「将来なりたい自分像」をドラマから探す
今年の目標のひとつが、将来の自分のための「大人としてのモデルケース」を探すというもの。これはしいたけさんの、双子座 2024年上半期の占いを読んでから、少しずつ実践している。
この視点を持ちながら、日本のドラマを観ると深みが増す。たとえば10年後の自分がどうなっていたいかを意識して、アラフォー女性が主人公のドラマを積極的に観るようになった。今日はそんな視点からも楽しめる、特にアラサー、アラフォー女性におすすめしたいドラマを三本、紹介していきたい。(現在2024年1月時点では、全てアマプラで観れます。)
1. 「ソロ活女子のススメ」
江口のりこさん演じるアラフォー独身女性、五月女恵が、ひとり気ままに一人でいろんなところに行き、いろんなことに挑戦する「ソロ活動」を楽しむお話。一人旅はもちろん、一人で本格中華料理屋の円卓を楽しんでみたり、ソロ東京カヤック、ソロ遊園地など、多種多様なアクティビティを楽しんでいる。
私が特にいいな、と思うのは、五月女恵が他人にも自分にも厳しくないところ。それは自分自身の欲求や好奇心を満たしたり、勇気を出して知らないことに挑戦することで得られる自信からくるのだろうか。
毎年誕生日には半休をとって、豪華なソロ活で自分をお祝いする。ドレスを着て夜の東京をリムジンで観光してみたり、ディナークルーズを体験してみたり。思い出に残る体験を自分で自分にプレゼントしてあげられる主人公に憧れる。「こんな私なんかが…」と卑下する気持ちがなく「まあ人生一度きりだからね!」と吹っ切れているからこそ、女性が一人でするのには勇気が要りそうな、上記のような体験ができるのだろうか。その「身も心も軽い、フラットな感じ」がこの主人公を魅力的にしていると感じる。
五月女恵は周りの人にも優しい。ナレーションでは他人に「おいおい」と心の中でツッこんでいることも多々あるが、一人で慣れない飲み屋にきている知らない「ソロ活初心者」女子がいれば「そうね、わかるよ。私もそうだった」と共感したり。その場に居合わせた他人や、店員さんにも優しくできる余裕がある。
欲を言えば、このドラマの中の世界がそうであるように「一人でいる若い女性に異質な目を向けたり、セクハラ紛いの異様な絡み方をしない人が増えてほしいと」心から願う。世間様は社会はすぐには変わらないけれど、それでも女性が一人で泊まれる旅館が増えたりと、幸先が少しずつ明るくなってきていることも、このドラマの中では垣間見ることもできる。
赤の他人をジャッジしがちな人は、本当はその目を自分や親族に向けて自分を縛り、苦しめている人でもある。まずは自分を満たすことで、人にも程よい距離感で優しくあれる。そんな五月女恵のアラサー女性としての生き方は、私にとっての希望だ。
2. 「À Table!〜歴史のレシピを作ってたべる」
市川実日子さん演じる40代前半のジュンと、中島歩さん演じる5歳年下の夫であるヨシヲが、歴史上の人物が食べていたご飯を再現して食べるという、穏やかなドラマ。家のセットも飾り気がないのに大変おしゃれで、毎回観ていて心休まる。「かもめ食堂」や「パンとスープと猫日和」が好きな方に特におすすめしたい。
料理中の二人の掛け合いが妙にリアルで、こんなふうに楽しく、協力し合いながら一緒に作業ができるカップル像は、私一人に限らず多くの人にとっての理想なのではと感じた。(もちろんその共同作業が「料理」である必要はないのだが、もしも自分と同じくらい料理のスキルと関心がある人と付き合えたら、正直家事は楽になるだろうなと思っている節はある。)
親友みたいな程よい距離感、子のいない「仲良し夫婦」であるこの二人。そんなジュンの中に生まれる「本当にこの夫と添い遂げる人生でいいのかな」「キャリアでの夢は叶わなかったし、私の人生、今のぬるま湯のままでいいのかな」といった、漠然とした不安が垣間見える瞬間が、とてもリアル。そんな明確な言葉にできない悩みを、異なる人生の選択をした女性たちと話しながら、ちょっとだけ今の自分を肯定していく様子もとても良い。最終的に悩みをちょっとだけ解決してくれるのも、頼るつもりのなかった年下の夫からの言葉と態度だったりして。
このドラマの中のヨシヲは、ある種「理想的な夫像」であると言えるかもしれない。妻と会話のテンポや興味が合っているし、料理もできるし、イケメンで仕事も頑張るし、姉と仲良く育ったためか女性と上手に付き合える。そして何より、妻であるジュンのことを大好きで尊重している。ジュンが抱える悩みやモヤモヤを感じ取っても、無理に問いただしたりせず、相手が話し出すまで待てる所も素敵だと思った。
3. 「週末旅の極意」
こちらも子どものいない40代前半夫婦のお話。広告会社に努める矢吹真澄(観月ありささん)と銀行マンの矢吹仁(吉沢悠さん)夫婦は、それぞれが仕事に生きているため、平日顔を合わせることがない。そこで二人なりの夫婦の在り方を見直すために「週末旅」を習慣化する、というもの。日本になかなか帰れない在外邦人としては、温泉や豪華な食事シーンを観ると、日本にちょっとだけ帰れたような気持ちになれて、嬉しいドラマである。
月に一度ほどのペースで日本各地の高級ホテル・旅館に泊まれるのは、バリバリ稼げる40代、かつ子供のいないこの夫婦だからこそできることでもある。贅沢な時間を共有できる、仲の良い二人。その平穏な日々を揺るがすのも「子どもはどうするの?」という、外と内、両方から投げかけられる問いである。
観月ありささん演じる真澄が時折語る言葉に、重みがあっていい。女性にとっては出産が人生の一大イベントなのだろうか、自分が仕事を生きがいにしていること、夫は十分わかっていると思っていたのに…という「自分が男だったら直面せず済んだであろう」悩み。今幸せでも、もっと違う幸せの形があるのでは、そしてそれは、あと数年したら2度と手に入らなくなるのでは、と想像して焦ってしまう気持ちも想像できる。結婚する時点でも、そこからの経過の中でも「子どもはほしいか」問題は定期的に確認して、自分の本心は、どんなに痛くても自認して、相手に伝えないといけないんだろうな、と感じた。
物語はある種、理想的なハッピーエンドで終わるのだが、本当は「出産したい」と「若い子を可愛がって養育したい」とは別物だったりするので、その点はもうちょっと突っ込んだ話しを二人がしていてくれたらな…と思ったりはした。しかしそれは私の尊敬するジェーン・スーさんがもう既にいろんな媒体でお話をされており、私は単にその受け売りなので、興味のある方はこちらのポッドキャストも聴いていただけたらと思う。
まとめ
かれこれ20年前、私が子どもの頃に見ていたアニメやドラマの中で描かれる大人の女性像には、偏りがあったように思う。大抵は誰かの母親や祖母だったし、若い独身女性は、皆揃って恋や結婚を夢見ていた。様々な理由から離婚したり、子どもを持たない選択をした既婚・独身のアラフォー女性が主人公の番組に、ここ10年くらいでやっと出会えるようになってきた気がする。なんだか「女性の生き方の選択肢」が少しずつ多くなっているような気がして、それが嬉しい。
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