てつじん
ある日、"八百屋お七" の墓参りに私を誘い、
「私の教え子に、ジョージ土門という男がいるんだけど、
現役でやってるから、彼のところに行ってみるといい」
と、辛島宣夫は言った。
「私は引退してるから、あなたの期待に応えられないから」
そう言って、ジョージ土門の連絡先を教えてくれた。
「彼はちゃんとやってますから」
私は言われるがまま連絡を取り、紹介されたジョージ土門に会いにいった。
ジョージ土門は大森に鑑定室を開いていたが、私が初めて彼に会ったのは、
ショッピングモールの階段フロアのスペースを間借りした様な場所だった。
カラシマ・タロットのポスターが貼ってあり、すぐにそれと判った。
私に気付くと、こちらを見ずに彼は言った。
「師匠は元気ですか?」
私は答えた。
「はい、とても」
すると ジョージ土門は言った。
「あの人は生きる "てつじん" ですよ」
哲人と鉄人、どちらのようにも聞こえた。