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私の夏休み④失われた休暇を求めて〜終わりのない休暇。『ダークサイドに落ちないために』
もぉ随分前から思っているのですが、こんなアトリエとは関係ないことをずっと好き勝手書いていると、これはまず集客には繋がらないだろうと。
でもあんまり人がいっぱい来ても大変なので、程々の人数がいたら後はもお特に良いかな、みたいなスタンスだったので自由に書いていました。(程々の人数にも達したので)
仮に自分が絵の教室を探していて、よさそうな所を見つけたと検討している最中にこんなブログを読んだらまず行くのを躊躇うと思います。なんなんだこいつは!?全然ホームページの雰囲気と書いてることの中身が違うだろって(笑)
ただ、それでも人を増やすことが目的ではなくなってきたので好きにやっていたのですが、なぜかどんどん人が増えていきます。正直こんなふうになるとは思いませんでした。
考えられるのはいらっしゃる方は特にブログなど読まずに来ていると言うことです。たまに「読んでますよー」みたいな方もいらっしゃるのですが、それらはごくごく少数の方々です。大半は特に目にしていない、というかブログの存在さえ知らない。そう思ってこれからも好きなことを書くつもりです。
人生には三つの坂があると言われています。
1つ目の坂は『上り坂』
色々経験して成長して大人になっていく。10代、20代、30代、40代くらいまででしょうか。一番頑張って馬力があって、将来の基盤を作る場所になります。
2つ目の坂は『下り坂』
徐々に人生の折り返し地点を超えて、肉体的にも精神的にも山を下るように穏やかになっていく。上を目指すと言うよりはどちらかというとこれから登る人をサポートするような役割になっていったり、気持ちになりますね。
その気持ちはよくわかります。
そして3つ目の坂は…
→『まさか』
そんなまさか…。という、あのまさかです(笑)
人生は驚きと発見の連続です。自分が下り坂と思っていた場所は下り坂でもなんでもなくて、実は上り坂の入り口前にあった『ただの下りの階段』なんてことだってあるかもしれません。
現実は小説より奇なり。
何度もこの言葉を噛み締めます。
けして現実を侮るべからず。
焦らず、驕らず、昂らず。謙虚な姿勢を崩さぬように。
人生100年時代といわれて久しいですが、まだまだ話は続きます。
これより奇想天外な最終回が始まります。
〜前回の続き
ホテルのお姉さんが、
箱根町港はおしゃれなカフェとかいっぱいですよー(笑顔・MAX)
と言っていたので行ってみたら、こんな感じでした。
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早速まさかです(笑)
色々ツッコミどころがあるのですが、まずおしゃれ以前にどこもやっていない!!!(笑)
このとき時刻は午後16時30分。
今日の商談は本当に大変だった。金額交渉の時、取引先の表情が今までの笑顔から一変して変わった時は神経が擦り切れるようだった。しかしおかげで数千万規模の取引契約を結ぶことができた。
今年、子供も二人目が生まれ、上の子は来年からミッション系の小学校に入学し、二人目もゆくゆくは同じ学校に通わせたいと思っている。経済的にも不安定な日本の未来を見据えて子供たちには早期から海外思考で英才教育を施したい。
そのためには早くからインターミッション系の学校で英語や海外の文化に慣れさせて、ゆくゆくはシンガポールなどへの移住も検討している。
そう考えるとこの商談の成功は昇給の大きなきっかけだった。昼食の時間が数時間遅れることなど未来の貯金から考えたらお釣りが来るくらいだ。
時刻は16時30分。
彼は少し遅めの昼食にありついて、またすぐに次の商談の準備へと取り掛かった。
丸の内の外資系企業に勤めるエリートサラリーマンなら、ようやく前半戦の商談が一区切りついて、遅めの昼食を駆け足でとって『残る後半戦も頑張りますか!』みたいな時間帯のはずですが、箱根の16時は完全に試合終了時刻を過ぎており、スタジアムは完全消灯で閉鎖され、スタッフの方々は(おそらく)『今日も一日お疲れ様でした!』の会を開いているような雰囲気でした。
もはや観客(観光客)は一人もいない状態でした。
本当の本当に、どこも、一軒も、お店がやっていませんでした。
一昔前に『世界の中心で愛を叫ぶ』という本がベストセラーになっていましたが、私は心の中で愛じゃない、別の何かを叫んでいました。
しかし早速『まさか』がこのような形で発動するとは思いませんでした。
隈なくどこを探しても、どこかはやっているだろうと思ったのですが、本当にどこもやっていない、感動的に。
みんなが閉めているから『うちだけはこっそり開けて儲けてやろう!』なんて欲のあるお店は一軒もなく、しっかりみんなが平等に規律を守って全店お店を閉めています。
というかお店の半分くらいは店舗が入っていなかったんですけど(笑)
君となら、世界の果てでも一緒に行ける
映画や音楽の詩によくあるフレーズですが、実際行ったらかなりきついと思いました。携帯をいじろうにも電波も繋がらないし(*箱根港は繋がります)、しゃべることもなくなって、最初はいいけどずっと世界の果てにいたら別れようにも別れたところで誰もいないしっていう(笑)
ミュージシャンは安易にそういったフレーズを使うべきではないと思いました。
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フジミヤ→不死身屋にして年中無休で開けてくれ、みたいな気分になりました。
24時間365日不死身の体でやらなくていいので、せめてもう2時間営業時間を伸ばして欲しかった。
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さらにホテルでは『クーポンは電子クーポンに変換してしてください』『そうしないと使えません』と言われたので、全く好きではない携帯電話を頑張っていじりながらアプリとやらをダウンロードしてクーポンを紙から電子に変換したら、まさかの『紙』しかダメでした(笑)
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もぉギャグなんですかね(笑)
さっき私が乗っていた船はノアの方舟だったのでしょうか?
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世界崩壊後の世界に船はタイムスリップさせる装置なのかと思いました。
結局一軒もやっているお店を見つけることが出来ず、何もしないでただ船に乗って箱根港まで来て、そのまま再びバスで箱根駅に戻るという。山手線一周するみたいな、本当に恐ろしく何もしていない最終日でした。
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仙石原はまだ時期ではないのでススキは微妙ですよと言われていたので普通に過ぎ去ったのですが、今思えばススキも十分綺麗だったので見ておけばよかったと思いました。そしてその後悔を書いてる現在が多分一番見頃なのだと思います。
箱根まで来たのにこのまま帰ると、2日目は本当に何もしていないことになるので意地でも何かしたくて最後は箱根駅から徒歩で行ける温泉を探しました。箱根をぐるっと一周したのになぜ開始地点にもどってからまた温泉を探すのかよくわかりませんでしたが(笑)
ロマンスカーの終電を調べて意地でも温泉に入って、美味しいものを食べて帰りたいと思いました。
そしてぶらぶらと温泉街の方へ歩いていたら、
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なんかダースモールがいました(笑)
私の心もちょっとダークサイドに依っていたので、こういう小さなストレスの積み重ねがダースベイダーを生んでしまったのかな?とか思いました。だから『ダースベイダーもイライラしてないで温泉でも入って落ち着こうぜ!』ってことでこういう場所にあるんですかね?そう勝手に解釈しました。
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近場で日帰り温泉をいろいろ探してみると、そこそこの値段はするけど写真写りのいい温泉施設が徒歩20分くらいのところにあリました。もう高くてもいいので美味しいものを食べてゆっくり温泉に入って最後の箱根を満喫して帰りたいという気持ちでした。
しかし、実際に行ってみたらそこはかつての社員旅行などでよく使われる大型温泉旅館のような、そこはかとない熱海臭が漂っている場所でした。
なんか旧箱物行政的な、ドドーンと談合で予算をかけて建てたような感じのイメージです。
ただこの時は疲れていたのでとにかくゆっくり座って美味しいものが食べられればなんでも良かったのですが、まず席に着いて店員から告げられたのが
『お茶はセルフサービスです』
という無慈悲な言葉でした。
ファミレスかよ?(笑)
そして周りを見渡すと
・ヤンキー上がりの胸がはだけ女と、タトゥーがガッツリ入った金髪パーマ&ピアスのイカついオールドヤンキーカップル。
・つけっぱなしのテレビから大音量で流れる痴漢が逮捕されたというニュース。
・キムチ鍋の汁みたいなシミがついたメニュー。
・セルフサービスのぬるいお茶。
という、おおよそ洗練された箱根のイメージとは似つかわしくない感じが散見されました。
前日に宿泊したホテルでは何度も『スリッパや浴衣ではロビーおよび食事場などは決して歩かないようにしてください』との説明を再三受け相当に景観に対して高い意識を保っていたのですが、私が立ち寄った温泉施設は浴衣どころか半裸で寝転んでるおじさんとかいたりして、もはや休日に遊びに行った友達の家の和室みたいになっていました(笑)
早々に食事をとり、帰りの電車の時刻が迫っていたので足速に風呂に向かうと、水風呂ではおじさんがバタフライをしていました。
もう、この建物は動物園だと思うように思考を切り替えました。
で、食事はフツーに天ぷらそばを食べたのですが最後に蕎麦湯が出てきました。
昔、蕎麦湯ってどうやって飲むものかわからず水に入れて飲んだり、そのまま飲んだり、非常に困ったことを思い出しました。
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20年以上前に初めて蕎麦湯を飲んだ時のことが思い起こされ、隣でくつろぐヤンキーカップルを横目に見ながら、ぼんやりと温泉街の日常を思いました。
私のようにこうやってたまに訪れる観光客とは違い、ここで生きる人たちにとって箱根の風景は常に『日常』としてあって、これからもそれが続いていくのでしょう。自分の住んで居る街の日常と箱根の日常を比較しながら、紅茶に浸したマドレーヌのかけらから壮大なストーリーが始まるプルーストの小説のように、ここから物語が始まるということはないのですが、蕎麦湯のうっすらと白く濁ったお湯を見てしばしの回想が始まりそうになりました。
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確かに観光でたまにくるならまだしも、毎日が観光地だったら、それはダースモールを設置したり、日常に変化や遊び心を取り入れたくもなるんだろうと思いました。もぉちょっとのキムチのシミやぬるいお茶なんか気にならなくもなるのでしょう。熟年夫婦の仲のような(笑)
しかし、これこそが旅行なのだと思いました。いつしか除菌、無菌、無農薬に慣れ切ってしまった私たちは、こういった小さなことが許容できない心の狭い人間になってしまいましたが、本来諸外国へ行くというのはこういうことなのです。大航海時代なんか命懸けだし鑑真なんかは仏教伝えるために失明までして航海したり。みんな大変な思いをして外に出て行っていたものです。(もちろん今はそういう時代じゃないし、好き好んでやる必要もないんですけど)
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帰りは誰もいないガラガラのロマンスカーで、ビールを飲みながら箱根での2日間に思いを馳せて帰路につきました。
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3回にわたって続いた私の夏休みの話もひとまずここで終了です。大学のレポートより遥かに長い分量で自分の旅行記をただ好きに書くという作業は、思いの外楽しかったのですが、これ以上ブログを書くことに集中して会社が傾いたりすると困るので(笑)ひとまず自分の作業に専念したいと思います。
2017年に『もう油絵は描かない』と言って、その後本当にドローイングだけに専念したリヒターのようにこれから11月くらいまでは私もブログを書くことを少しストップさせようと思います。
リヒターの『もう油絵は描かない』と同じくして、私も『もうブログは書かない』と言ってその後はブログではなく詩作に専念したりしたらかっこいいのですが、別に私のはそういう高尚な理由ではなくて、ただ単に作品が終わらないからストップさせるだけです(笑)
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気がつけば箱根を訪れて一ヶ月以上経つのですが、どんなに忙しくなったとしても私のような職業は、今もずっと「終わりのない休暇」が続いている感覚です。
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*後日談
8月に取れなかった私の『失われた休暇』は今回の旅行でしっかり取り戻せたのですが、その後この休暇のせいで死ぬほど忙しくなり、倍返しどころじゃない仕事量によって今度は私の『平穏な日常』が失われることになりました。
気がつくと私は、いつも何かを失っている気がしました(笑)