猫の腎不全初期症状 コマさんの場合
あくまでコマさんの場合ですが、腎不全のねこさんの初期症状として気付いたものを記録しておこうと思います。
■良く知られている症状でコマさんにも出たもの
①多飲多尿
一番重要な兆候だと思います。出来る限りたくさんのねこさんにペットケアモニターなどのIoTトイレを使って日々尿量を管理していただければと思います。体重1キロあたり尿量が50gを超えたら多尿を疑うようですが、基準に囚われず、普段の尿量の2倍くらいになったら明らかにおかしいので気を付けてあげてください。
尿検査を定期的に行ってあげてください。コマさんも一時は尿比重が1.02まで落ちましたが、それでも他の腎臓数値は基準内でした。尿比重に一番最初に兆候が出ます。そして腎不全で一番恐ろしいのは脱水による病状の加速的進行なのです。
ちなみに2023/9/30までペットケアモニターが何と1,980円で買えます!こういったIoTトイレ無しにねこさんの腎不全とは闘えないと思っています。
※PR案件ではないです。
②食欲不振
前回も今回もパタっと食べなくなりました。病院ではBUNが60を超えるくらいにならないとネコは食欲不振にならないと言われました。その時の検査のコマさんのBUNは29、高めですが基準内です。その1年前の検査では13でした。今回はBUNが38で基準値を超えていましたが、それでもこの程度で食欲不振が出るのは珍しいようです。
コマさんの場合は急激にBUNが上がったためその差に慣れず食欲不振が強く出たのだと思います。BUNが基準内でも上昇していて食欲不振が出た場合は要注意だと思います。追加でクレアチニンやSDMAや尿比重の検査をするのがお勧めです。
③下痢、嘔吐
前回の腎機能低下時には下痢、嘔吐の症状も出ました。今回はすぐに気付いたので一度嘔吐したくらいですかね。下痢や嘔吐をすると脱水が加速するので、複数回続くようでしたら必ず病院に掛かった方が良いと思います。
■腎不全の症状としては知られていないけれどコマさんに出たものでとても気になるもの
④鼻の黒ずみ
鼻の湿り気と脱水には関連がないと書かれているのも見ましたが、コマさんはやたら鼻くちょがよく付き、拭いても取れない黒ずみが鼻に出ました。これは脱水の傾向が無くなるにつれ綺麗になり、鼻くちょもそんなに付かなくなりました。
⑤皮膚の痒み・炎症
腎不全発覚の1年くらい前から、アレルギー検査をしてもアレルゲンが無いのにコマさんは3か月に1度くらいのペースで皮膚の炎症や唇に好酸球肉芽腫を起こすようになりました。
これはもしかしたら腎機能が落ちていてデトックスが上手くできないため皮膚に炎症が出ていたのかもしれません。明らかなアレルギーでないのに皮膚の炎症を繰り返すような時は、併せて腎臓や肝臓の検査も定期的にした方が良いのではないかと思います。腎機能が回復するにつれコマさんはこういった症状が出なくなりました。
「決定版 犬・猫に効くツボ・マッサージ」という書籍にも、腎不全の症状として皮膚のかゆみが挙げられています。
また、最近気になる獣医さんの記載も見つけました。人間でも腎不全の方には皮膚の痒みが起こることは知られているので、ねこさんが同様でも驚きは無いように思います。
飼い主はもちろん獣医師でもアレルギーとこういった内臓トラブルからの痒みの見分けは難しいと思うのですが、アレルギーと思い込んでステロイドや免疫抑制剤を使い続けると全く治療のベクトルが異なっていたということにもなりかねません。実際コマさんも皮膚の炎症が出たときにはステロイド注射を打ったり、免疫抑制剤を服用していたことがあります(いずれも腎臓にに多かれ少なかれダメージを与えるものです)。そういった治療で皮膚の炎症が収まることもあるので、本当に見分けづらいのです。ただ本当にアレルギーだったということも十分あり得ます。他の内臓トラブルが無いかも含め定期的な検査で見極めつつ、アレルギーの治療にあたっては、川野浩志獣医師の提唱する、乳酸菌とオリゴ糖を使った方法をオススメしたいです。腎不全にも腸活は大変有用だと思いますし、ステロイドなどの免疫抑制剤の長期使用による副作用を避けるためにも、なるべく体に負担のない治療を選んであげていただきたいです。コマさんも受診したことのある川野先生のことはまたいずれ詳しく記事にしますね。
⑥口角に出る黒ずみ
これは同じく腎不全のおともにゃちや定期的に膀胱炎を起こすおともにゃちとも共通する症状で、個人的には腎不全や下部尿路疾患にものすごく関連しているように思います。
コマさんもですが口角に酷いニキビのような黒ずみ、かさぶたが出来ました。非常に治り辛く、黒いかさぶたは取っても取っても復活します。ただ見た目は酷いのですが痛みは無さそうでした。
現代医療では腎不全と関連付けされていませんが、「猫のためのホメオパシー」という本にはネコの口周りにできる潰瘍やただれは腎不全の典型的症状と書いてあり驚きました。
この症状のことを漢方治療や組織細胞療法を行っている先生に伺ったところ、任脈という経絡が泌尿器からアゴ下にまで繋がっているので、関連あるかもしれませんねと仰っていました。トップ画像は先ほどの「決定版 犬・猫に効くツボ・マッサージ」に掲載されているねこさんの任脈の画像。
ホモトキシコロジーにはほとんど副作用は無いようですが、コマさんは前回も今回も、腎不全治療の過程のホモトキシコロジーの投与で、ホメオパシーで言うアグラベーション(病状が回復する前に一時的に悪化するという状態)という揺り戻しのような好酸球肉芽腫や口角の黒ずみが出て来ました。こういう点から見てもやはり何となく腎不全とお口の病変には関連があるように思えるのです。
ちなみになぜか粘膜の病変にはHB101を塗るとすぐ治るんですよね。HB101のことはまた記事にしますね。特に好酸球肉芽腫で苦しむ猫さんにはステロイドを打つ前に試してみて欲しいです。ペット用も植物用も中身は同じです。
※2023/11/27追記
⑦被毛のパサつき
私が言うのもなんですが、コマさんは非常に毛質が柔らかくて毛艶の良い子なのですが、何となく普段より毛艶が悪くパサっとしているなと思ったら、腎機能が低下して脱水が進行していました。本当に微妙な些細な変化です。毎日撫でて全身をケアしている飼い主さんにしか分からない程度の変化。毛割れはその子の毛の特徴ではなく既に進行している脱水の結果かもしれませんので是非毛の状態をいつも気に掛けてあげてください。
長文になってしまいましたが、多飲多尿、食欲不振や下痢・嘔吐といった腎不全に典型的な症状だけでなく、繰り返す皮膚の痒み・炎症や口元の病変にはねこさんの腎臓からのサインが隠れているように思えてなりません。気になる症状があれば、是非定期的な尿や血液の検査で経過を見てあげていただきたいです。
次回はコマさんが行っている腎不全治療を一覧にしたので、それをご紹介しようと思います。