イタリア発ドラマ「DOC あすへのカルテ」シーズン1終了!
毎週楽しみにしていたドラマが、先日終わりました。
イタリアのTVドラマ「DOC あすへのカルテ」
シーズン1 全16話。
堪能しました。
この熱くこみ上げてくる思いを語ろうと思ったら一昼夜は軽くかかりそうです。
昨年12月、ちょうど中間地点で書いた記事がこれです。
シーズン1がどんなふうに終わったか。
アンドレアの記憶は戻ったのか。
これからシーズン2、3へと続くことはわかっていますので、
「アンドレアの旅はまだまだ終わらない」
とだけお伝えしておきましょう。
そして、最終話のラストカットがとても素敵だったことも。
イタリアのドラマと最初に聞いたとき、「濃いめの美男美女が早口でまくしたてるのかな」と、私は思いました。
確かに濃いめの美男美女はたくさん出てきました。
そして、苦しむ患者を助けるために医者同士が議論する場面では、早口でまくしたてるようなシーンもよくありました。
ですが、それ以外はむしろセリフが少ないような印象をうけました。
登場人物は、自分の気持ちをいちいち言葉でしゃべったり相手に尋ねたりはあまりしません。
それらは、役者の目で、眉で、後ろ姿で、そして間で、表現されていたように思います。
研修医2組のカップルを例にあげてみます。
【ガブリエル&エリーザ】
エチオピア出身のガブリエルは、優秀な頭脳だけを武器に12歳の時にイタリアに渡りました。筆舌に尽くしがたい経験を経て医者になりましたが、過去のことはあまり人に話していません。
エリーザは勝ち気な性格のため、周囲とよくぶつかっていました。ガブリエルとも犬猿の仲でしたが、いつしかお互いを理解し合うようになります。終盤近くになって恋人同士になります。
一見派手なエリーザも、心の奥に複雑な感情を抱えています。休日はよく保護犬の施設で過ごしています。
そんなふたりの、最終話のシーンです。
将来の話をし、笑顔でエリーザを抱きしめるガブリエル。しかし、少しずつ、表情がくもっていきます。
この間ほんの数秒。
とても短い時間なのに、彼の苦悩が痛いほど伝わってきます。
並みの人間にはとても抱えきれないようなものを、ガブリエルは背負っています。
その荷物を下ろせる日が、来るのでしょうか。
【リッカルド&アルバ】
同じく研修医仲間のリッカルドとアルバ。やはり仕事を通して意識し合うようになります。
でも、リッカルドはどこか壁を作っているように見えます。アルバにも、他の仲間にも。
リッカルドには、大きな秘密があったのです。
付き合いが深まる過程で、彼の秘密を知ることになるアルバ。
いつまでも皆に打ち明けないことをもどかしく思うアルバとリッカルドはすれ違っていきます。
そして、最終話。
リッカルドはついに、仲間の前で自身の秘密をさらけ出します。
驚く仲間たち。
やがてその驚きは大きな拍手に変わります。
離れたところからそれを見つめるアルバ。
彼女はリッカルドにかけ寄り、ふたりは熱いキスを交わします。仲間たちの拍手は更に大きくなります。
このシーンの最初から最後まで、ふたりのセリフは一言もありません。
そして、リッカルドの真横で一部始終を見ていたガブリエルも、無言でエリーザを見つめます。彼もまた何かを決意したようです。
補足ですが、お嬢様キャラ(でも大胆)なアルバも、偉大な母親との間に確執を抱えています。こちらの問題は次シーズンに持ち越しのようです。
この4人は決して主役ではなく、アンドレアやアニェーゼ、ジュリアたちの主ストーリーが展開される脇で描かれていきます。他の何人もの登場人物たちもそうです。
優れた脚本、演出、そして俳優陣の演技の妙が積み重なった、濃厚なシーズン1でした。
さあ、まだこのドラマを観ていないあなた!
観たくなりましたか?
観たくなりましたよね?
最終話はNHKプラスで明日2/26(日)の24時まで観られます。
そして、16話全体の前編・後編のダイジェスト版がYouTubeで公開されています(それぞれ5分ですが)。
シーズン2は9月からの放映のようです。
ぜひ、ご一緒にDOC沼へ!