【連載】難病SLE患者が大腸憩室炎をこじらせた闘病記(3)S状結腸切除術および人工肛門増設術 外科手術のこと
連載第3回となります。第2回を書いてから、長らく間が開いてしまいすみませんでした。
以下で書く手術が昨年の10月だったので、退院から1年が過ぎました。
同じ季節になると、同じ空、気温、空気感、匂い・・・で、あの辛かった入院中を思い出してしまいますが、いま、元気に過ごせていることに感謝でいっぱいです。
SLE患者が大腸憩室炎をこじらせた話の続き。
あまり症例がないかもしれないので、(私が昨年闘病した時に、いろいろネットで調べたのですが見つからなかったし、私の担当医からもこんなに悪くなるのは珍しいと言われたりしたので)
少し詳細に書いて残しておきたいとおもいます。誰かの闘病のお役に立つことがあるかもしれないし、ご参考になることが少しでもあればいいなと思います。
大腸憩室炎という珍しくない病気になった私ですが、私が膠原病(全身性エリテマトーデス:難病)の持病があり、長年にわたりステロイドを服用していたこと、そして、薬アレルギーが多いことから治療が難航しました。
ついに、「内科的治療の限界。外科手術しかない・・・」と、いうところまで追い込まれたのです。
とはいえ、私は使える抗生物質がほとんどない状況であったことから、外科も手術に二の足を踏んでいたようです。
薬アレルギーの私にとって大きな問題「抗生物質」
使える抗生物質は「クラビット(レボフロキサシン)」だけ。このクラビットを1ヶ月ぐらい点滴や経口で使い続けていました。
1種類使える薬があるからいいんじゃない?これで手術ができるんちゃう!?と、思いたいところですが、そうじゃないらしいのです。
抗生物質には、よく効く菌のグループがあるらしくて、クラビットは広範囲の菌に効きますが、私が手術をせねばならないのは、「お腹」
お腹の中に効かせたい薬としてはクラビットだけでは足りないとのこと。
お腹の中は、「嫌気性菌(けんきせいきん)」というグループに入る菌が多いらしくてお腹の中の菌によく効くとされる抗生物質も使わないといけない。
そこで、病棟の内科担当医が提案した抗生物質が「クリンダマイシン」という薬でした。
普通は、「ペニシリン系」の抗菌薬を使うらしいですが、私の古いカルテに『ペニシリン禁』と大きく記載されていたので、昔から「私は『ペニシリン』は使えない」ということになっています。(自分でもいつペニシリンを使い、どんなアレルギーが出たのか覚えてないし、カルテにも詳細な情報はないのですが・・・大きく『ペニシリン禁』と書かれているので、試すわけにもいかず・・・)
それで、「クリンダマイシン(リンコマイシン系)」が候補に挙がりました。
その薬品名を聞いて、薬アレルギーが多い私は、自分で「飲める薬なのかどうか」、調べてわかるかわかんないけど・・・、それでも私は調べました。
すると、「アトピー性体質の患者は重症の即時型アレルギー反応のおそれ」という記述があったのです。私は子供の頃にアトピーだったし、アレルギー体質だし、あかんのちゃうん?と、この薬の事が恐ろしくなりました。
病棟の内科担当医にその不安を伝えてもあまり聞き入れてくれず、「みながみなアレルギー出すわけじゃない。怖がってたら、薬なかったら手術できない」と言う。
でも、「そうですね」とはいきません。
私は薬アレルギーで以前に死にかけてますから、他に薬はないか、インターネットで調べまくりました。
すると、「フラジール(一般名:メトロニダゾール)」が、私にとっては副作用(や、アレルギー)がでにくそうで、お腹の中に多い「嫌気性グラム陰性桿菌」に効く薬として、紹介されているページを見つけました。
このフラジールは、他にも婦人科系の感染症や、胃のピロリ菌除去などにも使われる薬のようです。
見つかったと喜んでみたものの、やはり初めて使う薬は怖い。
だって、使ってみないと、使えるかわからないんですもん。あかんかったら、どうするの?
大学病院の救命センターに入院しているのなら、もしも何かあっても対応できるでしょうけど、この地方の病院で、なにかあったら対応できるのか・・・と、不安でいっぱいでした。
外科へ転棟:手術3日前
で、細かく言うと長くなりすぎるので・・・短縮しますが、
こののち、外科に私は転棟になり、手術の準備が進みました。外科の主治医も手術の説明時に「クラビット」&「クリンダマイシン」の2種類の抗生物質で、手術を行うという説明でした。
その時にももう一度、フラジールについて考えて欲しいと私はお願いしていました。手術の3日前の事です。
それで、結局、膠原病内科の主治医(外来の先生)の意見も加わり、外科の主治医が、「教科書でもう一度調べたんですが『フラジール』でもいけそうなので、明日は『フラジール(点滴:アネメトロ)』を使います」と、言ってくれたんです!
私は、かなりホッとしました。これが、手術前日の話。
使う抗生物質は「クラビット(一般名:レボフロキサシン)」と「フラジール(一般名:メトロニダゾール)」に
フラジールにしてくれたと言っても、使えるかどうかわからない抗生物質・・・「もしも、抗生物質にアレルギー出した時は、救命措置ができますか?」と念を押し、
外科主治医から「その場合に備えて、対応できるようにしますから安心してください」と言ってもらったので、もう、外科医を信じるしかありませんでした。それに、手術せねば、長くは生きられない状態です。
この時点で、何ヶ月もろくに食事がとれず、みるみる干上がっていました。激やせです。
しかし、幸いSLEは落ち着いていて、抗DNA抗体が今までに無いほど数値がよくなっていました。
手術前の検査など
・(造影)大腸カメラ・・・痛い上に、造影剤(もしくは鎮静剤)へのアレルギーだったのか、夜中まで悲惨な状態でした。
・肺活量検査・・・全身麻酔をするために必要な検査のようです
・胸部/腹部レントゲン
・エレンタール(栄養剤)・・・腸が詰まっているので、下剤がつかえないため、手術で腸を切った時に腹腔内に便がもれたら感染症がややこしいので、数日前から小腸で吸収される栄養剤だけをちびちび飲んでお腹の中をからっぽにせねばなりませんでした。
まずかったし、あまり飲めなくて、、、
手術前日
・シャワー
・爪切り
・ナースからの手術の説明
・弾性ストッキングのサイズ合わせ など
そして、
私の手術は、大腸憩室炎で炎症をおこし腸の壁が分厚くなって大きな腫瘤状になってしまった「S状結腸」を切り取り、
ふつうなら、悪い所を切ったら、健康な腸をつなぎ合わせて終わる手術なのですが、冒頭にも書いていたように、
私は持病(全身性エリテマトーデス)の治療の為に、長年ステロイドを使っているので
キズが治りにくいんです;;;
手術の時は、縫い合わせた箇所がひっつかなくなる「縫合不全(ほうごうふぜん)」を起こす危険性があると言われていました。
そこで、S状結腸を切って縫ったあと、傷口がキレイにひっつくまで
大腸を休ませてあげる作戦となり、小腸に人工肛門(ストマ)を作る手術を同日に行うことになりました。
ちなみに、小腸の人工肛門は「イレオストミー」と言います。
「人工肛門」とは・・・、
びびる響きです。
お腹に穴をあけて、小腸を体の外に出してくるのです。
食べたものは、胃、十二指腸、小腸を通り大腸にいこうかなぁ~!と、なったところで体の外に出されてしまう。って感じです。大腸の手前で、腸が切れてしまっているので大腸には食べ物はやってきません。
体の外には、専用のパウチ(袋)をピタっと貼り付けていて、そこに消化されたものが、勝手にでてきます。
人工肛門にはほんものの肛門のような筋肉がないので、自分の意識ではどうにもなりません。腸の動きがそのままです。
そんな、説明やお腹にあける穴の位置を油性ペンで書いたりと、人工肛門の専門知識を持ったナースが、手術前に、優しくストマに関していろいろと教えてくれました。
不安いっぱいで、おろおろしながら、知らない事ばかりの説明を聞きましたが、まだ生きたかったので「人工肛門になっても生きられるならその方がいい」と、その気持ちの方が大きくて、人工肛門の手術について、あまり大きな抵抗はなかったです。
それより、「抗生物質にひどいアレルギーがでませんように、全身麻酔からちゃんと目覚めますように」という事ばかり祈っていました。
長くなってしまったので、
「手術当日から術後のこと」は、次回(第4回)に書きたいと思います。
前回【第2回】はこちら
前々回【第1回】はこちらです↓