わざわざお金を払って買った(しかも高かったりするとなおさらな)本や映画がどこの誰とも知らない母や娘や愛する妻に捧げられたものだと知ると途端に怒りが込み上げてくる。 お前の愛すべき対象のためになんで私がお金を払わなにゃならんのだ!!!! ボランティアじゃねーんだよ!!!! …とまでは言わないが、な

        • 京都の話④ 『作品から人生まで、全てを綺麗に折りたたんだ男の話』シモン・アンタイ展。

          京都から大阪に移動し、大阪の心斎橋でシモン・アンタイという人の展覧会を見てきました。 エスパス・ルイ・ヴィトンという大阪のヴィトンの最上階にあるギャラリーで作品が展示されています。 なんかいいなって思ったのは、会員制バーの入り口みたいなビルの裏手に入口があるところです。 シモン・アンタイは殆ど日本で作品を見る機会はないのですが、本国フランスでは(元はハンガリー人)すごく有名な画家で、3度もポンピドゥーセンターで個展が開催されているほどの作家です。 彼はプリアージュという

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        美術作家として生きると言う事、(年末の過ごし方編)

          京都の話3。赤い糸と無限回廊〜塩田千春『私の魂からあなたの魂へ』

          京都精華大学出身の作家が展覧会を行なっていて、京都に行った初日に見て来ました。 *すでに会期は終了しています。 蘇我の方の静かな山間にこちらの大学はあります。 もはや完全に私は大学生ではないのですが、きゃっきゃした大学生達の合間を縫って会場に向かいます。 入り口からしてかっこいい大学でした。 この縦長の電光掲示板みたいのは数秒単位で画面が動いてすごいカッコ良かったです。なんかこれみた時点でかなりテンションが上がってました。 今回の展覧会ではこちらの大学の卒業生塩田

          京都の話3。赤い糸と無限回廊〜塩田千春『私の魂からあなたの魂へ』

          ニッポンの芸術祭〜『亀山トリエンナーレ2022③〜重要文化財編』

          前回の続き〜 次は重要文化財を紹介します。 市内にはたくさんの重要文化財があり、それらが当時のままの状態で残っています。また普段から見学も可能ですがトリエンナーレの期間中はそういった重要文化財の中にも作品が展示されています。 〜旧舘家住宅 the 昔の建物って感じです。東京だとオシャレな古道具屋とかオーガニックカフェが間借りしてそうな雰囲気です。 真っ白な壁の美術館ではなくてこういった場所だからこそ作品が映えるというのがあります。 こういう作品はその場所との調和、

          ニッポンの芸術祭〜『亀山トリエンナーレ2022③〜重要文化財編』

          ニッポンの芸術祭〜『亀山トリエンナーレ2022②〜商店街編』

          悪いことをした時の対処法。 1. 素直に謝る 2. シラをきる。 3. 他人のせいにする。 4.無理難題な詭弁を繰り出す。(『悪い』というのはそもそも何を基準に悪いと定義するんですか??そもそも海外ではこのような事例の場合…などめんどくさい方向にもていって話を逸らす) 2024年も開けてから早くも2ヶ月が経ちました。私が前回亀山トリエンナーレについて書いたのは2022年の終わりでした。②に続く、とか最後に書いておいて全く続く気配はなく時間が経ってしまいました。 なぜか急

          ニッポンの芸術祭〜『亀山トリエンナーレ2022②〜商店街編』

          『年賀と年貢の納め時』〜終わりなき日常を生きる。家族写真を年賀状に載せる奴らに反旗を翻せ!

          先日長くお世話になった大学の担当教諭の偲ぶ会がありその会に参加してきました。ご家族の話によると病を患っていたようですが、亡くなる直前まで絵を描いていたとのことでした。 会場では亡くなった先生の同僚が挨拶を行い、この歳になると全く絵を描かなくなる人もたくさんいる中で、まさに絵描きの最後としては相応しいものだったと語っていました。 その先生の年齢になるどころか、現在の私の年齢(40歳手前)でもすでに絵を描くことからは完全に手を引いて、普通に結婚をし、子供ができ、今まで全く送っ

          『年賀と年貢の納め時』〜終わりなき日常を生きる。家族写真を年賀状に載せる奴らに反旗を翻せ!

          2023年の年末を迎えて。『宇宙をへこませるという壮大な理想を掲げる前に、まずはあなたの心をへこませないために』

          昔チーズ職人のドキュメンタリーを見ていたら、親が息子に家業を継がせる時に『まだ甘い!まだ甘いっ!』と連呼して『休日なんてないし遊びに行きたいなんて言ってる奴は一人前にはなれんっ!!!!!!!!!!』と激怒しているのを見たことがありました。その番組を見ていて心の底から思ったのは、私は生まれ変わっても絶対チーズ職人にはなりたくないなということでした。 休みも遊びに行く時間もなく今日も過酷な労働を強いられているチーズ職人とは違い、相変わらず休みと遊びに行く時間だけは全国でもトップ

          2023年の年末を迎えて。『宇宙をへこませるという壮大な理想を掲げる前に、まずはあなたの心をへこませないために』

          京都の話2。アレックス・カッツ 『僕が個展を開いている場所』

          京セラ美術館へ行く前に駅を降りてすぐの場所にあった川が綺麗だったので眺めていたら、その横に妙な看板を発見しました。 明智光秀の塚…!? 塚ってなんだ!? メチャクチャ気になって京セラ美術館はすっ飛ばして塚が見に行きたくなり即座に見に行くことにしました。そして歩いて数分ほどですぐに目的の場所に到着しました。 え?ここっすか?なんか説明読んだら明智光秀の首が埋まってる的なこと書いてあるんですけど… 現在北野武監督の映画『首』が公開されていて明智光秀は相当重要な役で出てい

          京都の話2。アレックス・カッツ 『僕が個展を開いている場所』

          京都の話 1。 井田幸昌 『パンタ・レイ、世界が存在する限り、俺のグッズは…』

          先日京都・大阪にて下記の展覧会を観てきました。 一番最初の京都へ行く目的は井田幸昌さんが国内初の大規模個展をなさるということで、どのようなものかを観るのが目的でした。 若干33歳という若さで京セラ美術館で個展て、すごいな…ということではるばる京都まで観に行って来ました。 全てのフロアーを見て思ったのは、すごく写真映えするような会場構成になっている!!!ということでした。この展示空間自体が一つのインスタレーション作品のようですごくよく計算された配置になっていました。

          京都の話 1。 井田幸昌 『パンタ・レイ、世界が存在する限り、俺のグッズは…』

          地球は青かった。松濤の家賃は高かった…。高級住宅地松濤に出現せし『杉本博司・本歌取り、東下り』展。

          渋谷と神泉の間に松濤というエリアがあります。 すごい高級住宅地です。 成城とか広尾とか代々木上原みたいな『上質を知る人』がいっぱい住んでそうな雰囲気の場所です。 友達と駐車場に停まっている外車の車種ランキングを競ってみようと話しながら歩いてみたらほぼポルシェ、フェラーリ、ベンツ、BMW、他、貧乏人には縁がなさ過ぎて読み方さえよくわからない高級車ばかりでした。ここら一帯は不動産屋の審査で収入や職業に加えて車種も上記のもの以外だと家を借りるor建てるのは禁止されているのではな

          地球は青かった。松濤の家賃は高かった…。高級住宅地松濤に出現せし『杉本博司・本歌取り、東下り』展。

          『暑さのせいにするなんて、大変遺憾でございます。』全身全霊、全力で脱力!!君も広告屋的なノリで今年の夏も暑さを乗り切ろう!

          夏休みは何をしよう?なんか『プール』とかって名前からしてゆるい感じでいいなぁ、と昔から思っていました。 海だとなんかイケてる若者な感じがして気が引ける。特に『夏祭り』とか『焼きとうもろこし』とか『海の家』とか『サーファー』などのワードが出てくるともぉ全くもって苦手です。あの陽に焼けた褐色の肌の人たちが白い歯を見せながらワイワイ盛り上がってるのを見ると心底薄寒くなり、早く冬にならないかなぁとか思います。(私は冬が大好きです) そういうイケイケどんどんなノリに対して、規模も小

          『暑さのせいにするなんて、大変遺憾でございます。』全身全霊、全力で脱力!!君も広告屋的なノリで今年の夏も暑さを乗り切ろう!

          絵を描く楽しみが華開く 『部屋のみる夢 ― ボナールからティルマンス、現代の作家まで』

          ぎゅうぎゅうの満員通勤電車を横目に見ながら平日朝午前8時、箱根行きのロマンスカーにかなりの余裕を持って乗り込む。 いつもならアルコール飲料を朝でも車内で嗜むのが楽しみでしたが、健康とのちの仕事に配慮して今日は清涼飲料水を片手に目的地を目指しました。 仕事が始まる90分前には職場付近で朝食を取るのが日課になっており、旅行の際もかなり余裕をもって列車の発車時刻一時間前には近くのカフェで寛いでから駅に向かいます。 何故か地方の美術館に行くと本来の目的が『美術鑑賞』であったはず

          絵を描く楽しみが華開く 『部屋のみる夢 ― ボナールからティルマンス、現代の作家まで』

          『美術館に行かなくても現代最新のアートがタダで見れる!』六本木、フィリップス東京「植島コレクション」を鑑賞して。 

          少し前にニュースになっていたものですが、真っ先に思い浮かんだのは、俺じゃないよね…?ってことでした。 黒い服を着ているだけで通報されるとは…別の意味で『黒の衝撃』を受けました。 そんなニュースに戰慄しながら先日六本木のとある画廊を訪れました。 映画館も美術館もそうですが、一回見に行って図録やパンフレットを買ったりしているとすぐ3、4千円などかかってしまう。そして美術館に行くのに少し気遅れする理由は、一つはとにかく混んでいること。もう一つは中々現代最新のアートをまとめてみ

          『美術館に行かなくても現代最新のアートがタダで見れる!』六本木、フィリップス東京「植島コレクション」を鑑賞して。 

          古のジパングを夢見て 『イヴ・クラインと和倉温泉』 ②

          金沢21世紀美術館で作品を見終えてそこから和倉温泉駅まで電車で行って、ホテルに到着したのが夜19時くらいでした。 土地がたくさんあるからなのか、宿泊したホテルはやたら広くて豪華で、しばし竜宮城に来たような気持ちになりました。 夕食をとりやたら広いホテルのラウンジでコーヒーを飲みながらくつろいでいると、ラウンジでは地元の有権者らしきおじさんたちが永遠に癌と葬式と眼球につける人工レンズの話をしていました(笑) 到着時刻が遅かったためか窓の外の景色は真っ暗で何も見えなかったの

          古のジパングを夢見て 『イヴ・クラインと和倉温泉』 ②