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Photo by
noriyukikawanaka
図書館にて
図書館で仕事をしていたら、「ガーッペッ!」と、痰を吐く(どこに?)おじさんの声が館内に轟いた。いくらなんでも1回だけだろうと思っていたら、ほぼ5分おきに「ガーッペッ」とやる。「グルグルゴロゴローッ」がプラスされる回もある。
気にしないでおこうと思っても、いまか、もうすぐくるか、と気になって集中できない。イヤフォンのノイキャンをもってしても、「ガーッペッ」は聞こえる。顔は見えないけど、そばにいる人を気の毒に思う。
音楽を聴きながら仕事をするのは好きではないのだけど、しょうがないので歌詞に気を取られない、クラシックの曲を検索。
選んだのは、巨匠ホロヴィッツが1978年にNYで録音したラフマニノフのピアノコンチェルト。
これが大正解で、若きホロヴィッツが「壊れるんじゃないの?」っていうくらい鍵盤を叩きまくってる。パワフルでめりはりがあり、涙が出るくらい美しい演奏、美しい曲で、「ガーッペッ」なんて微塵も聞こえなくなった。
おじさんのおかげで、いい音楽に巡り会えた。けど、仕事が捗ったかというと、そうでもなくて、結局ホロヴィッツの名演を聴きながら図書館を後にした。