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自分が自分らしく在るために。ヴィンテージショップ『SOME(サム)』が変わったこと、変えていくこと
身につけるだけで気分が上がったり。
それを着て誰かとどこかに行きたくなったり。
いつもより大胆になったり。
ファッションは、私が私らしくあるために欠かせない要素だ。時に「変わりたい」と願う時にも、ファッションはどこまでも自由に選択肢を与えてくれる。
そんな自分らしさを表現したい人たちが通う古着屋が名古屋にある。
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atelier hito(以下、hito)と仕事をした店主さんにインタビューするシリーズ企画「hito note」。hitoさんたちが仕事を通じて新しく何かを始める人たちを応援するように、このhito noteでは空間づくりのことや、これから何かを始めたい人たちの背中を押すような思いやエピソードを伺っていきます。
今回お話を伺うのは、名古屋・鶴舞のヴィンテージショップ『SOME』の五藤和代さん。店舗リニューアルに向けてどのようなことを意識し、またどのような変化があったのでしょうか。これまでを振り返っていきます。
2ブランドの共存。リニューアルしたSOMEの空間演出
リニューアルしたのは2021年6月。元々careだった店舗にSOMEが加わり、『SOME』として一つの店舗に。古着を着たことがない方でも取り入れやすい、ベーシックなラインのものが中心のcareと、ポップなデザインや、カラフルなカラーリングのものを中心に扱うSOME。どちらの世界観を取り込んだ店舗が誕生しました。
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ーーリニューアルを経て空間がとても広くなった印象です!
五藤:お客さまからもよく言われますが、広さは変わっていません笑。ただ今回のリニューアルで、以前まであった壁をなくしたことで、奥の外壁まで見えるようになったのと、壁を設けず、全て移動式の高さを抑えた家具を使って仕切っているからだと思います。一つの空間に二つのブランドが入るので、窮屈に感じないように気を遣ってレイアウトしたり、hitoさんにもデザインしていただきました。
ーーatelier hitoに依頼したきっかけは何だったのでしょうか?
五藤:atelier hitoとして活動される前から岡島さんとイベントで面識がありました。今回、両ブランド兼ね備えた空間をつくる上で、いろんな角度から物事を見れる方がいいなと思い、店舗改装をhitoさんにをご依頼しました。
ーー五藤さんはご自身のスタイルを持っていらっしゃる印象で……完成イメージをほとんど持った上でご依頼されたのですか?
五藤:「こうしたい」とお願いしたこともありましたが、逆にhitoさんから提案いただくこともありました。例えばラックのパイプ部分。careの持つベーシックさを基盤に、SOMEらしく遊び心を入れて、真鍮のパイプを曲線に、変化を持たせています。
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五藤:他にも、ラックの後ろにスクリーンのような布をかませることで、季節やイメージ毎にベースカラーを変えられるようにデザインしてます。シーズンごとに店内の雰囲気を変えてみたらどうかなど、「なるほど」と思えるような提案をいただき有り難かったです。ただ私がうまく活用できていないのと、シーズンで服の物量がかなり変わるので、使えず仕舞いなのですが……。
ーー確かに秋冬物と春夏物で服のボリュームが違いますね……!
五藤:施工デザインを考えていた時はちょうど春夏だったので、在庫ストックは正直「これぐらいでいけるでしょう!」みたいな感じのテンションでいたんですけど。でも実際、秋から冬に近づくにつれて、「やばい。全然足りない。どこに入れるんだ!」みたいな(笑)。
気持ちいいフィッティングの要は、鏡にあり
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ーーアパレルはシーズンで物がガラリと変わったり、それに応じてディスプレイも変わるので難しいですよね……。どんなことを意識して配置されているのですか?
五藤:鏡の位置と角度には特に気を遣っています。ラックの服を手にとってすぐに自分にあてたいじゃないですか。10人に8人が「ここに鏡あるでしょ」って思う場所、どの服を手にとっても必ず違和感のない場所に鏡をおいています。
フィッティングから出た時もすぐ鏡が見れるように、この道を変えて欲しいとかhitoさんと話をして決めました。鏡の相談が一番長い時間をかけているかもしれないですね。
ーー鏡の場所を意識していると、それに伴ってアイテムの位置も決まってきますね。
五藤:例えば、手を伸ばさないと取りづらい位置には置かないとか、テーブルは基本的に人が使いやすい規格になっていますが、アイテムが見やすく、使っていて疲れない高さになるようにしています。
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ーーたしかに……気にしちゃいます。飲食店でもテーブルと椅子の高さがあっていないと違和感があって。
五藤:細かいことですが、お客さんが気持ちよくお買い物できる動線設計には気を遣っていますね。あとはフィッティングルームも狭いって感じるのが嫌だっていう話をして、次の改装ではとても広々とスペースを設けることにしました。住めるんじゃない?!ってのは冗談ですが(笑)、そのくらいゆったりとした空間で、ラックも置く予定です。
ーー次の改装が待っているんですね!
五藤:はい!9月半ばから9月末の間、ディスプレイとフィッティングのレイアウト変更など、ブランドが一つになったSOMEの集大成としての改装をします!うちのお客さんで試着される時は、10着以上試着することがとても多いので、お客さんがワクワクしながらいろんな服を試せるようにしたいと思っています。
「自分らしく生きる」をファッションで叶えるために
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ーーここまで空間づくりやリニューアルなどお店自体の変化について聞いてきましたが、同時にコロナ禍でもあり、お客さんの購買行動にも変化があったと思います。五藤さんはどのような変化を感じましたか?
五藤:SOMEにいらっしゃるお客さんを見ていると、自分の本当に好きな服を買うようになった方が増えた印象です。自分らしく生きたいっていう方がお越しいただけるのは嬉しいですね。
ーーコロナ禍でライフスタイルが変わり、外出の機会が減り、単純に考えると人はおしゃれしなくなるのかと思いました。でもむしろ、おしゃれを大事にする方が増えているんですね。
五藤:そうですね、「自分を表現したいけれど、何を着ていいかわからないから」とSOMEにお越しいただける、頼っていただけるのはありがたいですね。感染症対策のために予約制、1対1の接客になったことで、お客さん一人ひとりに合わせたレイアウトにできたり、マンツーマンでご提案できるスタイルになったのも大きな変化だったと思います。
ーーお客さん一人ひとりとコミュニケーションをとる機会が多いと思います。そんな五藤さんが、コミュニケーションや仕事において大切にしていることは何でしょう?
五藤:そうですね、「人に言われて嫌なことはしない」ですかね。
ーーとってもシンプルで当たり前のことなのに、日々に追われていると忘れそうで……大事ですね。
五藤:私が接客された時に、こういう風に言われたら「嫌だ」というよりも「違和感」があることはしていません。「よかったら鏡で合わせてみてください。」とか、「こちらで試着できます。」とか、言わなくてもわかることですよね。
ーーもう接客のセオリーみたいになっていますが、よくよく考えると自明ですよね。気になったら自然と鏡に当てて見てますし。
五藤:お客さんに話しかける第一声としては便利だと思います。すごく嫌ではないですけれど、いう必要のないことは言わない方がいいかと私は考えています。
ーーお店のリニューアル工事を控えていますが、最後に、今後こうしていきたいなど展望を聞かせてください。
五藤:私はお客さんに求められて、それで仕事が成り立っていると思っています。なので私が「こうしたい」っていうのはあまりないです。お客さんが求めているなら、東京の店舗や、服ではないジャンルなどにもチャレンジしたい。自分ができることで、お客さんをサポートできるのであれば、やってみたいと思います。
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「アパレルだけにこだわっている訳ではないです」という和代さん。でもなんでこの仕事をやっているのか。
五藤:服自体はもちろん好きなんですけれど、古着のような、時代背景が見えるものが好きだからです。一点ものであり、今の時代には作り出せないようなものを集めたり、見つけたりするのが好きで、この仕事を続けていると思います。それにお客さんの嬉しい顔を見ると励みになりますね。「自分がこんな風に変わるんだ」という瞬間が見れるのがすごく楽しくて、だから頑張れるし続けられています。
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……ということで、SOMEさんへのインタビューはひとまずここで終了。
ですがSOMEさんの変化はここから。新たなリニューアル工事に向けて、hitoさんと一緒にまた歩き出しています!
2022年10月頭を予定にさらにパワーアップしたSOMEさんがお披露目です。
ぜひ、hitoさんのInstagramでその様子をご覧ください!
▽atelier hito 公式サイト
direction:atelier hito
writer:fujico