FC今治の試合を観に行ったら、試合が始まる前から泣いてしまった話【今治旅行記も!】
我、今治の地に降り立つ
あれは去る3月20日のこと。3連休の中日であるこの日、私は高速バスを降り、今治駅の前で大きな伸びをしていました。
「今治駅って、まさに地方って感じの駅だなぁ……。」
駅舎はきれいでしたが、駅前にはチェーンのコーヒーショップや気の利いたおしゃれなお店は見当たらず、コンビニと居酒屋が1件ずつ、そしてレンタカーとレンタサイクルのショップが確認できる程度。と、お世辞にも「栄えている」とは言えない印象でした。
とはいえ、地方は車社会ゆえに飲み屋街は駅から少し離れたところにあり、生活に必要なものが揃うお店は点在している、もしくは幹線道路沿いに大型のイオンなどがあることが常なので、田舎出身のわたしにとってはさほど不思議には思いませんでした。
「いや、それにしてもドトールもスタバもない。事前に調べてた喫茶店もやってないぞ……。」
前日広島に宿泊をし、朝早くに広島を出てお昼前には今治に着いていたのですが、キックオフまでにはまだ3時間近く時間があります。
「こんなことならもう少し広島でゆっくりできたのに!大好きなレモンサワーももっともっと飲めたのに!!」と、つい恨み節が顔を出します。
なにせ前日、広島の夜が楽しくて楽しくて、1人で飲み歩いた挙句ホテルに着いたのは3時近く。
そこから5時半には起きたのでほとんど寝ておらず、高速バスの中で爆睡をしたものの、晴天に似つかわしくないローテンションでこの日を迎えたのです。
YOUはなぜ今治に?
じゃあなんでそんなテンションでお前はわざわざ今治に来たんだよ!と思われた方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
私も何も最初からこんな感じだったのではなく、今治にはしっかり夢と期待を膨らませてやって来ているのです。
「なぜ今治に、そしてFC今治のホームスタジアムである夢スタ(ありがとうサービス.夢スタジアム)行きたがっていたのか」というと、きっかけは約2年前にさかのぼります。
2020年夏、OWL magazineにも寄稿をいただいている宇都宮さんの取材に、アシスタントとして同席させていただいたんですね。
その時のインタビュイーが、なんと元日本代表監督で現FC今治オーナーである、「あの」岡田武史さんだったのです!
インタビューの中で何が語られたのかはぜひ当該記事をお読みいただければと思うのですが、岡田氏の口から語られる今治の今と未来の姿について思いを馳せていたら、スポーツビジネスオタクの私は「サッカー好きを名乗るからには、今治はいつか必ず行かなければならぬ場所である」と考えるようになったのです。なんという岡田マジック。まさに戦術も話術も匠の技!
※噂の記事はこちら。
経営者「岡田監督」が考えるウィズコロナ時代のスポーツビジネス | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
……だがしかし、そうはいっても30代も半ばにさしかかったこの体、睡眠不足にはどうやっても勝てません。
「本当はカフェとかで一休みしてから向かいたかったけど、駅前にそれらしいところもないし、やることもないし、スタジアムに向かうか……。」と、やや“しぶしぶ”とも言える状態で重い腰を上げました。
まさかこの後、あんな体験をするなんて思わずに……。
Road to 「ありがとうサービス.夢スタジアム」
スタジアムまではタイミングよく専用のシャトルバスが出ていたので、それに乗ることにしました。
シャトルバスは、今夜の宿でもあるしまなみ温泉 喜助の湯の前から出ています。ちなみに喜助の湯は駅からすぐですし、視界を遮るものもあまりないため一目で分かるかと思います。
バスの脇には簡易的な机が用意され、そこに切符販売の男性がおひとり立っていて、片道か往復か聞かれました。
「往復でお願いします。」と答えると、手作り感溢れる紙のチケットを差し出しながら、「帰りに裏面を見せてもらえればいいですからね。」と説明をしてくださいました。
失礼ながら、何百人もに販売することを想定したオペレーションではなさそうです。とてもアットホーム!
しかし次の瞬間、私は己の目を疑うこととなります。
「ぺ、PayPayが使えるだと…….!?」
目の前に広がるのどかでアットホームな光景とはミスマッチとさえ言えるキャッシュレス。恐らく私の地元でこの状況だったら、支払いはまず現金一択になるでしょう。
「おぬし、なかなかやるな!!」と心の中で思いながら、ありがたくバス代をPayPay払いにさせてもらったのでした。
そしてバスに乗り込んだのですが、出発までまだ時間があるとはいえ、なんと私が一番乗りです。
キックオフ3時間前のバスだから空いてるだろうとはいえ、このまま乗ったらこのバスは採算取れないのでは……?
ここからもし誰も来なければ、乗車の辞退を申し出て別ルートで向かおうか……?と、余計な心配に苛まれます。
そのため、何かあったときに動きやすいようにと前の席に移動をしたところ、乗り込んだ時には気づかなかったあるものが目に入ったのです。
それがこちら。
「何をご自由にお取りくださいなんだろう?」と思い中を覗くと、そこにあったのはポケットティッシュでした。
スタジアムではスタグルを食べたり座席を拭いたり、ポケットティッシュを重宝する場面が多々あることかと思います。
そのため「ご自由にお取りくださいの物チョイス天才か!!!」と感動しながら、ありがたく1つ頂戴しました。
その後バスの出発までに何人か乗客が現れたため、なんとか自主的な乗車辞退を回避し、念願だった「ありがとうサービス.夢スタジアム(以下夢スタ)」まで向かうこととなります。
はじめまして夢スタ!
10分ほど乗車したでしょうか。バスはいかにも地方の幹線道路といった風情の広い道を走り、スタジアムの駐車場へと着きました。道中も車通りが多いわけではなく、歩行者がいるわけでもない、とても穏やかな風景だったことを覚えています。音楽に例えるなら、クラリネットで吹くアダージョ(=“ゆるやかに”のテンポ)の曲といったところでしょう。
しかしバスから降り立った私は、今治に対するイメージを一変させることとなります。
さっきまで脳内で流れていたアダージョのクラリネットは、突如として華やかなヴィヴァーチェ(=“活発な”テンポ)のトランペット音へと変わりました。
つまり、穏やかな地方の街並みから、賑やかなお祭り会場へと一気に舞台が転換したのです。
まさにそこはお祭り会場と呼ぶに相応しい場所だったと思います。今治駅に到着してからここに来るまで、数えるほどの人とお店しか目に入ってこなかったのに、ここにだけ人とお店がたくさんあって賑やかで、まるで丘の上の秘密基地を見つけたような気分でした。
「きっとこの場所はとても楽しい場所だ。」そう確信した私は、心の中で叫びます。
初めまして夢スタ!会いたかった!!
花より団子、サッカーよりスタグル
夢スタと初対面の感動もそこそこに、お腹を空かせに空かせていた私は、さっそくスタグルへの列へと並びます。何度でも言ってしまいますが、道中の静けさと打って変わって活気のある周囲の様子に、いまだ狐につままれたような気分でいました。
そして数あるスタグルの中で私が選んだのは、B級グルメの祭典である「B-1グランプリ」で数々の受賞歴がある焼豚玉子飯の屋台です!
FUJIFILM SUPER CUPで出店をしているのを見て気になっていたのですが、おびただしい数の人が待つ行列に心が折れて、ついぞ今まで口にしたことがありませんでした。ここ今治の地でも10人以上の行列があり、人気ぶりがうかがえます。
私の前には、お小遣いを握りしめた元気な中学生らしき女の子3人。後ろにはベビーカーを引いたご家族と、全身応援グッズに身を包んだ初老のご夫婦が続きます。
「本当に色々な人が来ているんだなぁ……。」と思い入っていると、私の順番がやってきました。
メニューは焼豚玉子飯一択のため、「ひとつください!」と元気に伝えます。そしてお財布を出そうとすると……。
「ここでもキャッシュレスが使えるー!!!」
しかもここではPayPayだけではありません。Suicaやその他複数のキャッシュレス決済が利用できるとのこと!
そして決済用の端末をよく見ると、「株式会社今治.夢スポーツ」というテプラが貼ってありました。どうやらクラブから支給されているもののようです。
「さっきのバスといい、インフラの整備っぷりがJ3のレベルではない……!」とひとり舌を巻いていました。キャッシュレス決済の浸透によって日ごろの現金の持ち合わせも減った今日この頃、ありがたくキャッシュレスを使わせていただき、私の観戦体験はそっと爆上がりしていきます。
そうして無事に手に入れた焼豚玉子飯。記念に写真を撮ろうと、いそいそとカメラを構えます。
うーん……。これは映えてる……のか?
どう撮るのが正解なんだろう……。
決して彩りが良いとは言えない撮影対象を前に、私は四苦八苦していました。ついには見栄え良く撮ることを諦め、とにかくまずは一口いただきます。
!?!?!?!?!?
なんだこれは!!!!!!!
半熟というか、もはや半生ともいえる目玉焼きのぷるぷる感に薄切りのじゅんわりチャーシュー、そして特製タレの絡んだごはんが重なり、脳内でケミストリーが起こりました。堂珍さんと川端さんががっぷり四つで力強くハモっています。
タレを作った人よ!今すぐ名乗り出るのです!!シェフを呼んで!!!
思わずそう言いたくなるほど、見た目のシンプルさからは想像ができない旨みが押し寄せてきます。
「これはグランプリ獲るわ……。」と、今治の片隅で私は呟きました。怪しいなんて言わないで。だって事実なんだもの。
そうして、「玉子が赤ちゃんの肌くらいぷるっぷる」「神は黄身をつくりたもうた」「タレをつまみに飲みたい」「じゅんじゅわー」などの言葉が頭に浮かんでは消えていくうちに、ぺろりとたいらげてしまっていました。
ごちそうさまでした!!!
ちなみにFC今治には「ちょいグル」という、5枚つづりで1500円のチケットが売っており、ミニサイズの主要スタグルが食べられるなんていう制度もあります。
軒を連ねたスタグルの屋台たちを見るたびに、「あれもこれも食べたいけどさすがに全部は無理だ……。」と、泣く泣く諦めることも多いのではないでしょうか。頻繁に来ることのできないスタジアムであればなおさらです。
しかし!このちょいグルでは、夢の「あれもこれもちょっとずつ」が叶ってしまうのです!!
まさに……悪魔的発想ッ……!!
それでも30代半ばの、しかも最近ピロリ菌と戦ったばかりで弱っている胃袋1つだけではさすがに5枚の消費に不安があったため、今回はチケットの購入に至りませんでした。
しかし!いつか誰かとまた来てちょいグルをシェアしたいなぁ……。と、しばし妄想を繰り広げるのでした。にやにやうふふ。
そして私が次に目を付けたのは!瀬戸内といえば真っ先に思い浮かぶもののひとつではないでしょうか。そう、レモン。
おんまくレモンという、『岡田さんの挑戦の力になりたいという想いが集まって岡田さんと共にスタートした』プロジェクトとのこと。有機栽培のレモン果汁を炭酸水で割るというシンプルな飲み物を販売しているのですが、レモンに目がない私が見逃すはずもありません。それがこちら。
見よ、この圧倒的な果汁感!!
さっそく一口いただきましょう。
「じゅ、じゅーしい……!!おいしい……!!!」
好みドンピシャのおいしさに、思わず涙がちょちょぎれる勢いです。
レモンといえば酸味が強いイメージがあるかと思いますが、おんまくレモンは愛媛だけに(?)不思議とみかんのような甘さが感じられ、酸味もマイルドなのでごくごく飲めてしまいます。
「これはなんぼでも飲める!!通販してください!!お願いします!!!」と、危うく屋台の前で土下座をするヤバい人になるところでした。理性を全力投球して、なんとか思いとどまります。
そうしてお腹と心が満たされた私は、ようやく落ち着いた気持ちで周囲を散策し始めました。
なんでもあるスタジアム!?
改めて広場を見渡すと、スタグルの他にも、グッズ売り場やイベント会場の他、洋服や雑貨を売っているお店や、今治の観光案内のようなコーナーまであります。
「このスタジアム、なんでもあるな……!」
私の舌は、もはや巻きすぎて螺旋階段のようになっていました。人がこれだけ集まるのにも納得です。
そして更に驚いたのは、スタッフさんが誰も彼もすべからく、ハキハキ、はつらつとしていたことです。
来場者に笑顔で挨拶するのは当たり前で、困っていそうな人がいれば誰からともなく駆けつけて声を掛けている様子が見受けられます。
実際に私自身も、手が塞がっていてごみ捨てにまごついていたら、近くにいたスタッフさんが飛んできて助けてくださいました。
サッカーを観始めてはや5年、それなりに色々なスタジアムに行きましたが、スタッフさんにここまでしていただいたことは初めてでした。
「なんたるホスピタリティ!!」と、感動の大嵐が心の中に巻き起こります。
そうこうしているうちに試合時間が迫り、ついにスタジアムの中へと足を踏み入れることに。
知らないスタジアムで、しかもほぼ前情報もなく3時間前に現地入りはさすがに早いと思っていましたが、たっぷりと楽しんでいたらなんだかんだあっという間でした!
スタジアム内に入るべく、「桟橋」という名のゲートを通ります。
FC今治は、『水軍の末裔が世界に向かって大海原に打って出る』というコンセプトを持っており、スタジアムは『海に出て行く海賊船である』と銘打っているのです。
サポーティング組織(≒ファンクラブ)の名前も「Sailors' Club」であるなど、徹底した世界観がうかがえますよね。
というわけで、いざ「船上」という名の「戦場」へ!
スタジアムに宿る「意思」
「噂には聞いてたけど……!」
思わず大きなため息が出ました。
何かというとですね、夢スタの中に入るには、けっこう急な階段を上らねばならないのです。
思わず会社の近くにある、愛宕神社の「出世の階段」を思い出すほどでした。
※愛宕神社の階段
しかもなんと、「一度上れば終わり」ではなかったのです。
私が取った席はメイン指定席だったため、階段を上った後、ゴール裏をぐるっと回って反対側に行く必要がありました。
そして「ゴール裏をぐるっと」回るのにも、ゴール裏の脇の階段を上って、逆側の脇の階段を下りなければいけません。
更にはやっとメイン側までたどり着いたと思ったら、私の席は一番前だったにも関わらず、一度階段を上って下りないと自分の席に着けない構造だったのです……。
いくら寝不足で体力が低下しているとはいえ、30代の私にもこの階段の上り下りはけっこうしんどいものがありました。
「あそこのおじさまやおばあさまもこの階段を?一体どうやって……。」と、疑問が頭に満ち満ちてきます。私が50代や60代になったら、生半可な気持ちでたどり着けるものではない気が……。
そんな時、2年前に聞いた岡田氏の言葉が脳内に蘇ります。
先ほど見たスタッフさんたちのおもてなしや、J3らしからぬキャッシュレスの整備や充実した出店、そして試合前からスタグルや広場の催しを楽しんでいる人たちの様子を思い出し、全てが繋がって納得がいきました。
「FC今治は船出をして間もないクラブだけど、みんなが本気で、地域と一緒になって大きくなろうとしている。そしてここにいる人たちも、それを心から応援している。このクラブはみんなの気持ちが一体で、このスタジアムには確固たる意思が宿っているんだ!!!」
それに気付き実感したが最後、涙が勝手に出てきて、止まらなくなってしまいました。
しばらくこっそりと泣いた後、もう一度今治のゴール裏を見やります。そこにはやっぱり、『おらが町のサッカー』を愛する人たちが集っているのでした。
試合の時間です!
サッカー観戦記のはずがなかなか試合が始まらずにここまで来ましたが、ようやく試合が始まろうとしています。
アテンション・オール・パッセンジャーズ!!
だがしかし、その前にささやかながらも感動に輪をかけた体験をご紹介させてください。
その1 ハリセン
入口もとい桟橋で大きな厚紙を渡されたのですが、表には選手全員の写真とプロフィール、裏には試合のスケジュールが載っています。
「選手を応援したい気持ちはあるけど、手拍子をしすぎると手が痛い......。」
「手拍子をしている間は飲食ができない……。」
ハリセンがあれば、そんな悩みも解決です。
特に私はいつも、応援したいから手拍子を止めたくない気持ちと常にもぐもぐしていたい気持ちとのせめぎ合いの中で試合を観ているんですね。
これがあれば応援の手を止めることなく、ビールも飲めるしおつまみも食べられる!と嬉しくて仕方がありませんでした。
しかもビギナー目線で「今活躍した選手は誰?」となっても、ハリセンを広げればすぐ確認することができますし、「次はいつの試合に行こうか」なんて話まですることができます。なんという親切設計。
その2 スポンサー割引券
もうひとつ印象的だったのは、この日のマッチデースポンサーであるUR(アーバンリサーチ)さんのクーポンです。
この手のクーポンって配っても数百円分であることが多いと思うのですが、URさんはなんと1000円分!桁が変わるとだいぶ印象が違いますよね。
URさんの本気を感じた私はホイホイと思惑に乗り、帰りの新幹線の中でいそいそとネットショッピングをしたのち、ありがたくクーポンを使わせていただくのでした。
……。さて、ようやく今度こそ試合開始です!
こと戦術などに関してはまるで素人な私ですが、今治は「全員で守備をする」意識が高いチームだと感じました。
試合開始からほどない6分という時間帯にその守備が活き、前線のプレスからボールをインターセプト。それを新加入の中川風希選手が拾い、きれいな弧を描いたループシュートで先制点を演出します。
ゴール裏もメインも、今治カラーに包まれた全員が一気に沸きました。
しかし、そこからは我慢の時間帯が続きます。
勢いのある枠内シュートにGKの滝本晴彦選手がギリギリ触って難を逃れる場面があったかと思えば、CKからのこぼれ球を押し込まれそうになりながらもなんとかキャッチをするなど、ヒヤヒヤする展開の連続です。
そして50分に再び訪れた中川選手の決定機を抑えられると、66分にはついに、左右に守備が揺さぶられたかと思ったら、交代して間もない高橋駿太選手にゴールを許してしまいます。
歓喜に包まれるカターレ富山のゴール裏。
今治はそれまでもチャンスが多かったわけではなかったので、残り時間が30分近くあるにも関わらず、私の脳裏には「今日は引き分けかなぁ…….。」という予想が巡ります。
しかし今治側は、選手もサポーターも諦めてはいませんでした。
その後も、GKが触れなかったシュートをDFがなんとか触ってゴールを守ると、粘り強い守備で凌ぐ場面が続きます。
すると終盤に差し掛かった83分、獲得したCKからのこぼれ球を繋いで、そしてそのボールを更に繋ぐと、近藤高虎選手がミドルシュートを決め、勝ち越しに成功しました!
待っていましたとばかりに再び沸くゴール裏。しかし、その後もGKとの1対1をかわされるピンチを迎えながらも、市原亮太選手が体を張ってボールを掻き出すなど、最後までハラハラの連続です。
ラストワンプレーであろう相手のCKをどうにか凌ぐと、試合終了を告げる長い笛が鳴りました。
温かく選手を迎えるゴール裏を見ると、タオルマフラーを掲げながらぴょんぴょんと跳ね、全身で喜びを表している男の子が目に留まります。この子が大人になった時、今日のことを覚えていてくれてるといいな!
楽しい時間はあっという間。後ろ髪を引かれながらも、帰りのバスに向かいます。
帰り際にもスタッフさんとサポーターさんが「ありがとう」「ありがとう」と言葉を交わす風景があちこちであり、「ああ、ここはまさに“ありがとう夢スタジアム”という名前通りの場所だなぁ。」と、温かい気持ちでスタジアムを後にしました。
FC今治は来年2023年1月の完成を目指して、現在新スタジアムを建設中です。なので、もう一度夢スタに来る機会があるかは分かりません。
だけど、今日のことはきっと忘れないよ!!
スタジアムのその後は。
さて、スタジアムを後にした私は、今日も今日とてアルコールを摂取すべく街へと向かいます。
え?昨日飲みすぎたって言ってたじゃないかって?
そんなの関係ねぇ!今治が勝ったんだから宴じゃ!!
というわけでお邪魔したのはこちら。
今治名物のひとつである、今治焼鳥を扱うやきとり山鳥さんです。
こちらのお店はかつて渋谷に支店があり、そのお店で私の上司が学生時代にバイトをしていたらしく、今治に行くことを告げると「絶対に山鳥には行くべき。絶対!!!」と引くほどゴリ押しをされたため、素直にお邪魔することにしました。
入口の扉を開けると、待っていたのは大盛況の店内ではありませんか!
「ご予約はされていますか?」と店員さんに聞かれ、「あ、これ予約ないとアカンやつや……。」と悟ります。
しかしラッキーなことに、カウンターの隅が1席だけ空いており、そこに通してもらえました。後から来た予約していない方はほぼお断わりをされていたため、まさに滑り込みセーフ!
「上司よ!人気店ならそうと言っておいて欲しい!!」
と、今日の試合に続いてまたしてもハラハラしながらも、「勝てばよかろうなのだ」という精神でさっそく注文です!
……。
もうね、食レポはしません。
「考えるな、感じろ。」
……。
そうして今治の夜は更けていくのでした。
旅の締めは絶景!!
翌朝。
私は何度も何度も夢に見た、しまなみ海道を渡るべく早起きをしました。
もうすぐ憧れの光景に会えると思うと、胸の高鳴りが止まりません。
そしてレンタカーを借りに向か……う前に、せっかくなので今治最後の思い出づくりを兼ねて腹ごしらえです。
伺ったのは、マツコの知らない世界でも紹介されたらしい、お弁当が有名な二葉さん。朝の7時から営業をしているので、早朝から行動したい派にもぴったりではないでしょうか!
いただいたのはこちら。
お味噌が甘くて優しい~!
柔らかい鯛の身に、もっちりお米と大葉が合う~!!
上品な味わいに、たおやかながらも気丈な愛媛の貴婦人をイメージしながら、これまたぺろりと完食です。
そして、ここからはしまなみ海道の道中で出会った風景をご覧ください。
これもね、もはや言葉はいらないんです。言葉を紡ぐべき立場の人間にとって禁句であることは重々承知ですが、ただただ瀬戸内の素晴らしさを感じていただけると幸いです。
しまなみ海道の光景は、想像通りというか、むしろ想像以上に素敵な風景の連続でした!大好きな推しに出会ったファンのように「尊い!!」と、危うく何度か卒倒しそうになったとかならないとか。
元々瀬戸内海が大好きでしたが、これを機にいずれ移住したいと本気で考えたほどです。
いつにしようかなぁ……。どこに住もうかなぁ……。
いつかの未来に思いを馳せながらも、今回はひとまずお別れです。
「ありがとう、夢今治!!」
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OWL magazine 旅とサッカーを紡ぐWeb雑誌
サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…
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