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インサイド・ヘッド2を観た感想 小批評

インサイド・ヘッド2を観てきました!

この記事には『インサイド・ヘッド2』および前作『インサイド・ヘッド1』のネタバレが含まれますので、ご注意ください。


映画の評価

安定感のある面白さ。だけれど、1の時に感じたほどの感動には至らなかった。


前作のおさらい:インサイド・ヘッド1

前作『インサイド・ヘッド1』では、主人公ライリーは11歳の小学生。
いつも明るくてポジティブな性格の彼女の脳内では、ヨロコビが他の感情を統率していました。
しかし、家庭の事情で田舎に引っ越すことになり、友人と離れ、転校生活がスタート。
新しい生活に直面したライリーにとっても楽しいことばかりではなく、脳内ではヨロコビがなんとか状況をポジティブに導こうとするものの、カナシミをコントロールできず、楽しい思い出までも悲しい思い出に変わってしまいます。

ヨロコビはカナシミを押さえつけようとする中で脳内の奥底に迷い込んでしまい、
その結果、ライリーは感情のコントロールができない状態に。
ヨロコビは冒険の中で、カナシミの役割と涙を流すことの意味に気づき、
「色々な感情が混ざり合った思い出」の存在の大切さを学びます。
最終的にヨロコビとカナシミが指令室に戻り、
ライリーは涙を流しながら両親に不安や辛さを伝えることで、感情を取り戻すことができました。


続編のストーリー:インサイド・ヘッド2

続編『インサイド・ヘッド2』では、
ライリーは13歳になり、中学生としてアイスホッケーの部活に打ち込んでいます。
思春期に突入した彼女の脳内には、新たな感情としてシンパイ、イイナー、ハズカシ、ダリー、ナツカシが登場。
これにより、ライリーは将来のことを不安に感じ、悪いイメージが量産され、脳の指令室ではシンパイがメインの感情を支配するようになります。

その結果、現実のライリーは空回りし、
友人を裏切るような言動や、
本音ではない言葉を先輩に言ってしまうなど、
さまざまなトラブルに見舞われます。
最終的にはシンパイもまたライリーの幸せのために行動していたことに気づき、様々な感情が交錯する中でライリーがライリーらしさを取り戻す結論に至ります。


良かった点

やはり、脳内での出来事と思春期の「あるある」が、
擬人化されたキャラクターたちの演技によって楽しく表現されている点は見事です。
ストーリー面でも「自分らしさの花」という新たな要素が登場し、ライリーが周りの目を気にし、自分を見失い、間違ったことをしてしまうにつれ、その花が変化していくという表現はわかりやすく共感もできました。
体の成長とともに新たな感情たちが増えていく中で、
それぞれの感情が混ざり合って「自分」という存在が成り立っていることを示し、それに気づかせてくれる本作は、全人類にとって忘れがちな真理を伝える良い作品だと感じました。


気になった点

「シンパイからの解放」についての描写が不足している点が残念でした。
脳内ではシンパイが暴走して操作盤を支配していたものの、ヨロコビが物理的にひっぺがすだけで、シンパイがどのように成長したのか、またその行為が現実のライリーにどう作用したのかが曖昧に感じられました。
1作目ではカナシミを押さえつけないことでライリーが涙を流し、
不安を悲しみを両親に伝えることで解放されましたが、
2作目ではシンパイの暴走からどのように解放され、ハッピーエンドに至るのかが明確に説明されていない点が不満です。


もっとこうだったら良かった

個人的には、シンパイを他の感情たちが物理的にひっぺがすのではなく、ヨロコビの統率力によって説得し、新しい感情たちが協力するシーンを見たかったです。ヨロコビが「本当に大切なこと」を理解し、他の感情の特性を活かしながらライリーを幸せに導くという展開があれば、さらに感動的だったと思います。

さらに、各感情同士の「相性」にも焦点を当ててほしかったです。例えば、シンパイとビビリ、カナシミとハズカシなどは性質上似ている部分があります。それらをヨロコビがうまく掌握し、協力して「ライリーの幸せのためにこうすべきだ」という答えを見つける物語であれば、より深いテーマが描けたのではないかと思います。


テーマと結論

本作が描くべきテーマは
「生きるって勇気がいること」
ではないでしょうか。

ライリーの抱える「問題」は思春期にありがちな「本音を隠すこと」によって、人間関係が崩れていくことです。
この人間関係を修復するには、恥ずかしいことや心配事を乗り越える勇気が必要です。
映画がその「解決・カタルシス」を描くとすれば、
ライリーが「本音」「素直さ」「正直さ」の重要性に気づき、
勇気ある決断をとること、ではないでしょうか。

その過程を経て、友人に謝罪し、一緒にスポーツを楽しむシーンにつながっていくのが理想的でした。ヨロコビがライリーの幸せのために感情たちを統率し、協力の末に得られる「勇気の花」が咲くという展開であれば、さらに感動的で力強いメッセージが伝わったと思います。


こんなシーンがあれば…

例えば、
ライリーが友人に謝ろうとするが、ハズカシが優位になって「謝る」ボタンが押せない。
ヨロコビ「ねえシンパイ、本当に最悪な未来ってどんな未来?」
シンパイ「一番最悪なのはやっぱり、親友を失う、って未来かも…」
カナシミ「それってすっごく悲しい~」
ハズカシは操作盤を少しだけよけて、謝るボタンを押させてくれる。

こういった、各感情たちが協力してライリーのすべきことを見つけていくというシーンをもっと増やすことで、
感情たちがライリーの幸せを願う姿が強調され、より感動的な結末に繋がったのではないでしょうか。


最後に
「こういう物語のほうがおもしろい」というのが野暮であることは分かっているつもりです。
ただ前作への感動が大きすぎたことや、ヨロコビの声優さん変更の件についてなどで、この作品に対する期待や希望が自分の中で収集のつかないくらいぐちゃぐちゃになっているのだと思います。
エゴイズムで吐き出したものかもしれませんが
少しでも誰かの共感になれば。


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