『眠れますか?』大正生まれの祖父が遺した詩
『眠れますか?』
死んだ兵士たちは神にされる
なにもかも忘れて眠ってくださいと
睡眠薬みたいな記念碑が渡される
ーあなた眠れますか
吹っ飛ばされた頭 胃袋もひからびてしまう餓え
蛆虫のたかる呻き 海の底の沈黙
いのちなかばに蹂躙された死のなかで
ーあなた眠れますか
威儀を正して平和を祈る
殺人組織の親分(ボス)たちの誇り高き厚顔 その奥で
またまた死ぬべき兵士がかぞえられている
ーあなた眠れますか
鉄網状にかわる玉垣にかこまれて こわれた死体を
整形するように 掃き清められた砂利
怨嗟の 憤激の 口封じの呪術 祝詞の声
ーあなた眠れますか
忘れたような顔をしている私たち 忘れてしまった人びと
ときどき賽銭を投げる人びと
兵器産業の未来と繁栄に 贈られる供花
ーあなたたち眠れますか
平林平八郎 @heihachiro_hirabayashi
祖父が遺したたくさんの詩のなかのひとつです。 @heihachiro_hirabayashi
インスタに他の詩もあげています。
戦後79年。
おじいちゃん子だった私はいつも祖父の部屋にいました。
子供の頃祖父から聞いた戦時中の話のなかで、「空襲で逃げている最中、拾った靴のなかにまだ足が入っていた。」という話はずっと忘れられません。
戦中のことは祖母も祖父も直接多くは語りませんでしたが、家には戦争に関する本や映画も身近にあり、触れてきました。
どれだけの本、どれだけの映画を見ても、一度足りとも「戦争はしょうがないこと」とは思えたことはありません。
今もどこかでなんの理由もなく傷付けられている人々がいます。
容認されていい暴力などないと思います。
まずは知ること、そして自分の頭で考えること、そして行動すること、子供たちと一緒にこれからもしていきたいと思います。
この詩が少しでも多くの人に届きますように。