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大谷選手と真美子夫人とわたし 叶
『あたい』というものがあります。
気の強いくノ一が使う一人称ではなく、
ものの値打、数値、測定値などの方。
TVには大谷選手と真美子夫人が映っています。
真美子夫人の肩幅を『1真美子』とした場合、
大谷選手の肩幅は2真美子程度でしょう。
これから先、真美子夫人の持っている全ての値を1真美子と定義します。
さて、真美子夫人。
元バスケットボールの選手で身長180cm。
日本の成人女性の平均身長が158cm前後なので、
日本の成人女性の平均肩幅は0.8真美子と計算すべきでしょうが、
真美子夫人は現役時代ポジションがセンター。
ゴリゴリに相手と競り合うフィジカル勝負の役。
それを加味するとスポーツをやっていない層に比べ肩幅は発達していると考えるのが自然でしょう。
となると、日本の成人女性の平均肩幅は0.7真美子といったところ。
わたしは平均身長よりも少し低いので0.6真美子くらい。
よって
0.6真美子=1叶
この等式が成り立ちます。
腹八分という言葉があります。
腹一杯まで食べず、八分目くらいに控えておくこと。
生活を真美子八分にしても叶は持て余します。
世界中の老若男女に好かれ天才だと評される大谷選手の伴侶の座について、自身も元日本代表のスポーツ選手であり豪邸に住む真美子夫人。
一方、ぬいぐるみを伴侶だと言い張って今も昔も秀でたものは特になく竪穴式住居で暮らしている叶。
生活水準の面では0.6真美子>1叶
ですらある。
繰り返しますが真美子八分の生活を叶は持て余します。
ちょっと想像しただけで胃に穴が空きそうなくらい緊張します。
持ったことはないけれども、持てたとしても持て余すことがわかりきっています。
これは、生まれた星の差であり積み重ねた年月で出た格の差です。
自分が持っていないもの、持てたとしても持て余すものを妬んでも仕方ありません。
見方を変えて叶のいいところを見ていきましょう。
場所はやや混み合った電車内。
横一列のシートはほぼ満席。ですが空席がひとつあります。
空席の左右の座席に御仁あり。
左の御仁は人の良さそうなふくよかな男性。
右の御仁もまた、ふくよか。こちらは年頃の娘が口を聞いてくれず今日は不機嫌。
日本の平均的な成人の場合。
空席に腰をおろすときにまず左の御仁に肩が触れ、
すみませんとペコリ頭を下げると今度は右の御仁の頬に肘打ち。
怒り出す右の御仁。
いたたまれなくなって日本の平均的な成人は別の車両に移ることになるでしょう。
では、叶はどうか。
左の御仁、右の御仁、その間のスペースにストンと腰をおろせる。
温めておきましたよと言わんばかりのぽかぽかの座席。
これが、世界平和です。
叶の作る世界平和がここにあります。
車内のつり広告もカルピス。なんと優しげ。カラダにピース。
無事、わたしはわたしの値を確立して、
真美子夫人への羨望を捨てることができました。
ですが、まだ、思わず嫉妬してしまう存在が残っています。
お察しの通り、デコピンです。
あの子、絶対わたしより良いご飯食べてる。
大谷選手と真美子夫人、新しいペットとしてわたしを飼ってくれないかしら。
名前はシッペあたりが妥当かな。
1シッペとしてなら、わたしも頑張れそうなんだけど。
それではまた。