縦糸と横糸
引用:東京に行った時に買った
須賀敦子さんの著書”こころの旅”
ー となり町の山車のようにー
@角川春樹事務所より
☆
「線路に沿ってつなげる」という縦糸はそれ自体、
物語る人間にとって不可欠だ。
だが同時に、それだけではいい物語は成立しない。
いろいろ異質な要素を、
となり町の山車のようにそのなかに招きいれて
物語を人間化しなければならない。
ヒトを引合いにもってこなくてはならない。
脱線というのではなくて、
縦糸の論理を、
具体性、あるいは人間の世界という
横糸につなげることが
大切なのだ。
たいていの人が
ごく若いとき理解してしまうそんなことを
私がわかるようになったのは、
老い、と人々が呼ぶ年齢に到ってからだった。