政治家による裏金や脱税をスルーな政治資金規正法改正案
裏金を作っていたことが年末からずっと騒がれている政治資金のお話。
衆議院では改正案が通過し、参議院で議論がされている最中ですが、私はいつの間にか問題の焦点がすり替えられていると感じています。
そもそもの問題は使途が不明だったこと
そもそも、当初この問題で言われていたのは派閥から政治家個人に政策活動費としてキックバックした資金が裏金になっているのでは、という疑惑でした。
この辺りは以前の記事で簡単にまとめています。
そう、確かに政治家の収支報告書に記載されない収入があるため、裏金化しており、何に使っているのか全くわからないことが問題だったはずです。
政治資金の脱税疑惑
現状のルールでは、政治資金には課税されないようになっています。
そして、政党から議員個人に渡すお金は「政策活動費」といって、政党が渡したことを記載しておけば、議員側の記録には何も残さなくていいことになっています。
この政策活動費が裏金化してしまい、何に使われているか全くわからず、調べる方法もありませんので、本当に政治資金として使われたか不明です。
もしも、政治資金として使われていないのであれば、本来所得税が課されるべきお金に課税されていないことになり、脱税しているのではとの疑惑に繋がります。
一般の企業であれば、経費として計上しようと思うと、何に使ったのかわかるように領収書の添付が義務付けられることが一般的だと思います。
しかし、政策活動費として政党から政治家個人に渡ったお金は、領収書も要らず、何に使われたのか不透明なのに税金を払わなくていいということが問題化していたのです。
政治資金規正法改正案の概要
では、国会で実際に議論されている改正案の概要をみてみましょう。
議員が収支報告書に対して「確認書」作成による連座制の導入
パーティー券購入者公開の基準を20万円→5万円
政策活動費を10年後に領収書公開
政策活動費の透明化の為の第三者機関の設置を検討
(NHKニュースの記事を参考に箇条書きにしました)
政策活動費については、10年後に領収書を公開する制度を設けることになっているので、一見透明化をしているように見えます。
しかし、脱税疑惑については全く意味がないと言えます。
所得税の時効は5年
まず、なぜ領収書の公開が10年後なんでしょうか。
もし、10年後に領収書が公開され、不正が発覚したとしても所得税や政治資金規正法の時効は5年です。
つまり、10年後に公開されたとしても罪に問われることはなく、逃げ切りが可能です。
当初問題とされていた裏金や脱税対策にはならないと思います。
政治家も確定申告制に
一般の国民は源泉徴収や確定申告で納税をしているのに、政治家の納税に関するルールは緩すぎて、特権的であるとも感じます。
そこで、一般の国民と同様に、政治家も去年1年間の収入と支出を計算し、課税額を決定する確定申告を設けてはどうでしょうか。
その中で、領収書などで政治資金として使われていることが確認できたものについては非課税とする。
できるだけどういった用途に使ったか公開されるのが理想ですが、どうしても公開できないものもあるかもしれません。
その場合は政治活動として使われたかどうかは証明できないので、課税対象とすればいいだけだと思います。
政治家のルールを政治家が決めると、とんでもなく甘いルールになり、国民の信用を失うだけです。
そして、国民が政治に対して信頼や期待が持てなくなれば、本来発揮されるべき政治の力も失われます。
戦後の日本は政治と金の問題をはじめ、様々な問題が起きるたびに、このサイクルを繰り返してきたのではないでしょうか。
ここまできたら、国民の信頼を取り戻すために、国民と同様のルールに揃えるぐらいのことはやってほしいものです。