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スーラ複眼の目に映るアニエールの_水浴光景と情景スーラ複眼の左目映るアニエールのスーラ複眼の点描
スーラの左目に映る世界 やれやれ どうだい むこうじまの連中は 優雅なもんだぜ いったい おれたちと何が違うんだ なにもきかざることもなく ほのほの白く明るい光を浴びた じょうはんしん裸の若者たち のんびりと穏やかな休日を 過ごしている 折しも舟に乗り合わせ 呉越同舟むこうじまに出向く人々 日向の岸に帽子をかぶって 寝そべった男と子犬 彼らの視線の矛先にある光景と 彼らの目に届かない 見えそうで見えない優雅な情景 スーラのみぎ目に映る世界の集積 風景は点の集合の線による画面の 拡散と収束 光の水彩パレットが 色彩パラソルを開き 色調パラレルが拡がり 虹の景色軌跡を描く パリのセーヌ川中州の グランドジャット島 初夏の午後の日差しの中 日傘をさした着飾った貴婦人達が 日陰に立っている 帽子の先につけた日よけネットの 網目を通して日向の芝生の上に ペットの子猿が戯れる ほのほの暗く影さす背景の闇 悪徳 虚栄 欲望 富裕層の腐敗構図 かろうじて救いは真正面にまっすぐ立つ 真白き純白のワンピースを着た 少女の清浄さ スーラの複眼は世界を両極として 画面に反映させ投射しては 光と影の相即相入の関係を結ばせる 脳髄は2点間焦点の幻影を 見ることをしいられることで ぼんやりと見ることにきずいた 本当のことは隠されたところにある
早来迎_死者誕生の復活
往生者の娑婆の別れ念仏行者の臨終 虚空に宝楼閣が出現し鐘が鳴る 目前の急峻な山頂越しに 極楽浄土の観音菩薩と勢至菩薩と地蔵菩薩が黄金の輝きの色彩絵巻 往生者が経巻を前に端然と座すところ 二十五菩薩を従えて下っては 飛雲に乗り降下する往生最上位の 上品上生印を組んだ阿弥陀仏が 来迎される 観音菩薩は金蓮台に往生者をもどし 勢至菩薩に護られて極楽浄土に向かう 極楽の曼陀羅堂に至らんとするとき 夕日は山の端にかかる辺り 西方浄土の様相に包まれ黄金の輝きをみせる うつせみの世の中の けがれたせかいから 浄土という名の清浄なる世界 穢土という名の厭離なる 次生において清浄な国土に 生まれることを願い求め 厭離穢土 欣求浄土
姿なき円なる道ver2
よごと 眠られぬもの 安眠し 亭主より 眠れる庭の 佳人の薬草の 処方をうけ とけるように深い眠りに はいった 知っている時は流れない 止まったままの無限 めざめの 明鏡止水 眠る前に垣間見た 花橘のからむ 垣根越しの路地の庵 近づこうとすると 遠ざかるまを求め 遠ざかろうとすると 近づくまをもとめ その時の今にかなう心を開き 互いに敬いあう 清らかで 動じない心 せいじょうむくな 姿なき まどかなる道 眠っているあいだに 知っている雲は流れない 止まったままの無限の大空 眠っているあいだに 知っている水は流れない 止まったままの 無限銀河の手水鉢 眠っているあいだに 知っている大気は流れない 止まったままの無限宇宙 ながれし 奇跡は まばたきあう 流星 眠っているあいだに 知っている覚醒は ながれない 止まったままの無限めざめの 砂時計 眠っているあいだに 止まったままの徒労の情熱 無現に月の砂漠に井戸を掘る 眠りし事は永遠を夢見ること 夢見しことは永遠に眠ること ほのほの白く ほのほの暗く 我いまだ 生をしらず 焉んぞ 死をしらん
正信偈念仏__教行信証所収
はるかすぎされし ときより わたくしをつつんでくれるいのち はてのない みらいえいごうまで わたしをてらしてくれる ひかりのきみ とおいむかし さとりのせかいに みほとけのおしえを ふかくよろこび みほとけのねがいで つくられた かがやいているせかいが ことばやおもいをこえて ひかりをかんじる せかいであることをしった くるしみもなくよろこびに みちたさとりのせかい けれどなんどうまれかわって なんどうまれかわろうとも くるしみのうずのなかを るてんしつづける かなしみのうちに くれるいのちがある かなしみのときを うむいのちのそばにありては すくうほとけになりたいと ねがうばかり もとめては しゅぎょうにつとめ いのちが くるしみから のがれるすべがなく くどくをつめず しんじつに ちかずくことさえできず しんこうのかなしみを せおうばかり そこでちかいました すべてのいのちを すくうため どんなこんなんも どのようなくなんにみをしずめても しゅぎょうをなしとげ かがやける みほとけとなろうと つみあげられた すべてのちからが みたされて せかいの すみずみにまでひびき きくひとたちにちからを もたらすでしょう すべてがなしとげられたとき あまねくせかいにむけて ひかりがはなたれ はかりしれない はてまでもとどく すべてをつらぬくひかり くらべようもなく ほのおの たまのようであり きよらかであり よろこびに つつまれ しんじつであり たえることのない ひかり おもいや かんがえをこえた ことばいぜんの たいようのひかりや げっこうよりも かがやく いのちある すべてのものが ひかりのきみに つつまれて なむあみだぶつの ひかりのほとけ ひかりのきみ そのなをきくものは さとりのせかいへと うまれかわることができる ときはながれ いまあるいきるせかい このせかいでは ときもいのちもにごり かなしみのたねがたえることはない さてはぼんのうをなくすことのできない かなしいいのちがあるということを なむあみだぶつ すべてのくどくがみちたりて きくものは なやみやと まどいを なくせずとも さとりのいのちへ みちびかれる なむあみだぶつ しるものは うみのようにおおきな はたらきがある ぼんじんであれ せいじんであれ なおさらに ふかいつみをかかえるものであれ ひとしくだきとり みちびかれる どのようなおがわのみずも たいかいに そそがれ やがては ひとつになるように なむあみだぶつ えいえんのやみをひらくひかり こころのやみをてらし いつもまもられて よくやいかりが こころからきえず ほんとうのことをおおいおかくしたとしても すくいとなったひかりは さまたげられない くもやきりにじゃまをされ たいようがみえなくとも ちじょうにやみなどないと どんなに にごったかわのみずも うみは いだいてくれるように どんなに あついくもがおおっても ひかりはてらしてくれるように すべてをうけとめてくれる こころにであえたとき くるしみのれんさをこえていける ぜんにんであれ あくにんであれ どんなひとも わけへだてなく ひとしく はてしなくおおきなちかいを ききひらく まっしろいはすのように とおといひとのよう ちかいをうけとることができたなら なによりもすばらしいこと なむあみだぶつ このなをたたえてください そのままの いまのままのじぶんが よろこびのこころにであう なによりもありがたく なによりもすばらしいこと なむあみだぶつ このなにはさとりのせかいから あなたへととどく はてしなくながい いのちのものがたり はてしない かこから わたしをつつむ いのち はてしない みらいまで わたしをてらす ひかり わたしはであう いのちと ひかり かぎりないみほとけに なむあみだぶつ ひかりの きみ 「正信念仏偈」「教行信証」の「行巻」の末尾に所収の偈文。 七言六十行 百二十句 絵物語「ひかりになった王子さま」から一部引用
ヴィーナスの永遠
月の 満ち欠けが ないものの 正体を思い出す ジャンヌダルクの はだけた胸が 隠された 怒り いきどうり 不条理の旗を振る サミトラ島の ミケのかしら 寄るべない 者たちの 吐息が 聞こえる 西に傾きかけた 夕日 垂れ絹が降り 帳が夜 場末の酒場のジュークボックス 旅はいつか終わるけれど チュニジアの夜が レコード盤の上を踊るダイヤ針 サハラの小砂まじりの 振動音に 耳を傾けながらバーボンを一杯 グラスの縁をめぐる ダイヤモンドリンクの 光のひとしづくが ラマダンの夜を解放する 新月に 仕込まれた 藍を思い出し 満月に織りあがる 群青の衣をまとった ヴィーナスを夢見る 見つかったよ ヴィーナスの忘却が 本当だよ 目を閉じてごらん 女神ヴィーナスの永遠が
ゴーギャンの独り言
むねのときめき おぼえるときこそ こころは いっも うつつに おもいだすたび すがたをかえ けっして しょうたいを あらわさない ましてかくしている ふるまいなど なにもないかのように しらをきっては うそのようにも ほんとうのようにも ありのままのすがたを さらけだしてみせる こころはこころ うずまくめ かくされて けっして あかそうとはしない ひめごとだ かくすもこころ かくされるもこころ そのこころは おのがため みずからがうずまくめとなって うずまくめは いずこから来たのか うずまくものの しょうたいは、 うずまくものは いずこへ行くのか アレアレア うれしいとき タヒチのよろこび ゴーギャンのわすれがたみ マハナ・ノ・アトゥア かみのひに えいえんのといかけが じゅもんのようにせんかいする もどることがなぜできないのか [
ゴッホの耳とリボルバー_
両翼をいだく 両性具有のかたわれは 欠損をして 帳尻をあわす 運もてぬ 片翼のみの ぶれる 軸をまわし 罪に罰の割り振りの 合理を科す 等価交換の原理原則 法のおきてと 変容す 星月夜まさか そなたが 心変わりをなさるとは 知らなかった 糸杉に 誘われて 戻らぬ道と知ってきた一本道に いずれ別れが 来ようかと 迷わぬ分かれ道 背後に迫る 闇のかぎろいに 引き金に 指をかけたのは 愛想がつかぬ 己が為 赤い 堕天使の 喉ぼとけ 放たれた 銃声の音に 呼び起された 黒いカラスの群れの 羽ばたきが 麦畑に 響き渡る あれこそまさしく ルシファー 大地が震え カラスは地に落ち 羽ばたくことさえ ままならぬ あれあれみたか あれみたか あなかしこ あなかしこ
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モネの幻想
モネの幻想 湖の内湖の沼に咲く 蓮の花の葉の上に ひとしずくの雨が 珠となって は 蓮の葉の上をすべって転がった 転がりながらも 珠の面に 映し出された世界 さらなる奥に 映し出された世界の中に 沼が見え 沼には蓮の花が咲いている さらにも 葉の上をころがり続け 空から降り続ける雨しずくが 踊っては奥へと渦巻くように 外湖の湖へと誘う どれだけの事かと思い出すと 髪は思い出と 髪すく手管れの髪結いに 後ろ髪ひかれ 未練承知の名残を惜しむ 霧が晴れてあらわれたる大地 見渡す限りの蓮 の連鎖 無限受容 一瞬のまばたきが覗き見る 永遠 無碍の相即相入 あれあれ見たか あれ見たか モネの幻想を