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【ブックレビュー】恐れのない組織ー「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす

この本との出会い

一つ心理的安全性の本を読んだので、もう一つ読んでみようと思ってAmazon内で探して見つけたのがこの本。
この本は、いろいろな失敗事例・成功事例を紹介し、心理的安全性の重要さについて説明をしており、とても理解しやすい。
また、その成功事例・失敗事例の両方に日本での事例もあるから、ぐっと関心をひきつけてくれる。そんな本でした。

これ以降の文章は、単に本の内容を纏めようとしているのではなく、私個人の意見も含まれているので、これが要約ではないということをご理解ください。

心理的安全性がない(なかった)組織の例

  • フォルクスワーゲン

  • ウーバー

  • KLMオランダ航空

  • NASA

  • 原子力安全委員会(日本)

これらの名だたる組織において、部下が上司に対して間違いを訂正することができずに大事故になったり、技術的には難しいということを低減できず、上司の無茶な命令を達成するために不正を働いたりと、心理的安全性がないことによって、さまざまな悲惨な事態を生み出すことになっている。
この事例が多く紹介されているのは、いろいろな驚きを覚えるとともに、理解はとてもしやすい。
また、日本の事例も含まれている。組織名を見るだけで、どういう悲劇なのか多くの方がすぐに気づことと思う。

「心理的安全性がない」とは

「心理的安全性がない」ことによるケースは色々あったわけですが、端的に言うと「メンバーが失敗を恐れる」対人関係リスクということ。

何かを発言して、間違っていたとしたら、「あいつは無知だ」とか「わかってない」と思われるかもしれない。その場で上司に「何を言っているんだね、君は!」と叱責されるかもしれない。(こういう言葉遣いする人、見たことないですけど)

何かを企画したくても、「絶対成功するのか」「失敗したらどうするのか」などと言われたとしたら、こりゃ失敗したら大変なことになる、と萎縮してしまう。

そのような環境にあると、「間違っているかもしれないけど言わなきゃ」ということと、「間違えていていたら叱責される」「間違えていたら無能と思われる」ということを無意識に天秤にかけ、「言わない」という選択をしてしまうことになる。

他には失敗(後の叱責)を恐れ、「やってみたいけどチャレンジして失敗したら、、」と考えると「チャレンジしない」という選択をしてしまう。

結果、間違えから学ぶことができないし、成長することができないということになる。これは、言った本人が間違ってる場合だけではなく、言われた方が間違いに気づくことで、避けられるべき失敗を回避することもできないということになる。前述した事例では、このケースが多い。
そして、それらの組織ではイノベーションは生まれないという。

心理的安全性がある組織の例

  • ピクサー

  • アイリーンフィッシャー

  • グーグルX(アルファベットの社内独立部門)

ピクサーの例

ピクサーではブレイントラストという出来上がりに対するフィードバック会が行われ、いろんなメンバーが率直なフィードバックを述べる機会を与えられる。このブレイントラストでは、以下のルールがある。

  1. 受け取る側は批判に過敏になったり、個人的なものとして受け取らないようにすること

  2. フィードバックは強制力がない。最終的な判断は監督ほか制作側にある。

  3. フィードバックはあら捜しではなく、共感の観点から行われなければならない。

このブレイントラストは長年行われており、「トイ・ストーリー」もこのプロセスで生み出されていたというから驚きだ。

グーグルXの例

この組織の目標は「ムーンショット」を世に出すこと。それは簡単ではないことであり、幾重の失敗の積み重ねにより、ムーンショットが生み出される。当然ながら、グーグルXでは失敗が批判されることもなく、失敗した末に「これはやめよう」とプロジェクトが終了すると、ボーナスが出たりするようだ。
これを踏まえ、著者は、以下のように述べている。納得。

失敗できないことが本当の失敗である

恐れのない組織 - 「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす

リーダーがすべきこと

成功事例をみると長年のカルチャーがあり、失敗がイノベーションや成功に結びつくようなプロセスが出来上がっている事がわかる。それは一朝一夕にできるものではないので、少し気が遠くなるような気がしてくる。

「心理的安全性」のある職場を作らねばならない、のはそうであるが、具体的にはどうするのか。逆に言うと、安全ではないものを取り払う必要がある。批判をする人がいたら、批判をするなと叱る?いや違う。これでは何も変わらない。

大事なのは、傾聴共感だと思う。
なんか、コーチングでもこのようなワードが重要なワードとしてよく言われている気がする。コーチングも主には上司と部下の関係で、部下の能力・個性を引き出す手法として言われるものであり、通じるところは多い。

自分が上司であれば、部下に対して傾聴と共感を持って接する。基本的に「他人を変えたいなら自分から」(=他人の行動を直接変えることはできない)という考えで、自分がそのような行動をしていく。そこで大事なのは「本気度」。テクニカルに、傾聴・共感で使われるワードを駆使して行くのも大事だが、私達の本気度が重要であり、表面的な行動であればいずれボロが出るし、部下にも見透かされてしまうだろう。

上司が心理的安全な人ではなかったらどうするのか。自分以下を心理的安全な状況にし、上司に気づかせる・重要さを提言していく、こういうことになる。それでも、上司が心理的不安を与える人だったら、その組織とはサヨウナラでもいいかもしれない。

なぜいま心理的安全性が流行るのか

「心理的安全性」という言葉が登場する前から、成功のために不可欠なものであったと理解できる。近年、よく耳にするのはなぜだろうか。やはり、このVUCAと言われる時代、またダイバーシティ&インクルージョンが叫ばれる時代において、トップダウンだけでは新しいものは生み出せない、画一的な、型にはまった動きだけで収益を挙げられる時代は等に終わっているということ。

また、2020年から3年目に突入している「コロナ禍」。リモートで働く機会が増え、上司・部下・同僚とのコミュニケーションが少し難しいと感じるようになっている背景も関係しているように思える。

本当は、コロナ禍でコミュニケーションが難しくなったのではなく、対面で会話ができるからコミュニケーションできている「つもり」だっただけで、上司・部下・同僚と心を開放して、傾聴と共感を持って接していれば、コロナ前後で何変わらないと言えたのかもしれない。(そういう人にあったことはないですが)

おわりに

長々と書いてしまいました。2つの本を通じて、心理的安全性の重要性は十分理解できた。特にこの本だと、事例満載なのでより腹落ちした。
本を読んで、自分の感想をまとめるだけで終わりにしても意味ないので、自分の組織において、具体的どのようにしていこうか。それは私だけの秘密の話にしておきます。

今回の本はこちら


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