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#創作小説
【短編小説】習作・夢の話・炎天下 もりたからす
夏のことだ。母方の祖父がパイプをくわえて焦れていた。初めて見るそのパイプがブライヤー製だと、なぜか私にははっきりと分かるが、それが喫煙具であることには思い至らない。始終なにか固いものを噛んでいないと収まらないのなら大人というのは不自由だ、と考えていた。
祖父は車を出す準備をとうに済ませていた。それなのに、祖母と母とが姿を見せない。駐車場に待つ祖父は、いつもの麦わら帽一つで炎天をやり過ごし、しきり
夏のことだ。母方の祖父がパイプをくわえて焦れていた。初めて見るそのパイプがブライヤー製だと、なぜか私にははっきりと分かるが、それが喫煙具であることには思い至らない。始終なにか固いものを噛んでいないと収まらないのなら大人というのは不自由だ、と考えていた。
祖父は車を出す準備をとうに済ませていた。それなのに、祖母と母とが姿を見せない。駐車場に待つ祖父は、いつもの麦わら帽一つで炎天をやり過ごし、しきり