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パン屋の話 〜刮目せよ、くろわっさん編〜  もりたからす

パンが好きだ。

パン屋に寄ってから講義に向かうことが習慣となっていた時期もある。

アパートから大学まで徒歩10分なのに、一駅先の好きなパン屋を経由していたのだから、それなりのパン好きを名乗っても良いのではないか。

そのせいで一限の講義に定刻通り出席することは難しかったが、そのようなことは焼き立てのクロワッサンに比べたらさしたる問題ではない。

故郷に引っ込んだ現在、よく行くパン屋はざっと4軒ある。2店は全国展開のよく見かけるパン屋。もう半分は地元密着のパン屋だ。

以下、それら行きつけについて記していく。

(1)チェーン店 L

実家と、通っていた幼稚園との間にあり、幼い頃からおやつと言えばここのパンだった。なんとも古い付き合いだ。

上京後も、同居人が系列店でアルバイトをしており、しょっちゅうおこぼれに預かった。

死の間際、走馬灯が浮かぶとすれば、小麦部門には様々な候補があるが、真っ先にここのウインナーパンが出てくることは間違いないだろう。

(2)チェーン店 M

足繁く通う書店の隣にあるので、不意にパンが食べたくなるととりあえずここを選びがち。

味はそれなりに良いが、定番品にもおしゃれな工夫がしてあり、私の好みに合わないことしばしば。

クリームが剥き出しのクリームパン、ウインナーが太すぎるウインナーパンなど。

(3)個人店 E

私の親が学生時代によく利用したというから、驚くべき歴史を誇るパン屋である。ペリー来航以前からある計算になる。

古き良き街のパン屋そのままで、ふんわりとした優しいパンのその甘さが、懐かしくも美味しい。

こういう店ではやはり惣菜パンが欲しくなる。焼きそばパンやコロッケパンに目が向くが、おすすめは豆腐ハンバーグパン。具材がシンプルであった方が、パンの風味が際立つ。

(4)個人店 W

私史上、最高のパン屋である。店の看板にはドイツ国旗が描かれ、店名もドイツ語。

そのせいで私は、何が何やらよく分からないままに、熱心なドイツパン支持者となってしまった。

私の走馬灯には実はライ麦部門が設けられており、そちらはこの店のパンが独占する見込みである。

クリームパンもクロワッサンも、あらゆるパンが群を抜いて味わい深い。

本当はこのパン屋で暮らしたいし、せめて家中のインテリアをこの店のパン生地で作れないか本気で検討している。

以上。

ところで、文中に登場した「クロワッサン」をみなさんはご存知だろうか。

まだ見たことがない、という方のため、本日は特別に画像を用意した。



一番上が「くろわっさん」である。下の「あかわっさん」や「むらさきわっさん」とはよく似ているので注意を要する。

この種の試みは思い付いた時がピークであり、準備中はそれなりにまだ楽しめるが、こうして実行に移す段になると面白くも何ともないのが悲しい。


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