「対人援助と日常に使える!円滑な業務のためのフレームワーク活用術」
はじめに
介護事業所で働くみなさん、毎日のケア業務、本当にお疲れさまです。
利用者様への対応やチームでの連携、さらには様々な課題解決まで、介護の仕事は多岐にわたり、時には「どうすればもっと効率よくできるか…」と悩むこともあると思います。
そんなとき、頼りになるのが フレームワーク です。
フレームワークとは、課題解決や意思決定をスムーズに進めるための「型」や「ツール」のこと。今回は、研修でも実際にご依頼のある『介護の現場で役立つ具体的なフレームワーク』を紹介します。
フレームワークとは?
フレームワークは 「枠組み」「骨組み」 を意味し、仕事や生活での課題解決を助けるもの…一言で言うと「思考のテンプレート」です。
介護現場では、たとえば次のようなシーンで活躍します。
• 新しい介護方法を導入するときに手順を整理したい
• スタッフ同士で意見が食い違ったときに議論を整理したい
• 起きている課題を整理し、解決の方向を探りたい
頭の中でモヤモヤしている問題をスッキリ整理し、次のアクションを明確にするために有効です。
フレームワークの重要性
介護の現場では「経験」が大事だとよく言われますが、経験だけに頼りすぎると危険なこともあります。
「経験年数と経験値は比例しない」 という言葉があります。
これは、長く働いている人が必ずしも効率よく課題を解決できるわけではないということ。
フラットな態度でフレームワークを使うことで、経験の有無に関わらず的確な判断に進むことが可能となります。
介護現場で使えるフレームワーク集
ここからは、介護の仕事にすぐ取り入れられる具体的なフレームワークを紹介します。
1. PDCAサイクル
• Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善) のサイクルです。
• たとえば、新しい介護プランを試すときに使えば、振り返りと改善を繰り返すことで、利用者に合ったプランを作ることができます。
2. MECE(ミッシー/ミーシー)
• モレなく、ダブりなく を意識するフレームワークです。
• たとえば、利用者の生活課題を整理するときに「食事」「入浴」「移動」のようにカテゴリ分けをすると、モレやダブりを防ぐことができます。
3. 空・雨・傘
• 空(事実認識)→ 雨(解釈)→ 傘(対応策) の順で考えを整理します。
• 例:
• 空:「利用者が転倒しそうになった」
• 雨:「歩行器が合っていない可能性がある」
• 傘:「適切な歩行器を選び、使用方法を再確認しよう」
4. マインドマップ
• 思考や情報を視覚的に整理するツール。
• たとえば、スタッフミーティングでアイデアを出す際に活用すると、議論が活発になります。
現場で使うコツ
• シンプルなものを選ぶ
フレームワークはたくさんありますが、最初はシンプルで覚えやすいものから使い始めましょう。PDCAサイクルや空・雨・傘は特におすすめです。
PDCAは介護過程のプロセスにも似ているのでとっつきやすさがありそうですね。
• チームで共有する
一人で使うだけではなく、スタッフ全員で共有することで、現場全体が統一された行動を取れるようになります。
• 柔軟にカスタマイズする
現場ごとにフレームワークをアレンジして使うことで、さらに効果が高まります。アトリエギルドの研修やワークショップではこのあたりを重視しています。
課題解決のセンスとフレームワーク
「フレームワークが必要ないくらい常にセンスを発揮できる人は稀」です。
確かに、一部の人は直感的に素晴らしい判断ができますが、多くの場合日常業務での疲れや多忙さで余裕のレベルが変わります。そんな中でフレームワークは非常にシンプルで役立つ考え方を提示してくれます。
この「誰にでも役立つ」という点が、フレームワークの最大の魅力ではないでしょうか。
おわりに
フレームワークは、複雑な業務や課題をシンプルに整理し、次の一歩を示してくれる力強いツールです。
介護の現場で働くみなさんが、日々の業務をよりスムーズに、そして効率的に進められるよう、この記事や研修が少しでも役立てば幸いです。