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教育社会学の知を活かす

先月から、教育社会学の教職テキストを作るためのオンライン編集会議に参加させていただいています。(日曜の回しか参加できていませんが…)
『よくわかる教育社会学』『半径5メートルからの教育社会学』など、教育社会学の教科書は既に多数出版されていますが、このテキストは「現場の教員や教職志望者に読んでもらう」ことを念頭に置いた画期的な教科書になる気がしています。

何よりすごいのが、このテキストの編集会議がオンラインで参加可能なこと。私のような中高教員はもちろん、大学で教職科目を担当されている先生や教職志望の大学生など様々な立場の方が参加されています。テキストの草稿を各自読んだうえで、ディスカッションや質疑応答を通じてより充実したテキストを目指していく、という貴重な経験をさせてもらっています。珍しい試みだということで、今日は新聞社の方も取材に来られていました。
大学生の熱意に時折圧倒されつつ、「教員になるうえで心得ておきたい教育社会学の学びとは何だろう?」と自問しながら参加しています。「現場教員代表」みたいな感じでコメントを求められる場面が時折あり、それはそれで大変なのですが……
教育社会学は「厳しい現実を暴露したり穿った見方をするばかりで、血が通っていない」と揶揄されることもありますが(教育社会学を目の敵にする教員は実際にいます)、教育社会学を学んだ人が教員になる意義は大いにあると個人的には感じます。今回の新テキストなどを通じて、より多くの教員・教職志望者がポジティブに学校教育と向き合えるようになればと思います。

最近の新書から、教育社会学の知に触れるための入門書を3冊ほど。

去年出版されて話題になった本です。新書としてはかなり分厚いですが、日本における教育格差の実態を克明に描き出しています。淡々とした語り口ながら、文章の各所から著者の問題意識をひしひしと感じます。
累計5万部を突破したそうですが、この分厚い新書が5万部売れていることにはちょっとした希望も感じます。教育に関わる人は必読。

学校現場では「○○力の育成」が盛んに謳われ、学習指導要領改定のたびに新しい「○○力」が持ち込まれているのが現状ですが、こうした「○○力の育成」を称揚する風潮にこの本は疑問を投げかけています。慶応大学文学部の小論文などでも出題され、受験業界でもちょっと話題になりました。従来型のペーパーテストや総括的評価が批判される中で、「能力の育成」をどう考えればいいのか。そのヒントをもらえる一冊です。

つい先日出たばかりの本です。著者は「力のある学校」研究の代位に陳謝であり、学力格差の是正に取り組んできた阪大の先生です。私自身、学生時代はそこまで凄いと思っていなかったのですが(失礼)、最近改めてこうした研究の重要性を実感するようになりました。「教育社会学なんて現場で役に立つの?」という人に是非お薦めしたい一冊です。

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