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2024/11/09
土曜日。いつもの土曜日よりは少し早く起きて、彼のもとへ車を走らせる。
今日は大学の文化祭。懐かしい道を2人で歩いた。構内に入ると、懐かしい空気と共にお祭りモードが一気に押し寄せてきた。大きいステージにはお笑い芸人が来ていて、広場が人でびっしり埋まっている。有名なネタが見られて嬉しかった。お笑いはハッピーになるからいいなぁ。そしてやっぱり生でネタを見ると面白さが倍増する気がする。
学科や部活、サークルなどが出店を出していて、食べたいものを1人前買って全部半分こして食べた。バンドサークルが野外ステージで演奏していて、結構上手くてびっくりした。私も大学のうちにバンドサークルに入りたかったなぁぁぁといつも思う。
聞こえてくる演奏に体を揺らしながら、出店を見つつふらふらしているのが楽しい。大道芸サークルが道端で芸を披露していたり、美術専攻の人が似顔絵を描くブースを出していたり。売り込みのために自作の看板を提げて練り歩いている人がいたり。やっている側も来ている側も、それぞれに楽しんでいてすごくいい。そういうムードの中、懐かしい景色に思い出す当時のことを話しながら歩いた。文化祭って準備が物凄く大変だけど本番のこういう雰囲気が好きだなぁ。普段の学内の景色が一変して、みんな楽しそうでふわふわしている。森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」を思い出した。第1章「夜は短し歩けよ乙女」、第2章「深海魚たち」、第3章「御都合主義者かく語りき」、第4章「魔風邪恋風邪」と、4章に分かれている。そのうちの第3章の舞台が学園祭で、この文化祭特有のふわふわしたムードがよく表現されているのだ。その他の章に関してもそうだけど、森見登美彦はそういうその場にある独特の空気感を言葉で醸し出すのがすごく上手いと思う。読んでいるだけでその場の空気が自分の周りに漂ってくるような気がするし、反対に、今回のようにそういう空気を実際に自分が感じた時、その作品のことを思い出すことができる。これはすごく楽しいことだ。生活やその時間がさらに自分の中で充実したものになると思う。読書の楽しみとはこういう所にもあるよなぁ、と改めて感じられた。
大学生に戻りたいね〜と当時の一人暮らしを思い出したり、私たちは学部も学年も違ったので、当時のことを思い出してお互いに話したりしながら夕方まで楽しんだ。今後の現実的な話や、お金のこと、やっぱり貯金しないと自由にもなれないし大人にもなれないね〜という話をした。最近は彼とこういう現実的な話をするのが好きだ。ゆっくりではあるが、着実に未来を見ることができている気がする。