《今日の新譜》金管五重奏 グリーグ :抒情小品集 第1集 Op.12
《今日の新譜》金管五重奏 グリーグ :抒情小品集 第1集 Op.12
ノルウェーの民族音楽から着想を得た国民楽派の作品をお楽しみください。
ぜひこちらからYoutubeで全曲視聴してみてください。
参考音源
https://youtu.be/q7C5LaSLSHE
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金管五重奏 グリーグ :抒情小品集 第1集 Op.12
Grieg, Edvard Hagerup:Lyriske smastykker No.1 Op.12
編成はTp.2本、Hn.、Tbn.またはEup.、Tubaです。
サックス五重奏版、木管五重奏版、クラリネット五重奏版は発売中です。
ノルウェー色が豊かな名曲をコンサート・ピースなどに、ぜひどうぞ。
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グリーグはベルゲンというオスロに次ぐ大都市に5人兄弟の第4子として生まれました。
幼少より母親からピアノを習いはじめ、15歳から18歳までは、ドイツのライプツィヒ音楽院で作曲とピアノを学び、
メンデルスゾーンやシューマンらの影響を受けました。
音楽院を卒業後は故郷ベルゲンに戻り、さらに翌1863年にコペンハーゲンで
ニールス・ガーデ(Niels Gade, 1817年~1890年)から作曲を教わり、国民楽派の影響を受けたと言われています。
彼はノルウェーの民族音楽から着想を得て、国民楽派の作曲家として注目されました。
民族音楽からの深い影響は『ペール・ギュント』第1組曲の第1曲「朝」の冒頭がノルウェーの民族楽器である
ハリングフェーレの共鳴弦を端からつま弾いた時の旋律から始まっていることからもうかがうことができます。
グリーグの肖像は、旧500クローネ紙幣に描かれていました。
グリーグはとても小柄でした。生前は卓越したテクニックのピアニストとしても著名で、自作を携えヨーロッパをたびたび演奏旅行しています。
彼は生地であるノルウェーの旧首都ベルゲンの自然と海をこよなく愛しました。
死後に火葬され、遺言によりトロールハウゲンの住居の下にある湖を望む岩壁に墓が設けられ、一部の遺灰は湖に撒かれました。
グリーグは終世、手のひらに乗るぐらいの小さな蛙の置物や子豚のぬいぐるみを大切にし、
寝る時も一緒だったそうです。演奏会の時は、あがらないように、ポケットの中で蛙の置物をそっと握りしめたそうです。
なお、この蛙の置物と子豚のぬいぐるみはグリーグの家(現在のエドヴァルド・グリーグ博物館)に展示されています。
ちょうどこのグリーグが活躍した時代というのは、当時勢いのあったドイツのロマン派音楽が周辺諸国へと波及し、
それぞれの国の民族的要素と融合した新しい音楽様式が生まれましたが、それを音楽史の中では「国民楽派」と呼んでいます。
その背景には、当時鉄道が整備され人々の移動が容易になったことも関係しているのではないかと思われます。
国民楽派の作曲家たちは、自国の歴史や風物、民謡、民族音楽などを題材にした作品を積極的に作りました。
ロシア、ボヘミア地方、北欧などで様々な作曲家たちが活躍し始めるのがこの時期です。
『抒情小曲集』は、エドヴァルド・グリーグが1867年から1903年にかけて作曲した、全66曲からなるピアノ曲集です。
6~8曲ごとにまとめられて出版され、全10集からなっています。
「蝶々」(作品43-1)、「春に寄す」(作品43-6)、「トロルドハウゲンの婚礼の日」(作品65-6)などはとりわけ有名です。
1867年、《ピアノ協奏曲イ短調 作品16》で一躍有名になったグリーグは、この年から1901年にかけてこの作品集を書き上げました。
抒情小品は生涯にわたって作曲されているため、グリーグの作風、技法、その変遷すべてがその中にあらわれていて、
作品群の中でも中心的な存在です。
いずれも1分~6分程度の小品で、ステージ用というよりは、主にサロンや家庭で広く親しまれていました。
どの曲にも標題がつけられていて、それぞれの曲に対して、一つの感情、気分、情景が表現されています。
1867年、第1集を発表しましたが、その後ピアノ、作曲、指揮など多忙だったこともあって、第2集が発表されたのは、
その16年後でした。第2集から第10集はある一定の間隔をおきながら続けて作曲されました。
全10巻で、計66曲の作品がおさめられています。
●抒情小品集 第1集 / Lyriske smastykker No.1 op.12
全10集中、最も易しいものですが、グリーグの洗練された魅力が凝縮されていて、特に人気が高い曲集です。
初心者の教材としても適しています。
1.アリエッタ / op.12-1 "Arietta":性格小品。3つ声部からなり、儚くも美しい旋律がソプラノで歌われ、
それをアルペッジョとバスの音が支えています。
2.ワルツ / op.12-2 "Vals":ワルツのリズムにのせて、どこか大人びた色気のある旋律が軽やかに奏でられます。
3.夜警の歌 / op.12-3 "Vaegtersang":性格小品。シェイクスピアの『マクベス』の上演からインスピレーションを得た曲です。
簡潔な中にも、非常に洗練された美しさがあります。
4.妖精の踊り / op.12-4 "Elverdans":スケルツォ的な性格をもち、メンデルスゾーンの曲に登場する妖精の舞を想像させます。
軽やかに演奏できれば好演となります。
5.民謡 / op.12-5 "Folkevise":憂いを帯びたようなノルウェー風の旋律が舞曲のリズムにのせてうたわれます。
6.ノルウェーの旋律 / op.12-6 "Norsk":冒頭から心が躍るような力強い民俗舞踊で始まります。
不規則なフォルツァンドと、その変化が曲に躍動感を与えています。
7.アルバムの綴り / op.12-7 "Stambogsblad":1865年に出版されました。コペンハーゲンで出版された音楽季刊誌において発表された曲です。
ソプラノと、テノールで旋律が対話するように進んでいきます。
8.祖国の歌 / op.12-8 "Faedrelandssang":性格小品。1869年に出版されました。
ノルウェー賛歌であり、ビョルンスチェルネ・ビョルンソンが歌詞をつけてグリーグが男性合唱用に編曲したものも同時に出版されました。
国歌風の威厳や誇りが感じられる作品です。
アトリエ・アニマート
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