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縦糸と横糸

引用:東京に行った時に買った

須賀敦子さんの著書”こころの旅”

ー となり町の山車のようにー

@角川春樹事務所より



「線路に沿ってつなげる」という縦糸はそれ自体、

物語る人間にとって不可欠だ。

だが同時に、それだけではいい物語は成立しない。

いろいろ異質な要素を、

となり町の山車のようにそのなかに招きいれて

物語を人間化しなければならない。

ヒトを引合いにもってこなくてはならない。

脱線というのではなくて、

縦糸の論理を、

具体性、あるいは人間の世界という

横糸につなげることが

大切なのだ。

たいていの人が

ごく若いとき理解してしまうそんなことを

私がわかるようになったのは、

老い、と人々が呼ぶ年齢に到ってからだった。


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