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新しい居場所を作る

中学校で不登校だった長女が
高校に入学してもうすぐ2ヶ月が過ぎる。
はじめこそ、通学する体力が無いとか
お友達との距離の縮め方とかで悩んでいたが、
今では割と安定して通学できるようになった。

久しぶりの勉強や課題提出も
私に助けを求めながらも、
教え方が悪いなどと文句を言ったりもする。
危なげながらも、
なんとかやっているなあと応援する気持ちで
求められることに答えるというスタンスを取る。

先日は仲良くなった4人組で遊びに行き、
一緒に公園でお弁当を食べたり、
マクドナルドで宿題したりなんていう
健全な?高校生活を満喫し始め、
ほっとするやら心配するやらの母48歳の春である。

私と帰りが同じような時間になれば、
お迎え要請がくる。
先日待てど全く出てこないので連絡したら
「数学教わっているから、もうちょっと待って」
とLINEが入る。
やれやれと思いながら、
せっかくの時間なので本を読んで過ごす。
今日のお供は最近買ったはまじさんの「けだま」だ。

気がつくと40分経っている。
まだかなーと思いつつ、
興味本位で教室まで行ってみた。

そっと近づくと
黒板にはいっぱい数式が書いてあって、
クラスメイトに混じって
一生懸命先生に質問する長女の姿があった。
窓には夕日が差し込んで、
木の陰と光のきれいなコントラスト。

なんだか、声が掛けられなかった。
もう新しい自分の居場所を
作ろうとしているんだなと分かった。
母親の私が見たことのない顔で、
長女は光って見えた。

邪魔をしてはいけない。
そう思って、車に戻り本の続きを読んだ。

長女が不登校になるまでの私なら、
いつまで待たせるんだと腹を立てていた。
でも今は長女の青春に思いを馳せることができた。
邪魔はするまい。そう思えた。

私もきっと、
誰かに待ってもらったことがあったに違いない。
危なっかしく、経験もない、
鼻っ柱ばかり強いこの私を
待ってくださった方がきっとたくさんいて、
知らないところでそっと
見守ってもらった日々があったのだろう。

成長を見守ってくださった人のおかげで
なんとか今ここにいる。
そのことに気づかせてくれた長女を、
待つことができる余裕を
これからも持ちたいと思った。

結局一時間待った。
「よく勉強したねー」というと、
「待ってくれてありがとう」
とちょっと申し訳なさそうに返してくれた。

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