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「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治)
大正時代の作家・宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」。ここでは主人公のジョバンニが病気がちの母親の面倒を見ながらアルバイトもして学校に通っています。遠洋漁業に出ている父親のことを友達からからかわれていても親友のカムパネルラだけはいつも自分の味方です。ジョバンニはそんなカムパネルラと夢の中で旅をします。
銀河鉄道は「北十字」と言われるはくちょう座のデネブから「南十字」と言われるみなみじゅうじ座まで南北に伸びる天の川に沿って旅をして行きます。
出発地ははくちょう座の「銀河ステーション」。デネブが駅舎になります。白鳥の停車場と鷲の駅に停車した後、赤い炎を燃やしているさそり座のアンタレスを横切っていきます。続いて南半球のケンタウルス座を超えてみなみじゅうじ座が終点となります。
「銀河鉄道の夜」は悲しい内容を含んでいますが人としての幸いは何かという大切なテーマを含んでいます。さそり座の赤い炎や勇気あるカムパネルラの行動など思わずじっくりと考え込んでしまいました。
重い内容であっても物語の中で展開される美しい世界がまるで宝石のようにキラキラ輝いています。その魅力的な文章表現に引き込まれてしまいます。文章に加えて以下の本は挿絵が幻想的で頭の中で空想の世界が広がります。
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プラネタリウムなどで星の映画を製作して活躍しているKAGAYA氏の映画「KAGAYA-銀河鉄道の夜」を視聴することができます。これは映像も音楽も最高で文章で書かれた世界をここまで美しく表現できるのかと感心してしまいます。
上記のKAGAYA氏の映画は「プラネタリアYOKOHAMA」で7月14日から上映が始まりました。このプラネタリウムは現在主流となっているプロジェクターによる投映⽅式とは異なり、⾃発光するLED素⼦を利⽤した映像システムです。このシステムの最⼤の特⻑である⾼輝度、広⾊域により、今までにない臨場感と美しい星空を体験することができます。
https://note.com/astrolife/n/n3e2c06bb2edb
原作を読むと本作品は理解しづらい文章も多く、いくつかの疑問を抱きながら読み進めなければならないこともあります。そんな疑問を吹き飛ばし、さらに分かりやすい解説をしてくれるのが中田敦彦氏の動画。これを見ると作品の内容とその背景がよく分かり、宮沢賢治の表現したかった世界を十分に味わうことができます。これを見た後、再度KAGAYA氏の動画を見ると心に響きます。
この作品を通して人間のはかなさと宇宙の美しさ。星に願いを込める気持ちが伝わって来ました。私たちは星に生まれ星に帰る。そんなことが自然に受け入れられる気持ちになりました。