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『自転しながら公転する』/山本文緒

最近山本文緒作品にハマっています。
2021年に58歳の若さで膵臓がんで急逝されたというニュースを見た時は、
もう山本さんの作品を読むことができないのか…ととても残念に思いました。

最近になって、ブックオフで山本文緒さんの初期の作品を買い漁って読んでみて、
初期の頃はわりとベタな恋愛小説が多い中で、
『群青の夜の羽毛布』なんかは文緒イズムが溢れていて好きだなと思いました。

こちらの作品は2020年に刊行されたもので、
当時新刊で買って一読したのですが内容をよく覚えておらず、
改めて再読してみました。

主人公は契約社員としてアウトレットのアパレルブランドに勤務する33歳の女性。
母親の介護をしながら実家から通勤する毎日。
周りの友人が結婚・出産と人生イベントを迎えていく中、
同じくアウトレットの飲食店に勤務する年下の男性と付き合うことになる。
自分のキャリアや結婚、将来について葛藤しながら、
家族、友人、彼氏、同僚とさまざまな人たちとの関わりについても
とてもリアルに表現されている作品です。

3年前に読んだ時よりも主人公の女性と年齢が近くなったせいか、
ずっと身近に感じられて、ところどころ共感しながら読み進めました。
主人公が、今の自分のままではダメだと自覚して、
そこから脱するためにもがき、新たな経験にチャレンジしていく姿は
自然と応援したくなったし、「今の生活を変えたい」と思った時には
やっぱり何かを変えないと始まらないよね、と思えて勇気をもらいました。

主人公の幼なじみの1歳下の女性が、主人公に対して言う台詞がいちいち正論で、
個人的にはとても身に沁みました。。。

また何年か後に読んだら、見方も感じ方も変わるんだろうなと思います。
でもこのタイミングで再読できてよかったなあと思えた作品でした。


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