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konomiasahi
あの人の文字で書かれた私の名前
以前と変わらない文字だったからすぐに誰からの手紙か分かった。
ずっとこの時を待っていたのにいざ目の前にすると怖じ気づいてしまう。
その場で開けてしまえば良かったのにためらってしまったせいでこんな時間になってしまった。
楽しみを置いておきたいという気持ちと不安な気持ちで半々だ。
前回の文通を止めてしまったのは私だったと思う。
私の手紙を待っていた彼女は空っぽの郵便ポストを見て何を思っていただろうか。
考えるとすごく胸が痛い。
そして何年もの時を経て私の手紙が入っていたとき彼女は何を思っただろうか。
彼女は優しい。すごく優しい。
怒るような人ではないと分かっているのに不安でいっぱいになる。
不安だけど、やっぱり私は身勝手で手紙を通して彼女に会いたい気持ちが勝ってしまうのだ。
開けてしまう前に、最後の焦らしとしてこの記事を書いた。
俳句としては季語もなくて十七音でもないので未完成だと思う。
けど今の私にはこれが精一杯なのだ。
彼女の丸い字で書かれた自分の名前を見ていると愛おしくてたまらなくなる。