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天文学者のひとり言(20) 「青」の起源

1月15日、貴重な情報を見た

1月15日、新聞を読み始めたら面白い情報を見つけた。それは。朝日新聞の一面、一番下に並んでいた本の広告の中にあった。

書名は『なんで人は青を作ったの?』(谷口陽子、高橋香里、新泉社)。サブタイトルには「青色の歴史を辿る旅」とある(図1)。

図1 2025年1月15日、朝日新聞の一面、一番下に並んでいた本の広告にある『なんで人は青を作ったの?』(谷口陽子、高橋香里、新泉社、2025年)。

ここ数年、絵画に関心を持つようになった。すると、ゴッホやフェルメールの青、そして浮世絵の青の美しさに心惹かれた。絵画関係の本を読むと、青や藍色の顔料は作るのが難しく、価格も高価だったと書いてある。それらの困難を乗り越えても、青にこだわった画家がいたのだ。

ゴッホの描いた星空も青が美しい。《星月夜》、《夜のカフェテラス》、《ローヌ川の星月夜》など、眺めているとうっとりとするほどだ。そのおかげで、光文社新書『ゴッホは星空に何を見たか』という本まで書いてしまった(図2)。

図2 光文社新書『ゴッホは星空に何を見たか』(谷口義明、光文社、2024年)の表紙。

ゴッホは浮世絵を気に入っていたこともあり、私も浮世絵に興味を持った。すると、葛飾北斎や歌川広重など、江戸時代を代表する浮世絵師が「青」にこだわっていたことを知った。気がつけば、「青」が大好きな自分がいることに気づいた次第だ(以前のnoteの記事を参照されたい。

書店にて

朝日新聞の広告(図1)を見た2、3日後、書店に出かけた。『なんで人は青を作ったの?』を買うためだ。書店に着いてから気がついた。本の題名をきちんと覚えていなかったのだ。書店にある検索機を使って調べようとしたが、書名がわからないので調べられない。まいった。

そのとき、ひとつ思い出した。本の宣伝文句に「13歳からの考古学」と書いてあったことだ。あるとすれば児童書のコーナーだろう。

早速、児童書コーナーに行くと、店員さんが本の整理をしていた。これ幸いと、その店員さんに聞いてみることにした。

「あのう、「なぜ青・・・」あるいは「青はなぜ・・・」という本が最近出たと思うんですが、あるでしょうか?」

店員さんの反応は早かった。

「はい、こちらへどうぞ」

3列ぐらいズレたところにあった書棚に行くと、そこから1冊の本を抜き出して見せてくれた。

「これでしょうか?(図3」」

図3 『なんで人は青を作ったの?』(谷口陽子、高橋香里、新泉社、2025年)。

「あっ! はい、それです! どうもありがとうございます!」

それにしても、すごい店員さんだ。正確な書名も言えなかったのに、どの本かのあたりをつけたのだ。プロの技を見た思いがした。

店員さんに深くお礼をして、児童書コーナーを後にした。

『なんで人は青を作ったの?』

家に帰って、『なんで人は青を作ったの?』を読み始めたら、素晴らしい本であることがわかった。口絵を見ると、どんな「青」があるかがわかる。口絵だけで青の世界を堪能できる仕組みになっているのだ(表1)。

 

装丁が美しい本

『なんで人は青を作ったの?』は図3を見るだけでわかるように、装丁が美しい。本を手に持ったときの質感もよい(少しざらっとした質感)。

表紙の絵は、裏表紙まで続いている(図4)。さらに、表紙の絵は表紙の見返しの部分にまで続いているのだ(図5)。素晴らしいとしか言いようがない。

しかも、「青」の種類と歴史がわかるのだ。言うことなしの一冊だ。

図4 『なんで人は青を作ったの?』の表紙の絵は裏表紙まで続いている。この絵は「青」を作る実験室の様子だ。二人の中学一年生(蒼太郎と律)と森井老人の三人が主な登場人物である。
図5 『なんで人は青を作ったの?』の表紙の絵は表紙の見返しの部分まで続いている。「青」を作る試薬が棚に並んでいる光景。

ふと、窓の外を見ると、雪だ。
今日はゆっくりこの本を読むことにしよう。