ふくおかの国際協力 | 原田君子(NGO福岡ネットワーク )
最終回:希望のともしび
私たちの活動は、現地タイのパートナー「ドゥアン・プラティープ財団」の存在により続けられてきました。ドゥアン・プラティープ財団を設立したプラティープ・ウンソンタム・秦さんは、なんと16歳の時にスラム地区に住む学校に行けない子どもたちの為にお姉さんと一緒に自宅の庭を開放し「一日一バーツ学校」を開いたのです。
私が同じ16歳の時に何していたを考えると、たとえご自分の置かれた環境がスラム地区だったとは言え、凄い人だな~と心から尊敬します。
プラティープさんの考えの凄さは、無料ではなく1バーツ(当時日本円で約3円)を貰って勉強を教えることです。有料にすることで子どもたちが真剣に学ぼうとする事が狙いだったと聞きました。おやつや食事も時には提供して楽しみも作り、学ぶことが楽しめる場を子どもたちに提供しました。しかし、学校の維持は簡単な事でなかったようです。警察から追われることもあり、大変な思いをしながら、それでも辞めずに続けていったそうです。
ドウアン・プラティープとは「希望のともしび」と言う意味です。
プラティープさんは「私の願いは、全ての子どもたちが公平に教育を受ける機会を与えられ、より良い生活をしていく事」とおっしゃっています。16歳の時から、今もその闘いは続けられています。
時代の流れなのでしょうか?今、バンコクからスラム地区が消えようとしています。スラム地区が無くなる事自体は、決して悪い事ではなく、むしろ良い事だと思います。私がタイでスラム地区が変わる事を聞いたのは10年前。あれから10年が経ち、バンコクのスラム地区が、いよいよ新しく変わろうとしています。住民との長い話し合いがこれから続き、その道のりは遠く険しいものになるのではと想像します。今10万人の住民が住んでいますが10万人の住民全員が幸せに安心して生活できるような場所に移住が出来るようただただ願うだけです。
これからもプラティープさんは、住民のみなさんの幸せのため、「希望のともしび」としてスラム地区の幸せのため、大きな存在として闘っていくのだと思います。
私たちの力は小さなものです。それでもしないよりはやった方が良いと思いながら、子どもたちが一人でも多く教育を受けられるようにと教育里親の活動を進めます。最初は、遺言として引き継いだ会でしたが、活動の中でたくさんの事に出会い、喜びを経験することが出来ました。実は、友人を恨んだ時もありましたが、今は感謝しかありません。知らない事を知り、抱えきれないほどの学びをいただきました。貴重な経験もさせて貰い、たくさんのみなさんと出会うことが出来ました。遠くタイの国にも、息子や娘、孫、友人ができました。NGOの仲間もいろいろな地域にできました。
国内外には、たくさんの問題や課題が山積みだと思いますが、たとえ解決しなくても、これからも「無関心」ではなく「関心」を持ち続けて生きたいと思います。