シェーンベルクの弦楽四重奏をディオティマ弦楽四重奏団の演奏で聴いてきました
アルノルト・シェーンベルクの弦楽四重奏曲全曲演奏会を東京芸大奏楽堂において、ディオティマ弦楽四重奏団の演奏で聴いてきました。4月6日。
ディオティマ弦楽四重奏団
ヴァイオリン:ユン・ペン・ジャオ、レオ・マリリエ
ヴィオラ:フランク・シュヴァリエ
チェロ:アレクシス・デシャルム
ヴィオラ:安達真理
チェロ:中 実穂
ソプラノ:レネケ・ルイテン
シェーンベルク:
弦楽四重奏曲 第3番 op.30 [試聴]
弦楽四重奏曲 ニ長調 [試聴]
弦楽四重奏曲 第1番 ニ短調 op.7 [試聴]
弦楽四重奏曲 第4番 op.37 [試聴]
弦楽四重奏曲 第2番 嬰ヘ短調 op.10(ソプラノと弦楽四重奏版) [試聴]
プレスト ハ長調 [試聴]
スケルツォ ヘ長調 [試聴]
《浄められた夜》op.4 [試聴]
公演時間:約6時間(休憩3回含む)
休憩時に浅井佑太(お茶の水女子大学音楽表現コース 助教)によるスペシャルトーク
弦楽四重奏3番から始めて、0番、1番、4番、2番、初期2曲、浄夜と,圧巻でした。
3番はベートーヴェンの曲のようなモチーフを積んで行った曲で、この曲を生で聴けるのかと思いながら聞き始めました。
低音たっぷりの演奏でリズム感も豊かでベートーヴェンの中期を彷彿とさせます。
0番はドボルザークのような曲で聴きやすいけど対位法、というのか複数の旋律が組み合わされて歌がうたわれ、楽章ごとのキャラクターも際立つ曲で演奏もそれを表出していました。
一番はワーグナー風の曲かも、出だしもワルキューレの出だしの嵐のような緊迫感で始まり、表現的に最大限に拡張された感じがします。最後の和音の動きが綺麗。
わたしにとっての本命の2番を全曲聴けてよかった。
ソプラノはレネケ・ルイテン氏
第二楽章は愛しのアウグスティンのイメージだったけど、泡が弾けてシュワシュワしていく感じ、しかも後半の導入として流出!
第3楽章,第四楽章が美しく響きます。
この曲はマイケル・ナイマンの弦楽四重奏のCDのリブレットから30年ほど前に知りました。以来のファンです。
最近勉強した神秘思想とも強く結びついている感じで、より一層曲を味わうことができました。
4番は、ゲストの浅井佑太先生によるとモーツァルトのようなと言われていました。明瞭なところはそうかもしれません。
なかなか何の様と言えないので下記リンクでサンプルを聴いていただければと思います。
2番,3番は,ポケットスコア持参。3番はすぐ見失ってしまったけど2番はスコア見ながら集中して演者を見て特殊技法のところなど確認できました。今も耳に残っています。
ディオティマ弦楽四重奏の「ディオティマ」はプラトンの饗宴にでてくるディオティマですね。ソクラテスと対話したディオティマです。饗宴はソクラテスとアルキビアデスとの恋が描かれており、ソクラテスのプラトニック・ラブが描かれている。
恋される男(アルキビアデス)が将来ギリシア自由民として活躍する際に、挿入された男と言われない様にするには恋していても我慢するソクラテスという、BL的なストーリーである。なお、前衛作曲家ノーノはディオティマを冠した曲を書いている。また、ウェストサイドストーリーのバーンスタイン も「饗宴」と題した曲を書いている。映画によるとバーンスタインは隠れゲイだったそうだ。
また、シェーンベルク は哲学者アドルノの先生のアルバン・ベルクの先生。アドルノはシェーンベルク の楽曲についてかなりつっこんで色々書いている様です。手に入りやすいところではプリズメン、楽興の時でしょうか。
話が逸れてしまったが、重層的に意味が集積する音楽のコンサートを楽しむことができて思い残すことはありません。
またしばらくシェーンベルク に取り組もう。