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万年筆〜運命の一本探して〜  叶

ずっと君を見ていた。

つい先日、運命の万年筆を探し求めることに余念のない友人より、
彼または彼女の運命からこぼれ落ちた万年筆を譲り受けました。

 
隠すことではないので正直に打ち明けますが、
わたし万年筆について全然詳しくないんです。
メーカーも、素材も、ペン先の種類も、お手入れ方法も、
全て自分で調べるまたは教えて貰うまで知らなくて。
 
唯一持っている万年筆も同一の友人に遥か昔、
記憶が正しければわたしがピチピチギャルだった頃に贈って貰ったもので、
それ以外でいうとさらにピチピチだった幼少期に父の万年筆(この記事執筆にあたり確認をとったところ、セーラーのもの)をぶっ壊したくらいで縁遠いものだったんです。
 
例えば小学生だったある日、わたしが筆箱を忘れたあの日、
隣の席のクラスメイトが貸してくれたのは鉛筆で、
決して万年筆ではありませんでした。
仮にモンブラン149の万年筆を差し出してくるようなクラスメイトであったなら、
その類まれなるシブさに男女関わらずわたしは恋に落ちていたことでしょう。
 
そういう、日常にスッ…と出てくるものじゃないと思うんです。万年筆って。
だからこその特別感。
友人が運命に翻弄されている気持ちもすごくわかる。
 
運命の万年筆を探し求めひた走る友人には申し訳ないけれども、
わたしは先に出会ってしまいました。
運命の、一本に。 

 
キャップレス デシモ/パイロット

色はパールホワイト、字幅はF。
 
友人から差し出されたときのわたしの反応は、
「えっ、素敵。美人」「あらやだ、美人」「ありがとう、美人〜」の美人一辺倒でした。
そのくらい見た目が美しい。
細身の本体も色味もとてもすき。

インクは迷いに迷ってパイロットの色彩雫カートリッジの冬将軍。
淡いグレーに一滴だけ青を足したようなお色が雪を彷彿とさせるパールホワイトの万年筆本体にぴったり。
 
わたしがこの万年筆に運命を感じたのはいざ使ってみてからでした。
本体の軽さもノック式のお手軽さも想像以上に使いやすい。
ぐりぐり使っても意外とへっちゃら。
ボールペンに限りなく近い機動力。
なにより細めの本体がぴたっとわたしの手に馴染みたまらない。
とにかく、使いやすいの一言。
使いやすさに特別感がプラスされると、
使ったら気分がアガるアイテムに進化する。
 
実際、サッとした書き物をするときにいつも使っているボールペンを差し置いてついつい手にとってしまいます。
控えめに言って最高。
 

「あったんだ…!!ほんとにこういう…万年筆…」
譲ってくれた友人には今度とっておきのハチワレのモノマネを披露しようと思います。

 
さて運命の一本に出会ったものの、
わたしにはここに来て新たに気になるものが出てきてしまいました。
 
万年筆のインク探しで文房具売り場をうろちょろしていた時に偶然知ってしまったこと。
木製のものって、金属製のものよりも軽いんですって。
 
そしてパイロットの万年筆ページを見漁っている時に偶然知ってしまったこと。
キャップレスシリーズには、木軸が存在しているんですって。

わたしにとって偶然巡り合った運命の万年筆はキャップレスデシモ。
では、わたしが自ら探し当て手にとる運命の万年筆はまさか、もしや、あるいは。
 
これだから、運命ってものには油断ならないですね。
 
 
それではまた。


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