新刊試し読み!『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』
6月12日(水)発売の新刊、『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』の「はじめに」を公開します!
■編集担当より
「なんか言いたいことと違んだよな……」
話すときや、書くとき、そう思うことはないですか?
あるとしたら、「言葉にする習慣」が足りていないのかもしれません。
本書では、「あいまいな気持ち」を「言葉に変える」力がつく習慣を、現役コピーライターが教えます!
■Amazonリンクはこちら
【はじめに】
「 うまく言葉にできない」と感じることはありますか?
・会議などで意見を聞かれたとき、言葉に詰まってしまう。何となく答えてみても「本当に言いたいこと」が言えている気がしない。
・企画書や提案書を書くとき、ぼんやりしたイメージしか浮かばない。聞いたことのある内容や、検索して出てきた言葉をなんとなく並べている。
・面白かった、感動したことを伝えたいのに、「ヤバい」しか出てこない。
・自分の話が、なんだか浅いと感じるときがある。気の利いたことを言おうとすると、 的外れなことを口走ってしまう。
・周りの意見を確認してから、それに合わせて発言することが多い。
・話を必死に伝えても伝わっていない気がする。相手から理解を得られない。
これは、そんなあなたのための本です。
■借 り 物 の 言 葉 で は 、相 手 の 心 に 何 も 残 ら な い
少しでもわからないことは、すぐに検索して調べるという人が多いのではないでしょうか。
ネットやSNSで人の意見を調べれば、「自分の考え」「自分の思い」にじっくり向 き合うこともなく、「なんとなく正しそうな、それっぽい意見」は簡単に作れます。
企画を考えるときも、会議での発言も「どういうのが正解なんだろう」と検索した り、生成AIに聞いたりすれば、「正解っぽいもの」はすぐにわかります。
でも、それって、「あなたが言う意味」のある言葉でしょうか。
ネットの「誰か」の意見を自分が考えたように言ったり、ステキ発言に影響されたり。 「 周りがこう言っているから」を「自分がどう思うか」よりも優先させることが当たり前になっていませんか。
でも、本当は、自分だって、自分の思いを、自分の言葉で伝えられるようになりたい。
そう思う人は多いです。でもその方法がわからない。
こんにちは。
著者のさわらぎ寛子です。
私はコピーライターとして、企業の広告に使う言葉を作ったり、起業・副業をしている人たち向けにゼロから仕事を作る講座をしたりしています。
年間で、30,000件以上のコピーを書いてきました。
最近では、大学の授業や新入社員研修で、若い人たちと「自分のキャッチコピー」を作るワークショップもしています。
ワークショップで感じるのは、「どこかで聞いたことのある綺麗なフレーズ」を作る人が多いな、ということです。
こう言えばカッコいい、こう書けば伝わりやすい、インパクトのある言葉になる、そういう「仕上げ」が上手い人は多いです。
でも、形よくまとまっているだけの言葉は、誰の心にも残りません。
パッケージだけが綺麗なプレゼントのように、中身がないのです。
うまくまとめたり、カッコよく書いたりと、それっぽい形にする前に、「自分が何 を思っているか」「何を伝えたいか」がないと、相手の心には何も残りません。
■文 章 の 書 き 方 や 伝 え 方 の 本 で は 、「 自 分 の 思 い 」 は 見 つ か ら な い
文章の書き方や伝え方、言語化力を上げる本は、たくさんあります。 それらの本は、「自分が何を伝えたいのか=自分の思いや考え」が言葉にできてい
ることを前提に書かれています。
だから、「うまくまとめる」にはどうしたらいいか、の話になっています。 でも、多くの人が、そもそも「どうやって自分の思いを言葉にするのか」を知らないのです。
自分の思いではなく、なんとなくどこかから引っ張ってきたような言葉を、「こう書けばうまくまとまる」「こう書けば伝わる」というテンプレートに当てはめることはできます。
でも、自分の言葉ではない、借り物の言葉でいくらうまくまとめても、それで自分の思いが伝わることはありません。
「 どう伝えるか」の前に、「自分の思いを知る」「自分の思いを言葉にする」の2段階が必要なのです。
ネットでいくら検索しても、うまくまとめる方法を身につけても、「自分の思い」は見つかりません。
あなたが何を思い、何を感じ、何を伝えたいかは、あなた自身が言葉にするしかないのです。
この本は、「一般的にどう言われているか」「過去にどういう意見があったか」をうまくまとめるための本ではありません。
「今、自分が何を思っているか」「自分の意見はどうなのか」を伝えられる人になるための本です。
■「 自 分 ら し い 言 葉 」と は な に か
言葉は、もともとあるものです。
なのに、言葉の使い方が、「その人らしいな」と感じる人と、「どこかで聞いたような話だ」と感じる人がいます。
その違いはなんでしょうか。
答えは、
「 その人なりのものの見方」があるか、
「 その人らしい言葉選び」と結びついているか、の2点です。
もともとあるデータを上手に加工して、わかりやすくまとめるだけなら、いまやAIの方が得意です。
この人の話を聞きたい、この人の文章を読んでみたい、と思われるには「自分なりのものの見方」をつくり、それを「あなたらしいね」と相手が感じるような言葉にしていく必要があります。
■「 で き る 」 の は 、「 習 慣 」 に な っ て い る か ら
私は、ほぼ毎日、SNSに自分の考えや思ったことを発信しています。
なぜできるかと言うと、習慣になっているからです。
誰かと話しているときは、キーワードをメモする習慣があります。
メモできるものが、手元にないと落ち着かないのです。
人の話を聞いて、ここが肝だと感じたことや、個人的に気になったワードをメモしたり、相手の話を聞きながら図や絵を描いたりすることも、癖のようにやっています。
これを続けていると、話の「肝=中心点」が掴めるようになってきます。
さらに、書き出したワードを線でつないだり、丸で囲んだりしているうちに話をわかりやすく整理することができるようになりました。
また、自分が登場しない、発言権がない場面でも、
「私だったらこう言うなぁ」「私だったらこうするのになぁ」ということをよく考えています。
常に、頭の中を言葉にするのが習慣になっています。
「 講座や研修で、スラスラ話せるのがすごいですね」
「 いきなり話を振られても、さっと返せるのが羨ましい」
「 どうやって、毎日ブログ書いているんですか」
とよく質問されますが、なぜできるかと言うと、自分の打席が回ってくるかどうかわからなくても、ネクストバッターズサークル(次の打者が待機するスペース)にいるような気持ちで過ごしているからです。
たとえば、先輩のプレゼンを見て「すごいなぁ」と感じたなら、自分だったらどうするかを考えてみてください。
リアルに想像して準備をしていると、いざ自分のターンが回ってきたときもスッと言葉が出てきます。
受け身でいるのは、ラクちんです。
努力しなくてもいいし、傷つくこともない。
でも、いつも誰かの意見を聞く側、誰かの思いを受け取る側でいるうちは、「自分の言葉」が出てくることはないのです。
習慣というと、何だか難しそうですが、たとえば、朝仕事を始める前にデスクを軽く拭くとか、バスを降りる際に運転手さんに「ありがとう」と言う、みたいな些細なことです。
やりはじめると、当たり前のように体が動くようになる。
そして、それをやる前の自分と、習慣化した後の自分は、少しずつ、でも確実に変わっていきます。
■仕 事 が で き る 人 は 、「 未 来 を 想 像 し て 言 葉 に で き る 人 」
ビジネスのシーンでは、「自分が今やっていること」「自分が今売っている(作って いる)商品やサービス」の未来をどこまで想像できるか、それを言葉にして伝えられるか、が大事になってきます。
たとえば、商店街で豆腐屋さんを営んでいるとします。
その商店街に来る人が少なくなり、近くのスーパーよりも価格が高い豆腐は、なかなか売れません。
このとき考えるのは、豆腐をどう売るか、価格をどうするか、ではありません。
豆腐を買ってくれる人のその先の未来を想像するのです。
たとえば、平日の夕方、3歳ぐらいの男の子を連れたお父さんが、豆腐を買ってくれたとしましょう。スーツのまま自転車に乗って、急いで帰って行きました。
・もしかしたら、ママが仕事で帰ってくる前にパパと子どもで晩ご飯を作るのかもしれない。だとしたら、豆腐を使った、子どもも喜ぶ簡単なレシピを店頭に置いておいたらいいのではないか。
・もしかしたら、休日に、豆乳から豆腐を作る体験を子どもとできたら喜んでくれるかもしれない。夏休みにそういう企画を店頭でやってみようか。
・忙しい、時間がない、でも子どもには体にいいものを食べさせたい、だけど料理の腕には自信がない、そんなふうに感じている世のパパ・ママたちには、どんな言葉で豆腐の魅力を伝えれば届くだろうか。
想像していくと、
どこで何をどう売るか、
どんな言葉をどこで伝えるかも、
見えてきます。
もちろん、お客様は、「忙しいパパ・ママ」だけではありません。
一人暮らしの大学生も、
固いものを食べるのが煩わしくなってきた高齢の方も、
ダイエットのために糖質が気になっている人も、
肌荒れやホルモンバランスが気になるお年頃の人も、
いろんな人がいるでしょう。
いろんな人が、どんな日常の中で「豆腐」を買ってくれるのか。
その人たちはどんなふうに幸せになれるのか。
相手の状況を観察する。
その人たちの未来を想像する。
想像したシーンを言葉にする。
言葉にして伝える。
その繰り返しが、「伝わる言葉」を作る習慣です。
■この本の読み方・使い方
この本では、どうして言葉にすることができないのかを分析した後、
・第1部 思い・考えをまとめる習慣
・第2部 相手に伝える習慣
という2部構成で進めていきます。
「 習慣」とは、繰り返し行うことで、自然とできるようになる過程のこと。
無理をしなくても、日々のちょっとした心がけで言語化脳を鍛えることができます。 「 自分らしい言葉がポンポン出てくる人」になるために今日からできることを書きました。
第1部・第2部の、すべてのトピックに「ワーク」をつけています。
全部でなくていいので、どれか つでも つでも実際に手や口や体を動かしてやってみてください。
日々の中で、ちょっと意識するだけで、自分が何を考えているのかを言葉にできるようになり、さらにそれを「相手に伝わる言葉」に変えられるようになります。
そして、ぜひペンを持ちながら読んでください。
読みながら、「なんか気になる」「これは知らなかった」「後からもう一度読み返したい」と思ったところに線を引いてください。
そして、なぜ、そこが気になったのかを考えてみてください。
それは違う、なんかよくわからない、と思ったら、そこに線を引いてください。
そして、「自分ならどう考えるか」を書き出してみてください。
もっといい例えがあるんじゃない、と思ったら、もっといい例えを考えてみてください。
もっといい表現があるのでは、と思ったら、もっといい言葉に書き換えてください。
言葉にする習慣は、「心が動いた」「引っかかった」「違和感を持った」「モヤモヤする」など自分の感情や感覚に敏感になり、自分の思いや考えを、書いたり話したりすることです。
いきなりうまく書こうとしなくて、OK。
ペンがない人は、とにかくブツブツ口に出してみてください。
この本を読みながら、あなたは、自分の思いや考えを、言葉にできるようになっていきます。
それは、この本を叩き台にして、自分の意見を作っていくから。
「 ああそうか」「それはないな」「どういうこと?」とどんどんツッコミを入れてください。
そのとき感じた自分の思いを、自分なりの意見を、ぜひメモしてみてください。
自分の思いが、他の誰でもない、自分らしい言葉で伝えられるようになると、仕事で評価が上がったり、誤解やすれ違いが減って人間関係がよくなったりするだけでなく、いろいろな人とつながれるようにもなります。
人は、自分が思っていることを、うまく言葉にできないものです。
だからこそ、言葉にできなかった思いを、言葉にしてくれる人に、共感し、信頼が生まれます。
頭の中で、浮かんでは消えていく、自分でも見たことのなかった言葉のかけらが、言葉にできたら、どんな世界が広がっているのか。
楽しみながら始めましょう。
さわらぎ寛子