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ATBくんはチラムネ(千歳くんはラムネ瓶のなか)に浸りたい

 TLで時々みかけて気になっていたガガガ文庫の「千歳くんはラムネ瓶のなか(著:裕夢)」(以下、チラムネ)。某900万部青春ラブコメがとりあえずの完結をみてしまったということもあり、心の隙間を埋めたかったのか、なんとなーくポチってみたらこれが好かったので、なんか書こうと思った次第。

 まだ既刊二巻なので、ネタバレ云々という段階ではない気もするのだが、まぁ配慮しつつ、感想を書いていこうかと。

 まずは分かりやすいところから。イラストがとてもかわいいとても。もし、自分がチラムネのアンチを演じろと言われたら、二言目には「絵がかわいいだけの(ry」とか言いだすこと間違いない。それ、少なくとも絵に関しちゃ褒めてるやんけ。
 ぶっちゃけ先述のTLというのは、丸戸作品絡みでのものなのだけど、多分そこでとりあえず記憶に留めておけたのは、やはり、抜群にイラストが好みだったおかげなんだろうなぁ。ちなみに、イラストレーターのraemzさんはカルフォルニア出身らしい。もうそういう時代なのやなぁと感慨を感じた。
 あと、このraemzさんの透明感のあるかわいいイラストが、後述する情景描写の巧みさと絶妙にマッチしている気がする。
 なお、そんなかわいいヒロインたちの姿はこちらで拝めます。

 とはいえ、こちらのチラムネ、絵がかわいい!から入っていくと、なかなか厳しい面も無きにしもあらず。特に序盤の”リア充”主人公への鼻のつき具合は異常。鼻につくとはちょっと違うけど、なるほどーこれが、一時期Twitterで流行った"ロジハラ”というやつかー、と妙に感心したりもした。だけど、多分その感想自体は間違ってない。この本の元となるものは、小学館ライトノベル大賞の優秀賞を受賞しているのだが、上の編集部ログでは、こう書かれている。

実際、新人賞の選考会も大いに荒れました。そもそも鼻について無理、という意見が大勢でしたね。ゲスト審査員の浅井ラボ先生に「問題作」と言わしめたのも、まさにそのあたりに所以があります。

 そう、「鼻について無理」なのは織り込み済みなのだ。それはつまり、それを超える魅力があるのだ、ということに他ならない。感情を揺さぶられたいから小説を読んでいるわけで、正直、可能性のカタマリで好き。
 1巻と2巻ではだいぶテイストも変わってくるので、是非買うなら両方一気に買って欲しい。それで、どうしても合わないというのなら、まぁ仕方ないんだろうなとは思うけど。今までを振り返れば、なるべくして”リア充”とやらになっていると感じる人は確かにいるし、色々大変ではあるんだろうなと思える感覚も自分的にはあるのだが。

 そして、最後に、ネタバレにならない範囲で、今のところチラムネで一番好きなところはどこかと言われたら、情景描写の綺麗さ、美しさと、その言葉選びの積み重ねだと思う。二巻の帯の裏の推薦コメントでも触れられているので、同じように感じる人はきっと多いのだろう。ふっと、情景が目に浮かびやすいのもとても好き。2巻の357ページを読みながら、自分の脳裏に浮かんだ月の姿は、今までで見たどんな月よりも印象に残ったし、ため息が漏れた。具体的にどうだと言われると困るのだけれど、多分、先ほど述べたその積み重ねが効いているんではないだろうか。

 読後の第一印象は、面白かった!というよりも、好きだなぁ、続きが気になるし楽しみ!という感じ。もちろん、面白いのだけれど、後者のほうがしっくりきた。あるいは、浸りてぇ…と言い換えることもできるかもしれない。
 今は、続きが楽しみで収まっているが、もしかしたら、終盤になるにつれ、俺たちの分岐点にいつも雪が降る某恋愛アドベンチャーゲームよろしく、「もう、見たくない…でも、見届けずにはいられない」とか思い始めるかもしれないけど(笑)。まぁ、それは極端な話にしても、一筋縄ではいかなそうな物語にはなっていくのかもしれない。

 ということで、「千歳くんはラムネ瓶のなか」オススメです。2巻のゲーマーズ特典が欲しくて、そっちでぽちったところ、版元に在庫がないとかで、キャンセルされてしまいましたが、とりあえずAmazonとかにはまだ在庫あるっぽい。

 続きが気になるラノベ、チラムネのダイマをしました。今のところ、個人的には、優空や明日姉にスポットがあたる巻が特に楽しみですね。

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