心のコリをほぐす
安野モヨコ先生の働きマンの中に、主人公松方弘子の行きつけのマッサージ店のセラピスト白川緑子さんがタイムリミットがある中で、お客様のコリをほぐすのに、「あと少し」と心の中でつぶやくシーンがあったと記憶しています。
最近私がお客様の「悩み」や「困りごと」について話を聞いていた時に、白川緑子さんのセリフをふと思い出しました。
話を聞いていると、その方は実際に遭った出来事と、先のことを考えて不安や焦り、イライラという感情で心がいっぱいになり、「どうしたらいいのか」という判断がうまくできなくなっていました。
不安や焦り、イライラといった感情が強いと、過去の出来事と価値観、固定観念などが結びつき、何が問題なのか、解決するにはどうしたら良いのかという思考が止まってしまうと感じます。
相談された方が自分の価値観や固定観念によって苦しくなっている時に、私はどんな関わりをしたら相談された方は楽になるのか?
そう考えていると、身体のコリと同じように、人の心にもコリがあるのではないかと感じ、このコリをほぐす、つまり相談された方の心が楽になる方法を探しました。
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本来人は誰しも、問題を乗り越える力を持っているのですが、不安や焦り、イライラなどの気持ちで心がいっぱいになってしまうと、どうやってその力を使っていいのか、どの方向にその力を使うのかがわからなくなっています。
一度に何個も辛いと感じることが起こると、いつまで続くかわからないネガティブな世界に浸かります。
しかしその一つ一つの事は別々のことなのです。
起きている出来事の捉え方を変えて、辛い感情に浸かっている自分から出る必要があります。
○呼吸を合わせる
イライラしている時や悲しい時には呼吸が早くなっていたり、浅くなっていたり、呼吸をしていないこともあります。
話を聞き始めた時は相手の方に呼吸を合わせますが、呼吸のリズムが合ってきたら、こちらの呼吸をゆっくりにしていきます。
呼吸が合うというのは相手の方を安心させられますし、ゆっくりと深い呼吸はリラックスにつながります。
気持ちが落ち着くと、感情の沼から出ることができます。
○言葉を合わせる
相手の方が感情的な言葉や否定的な言葉、悲観的な言葉を発した時に、否定をしていないか注意します。
相談を受ける側にも自分の主張はありますが、一旦横に置き相手の方の話をまずは肯定も否定もせず聞きます。
話を聞く時は「えー」とか「へー」という声を感情を込めて発します。
「こんな辛いことがあったの!」と言われれば、「そんな辛いことがあったんだ!」と返します。
自分の考えや感情をなるべく置いて話を聞いていると、相手の方が伝えたいことの全体像が見えてきます。
その時に、起こった出来事に対してどんな感情を持っているのかや、解決するのにどこで止まっているのかに気づきます。
○ゴールはどこ?
相手の方が感情の沼にはまった出来事を、客観的な視点で捉え、「こんなことがあったから、辛いと感じたのでしょうか?」と尋ねて、うまくまとめられていれば「そうなんです!」となります。
この様に伝えると、さっきまで辛い出来事の中心にいた方でも、問題を客観視できるようになります。
次はゴール設定です。
どんな状態になれば、あなたは気持ちが穏やかになるのか?気持ちが晴れるのか?を質問したり、或いは一緒に考えます。
言葉で現すのは難しいかもしれませんが、その人にしかわからない、穏やかで晴れ晴れとした気持ちになれる具体的な状況があると思います。
相談を受けた側は、晴れ晴れとした気持ちになるための行動を提案し、相手の方と一緒にそこからフィットする行動を考えていきます。
ここまでは一般的なやり方です。
ここからは少し上級者向けです。
この時に、行動を考えるのではなく、晴れ晴れとした気持ちで自分の身体を満たす方法があります。
これは自分の望んでいる状態が、今この瞬間に叶っていることになります。
今回の場合に当てはめると、既に悩みが解決し、晴れ晴れとした状態になっているので、このまま生活し続けるだけで、他の悩みも解決します。
相手の方と一緒に、穏やかで晴れ晴れした気持ちを体感することで、相談は終わりになります。
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おわりに
今回は相談を受けた時に、相手の心のコリをほぐすための方法を書いてみました。この方法で徐々にコリがほぐれ、最後は笑顔になり体の力が抜けていきます。人の心と体はつながっています。身体のコリをほぐせば心が緩まりますし、心のコリをほぐせば、身体は緩まります。