ラーメンの後は銀閣寺で
続⁴「私のホームランド、京都」
京都は意外と言ってもいいのか、ラーメンシティーである。さすがに東京程の軒数と多種多様性は無いかもしれないが、河原町周辺ではかなりの店が繁盛している。
久しぶりの日本ということもあり、娘といくつかの店を探求しにいった。「探求」とは、ちょっとえらそうな言い方だ。実際は食べたかったから食べに行っただけのことである。
四条通りに近い河原町通りと木屋町通りの間にある「杉千代」に行った。まだ松の内である1月5日の昼過ぎ1時前に訪れた。店の前には二組ほどの人が並んでいた。さほど待つこともなく、店内にはいることができた。
カウンターに娘と並んで座り、基本のラーメンを注文。醤油とんこつである。背脂がしっかりとネギとチャーシューにからみ絶妙にうまい。ネギが嫌いな娘の分ももらう。このスープにはネギが合う。そのネギが嫌いというのは、ハンバーガーにチーズを挟まないようなものだ、と思いながら、もくもくと食べた。余計なトッピングやサイドは頼まず、ラーメンのみを楽しんだ。すぐに食べ終えた。
義兄より京都のラーメンと言えば、「ますたに」だと聞いた。であれば、そこにいかなければならない。
本店は銀閣寺の近くにある。銀閣寺前のバス停で下車。グーグルマップで所在地を確認しながら数分歩いた。そのあたりについたようだが、店構えが「はい、ここが噂のラーメン屋です」という雰囲気が全くない。そのため娘にここよと言われなければ、行き過ぎていたところだ。その店構えも店内も昭和をしていた。
1月6日のお昼前に行った。店内で少し待ったが、すぐに席は空いた。奥にある座敷を案内された。くつを脱いであがる。小さめの二人用の座敷テーブルだ。無理すれば3人もいけるかも知れないが、いずれにせよ我々は二人客なのでこれで良い。
少し待って注文を取りに来た。基本のラーメンを注文。「杉千代」と同じく、醤油とんこつだ。もっとも、こちらが京都醤油とんこつのはしりと言われている。さほど待つことなく運ばれてきた。うまい。やはりチャーシューとネギはこのスープ、つまり背脂スープに合う。昨日同様に娘のネギをもらった。そして、もくもくと食べ始めすぐに食べ終えた。
京都駅前地下のポルタにある「どうとんぼり神座(かみくら)」に行った。ここは、京都ラーメンではない。その名のとおり大阪本店のラーメンだ。
午後1時前に訪れた。1月8日。場所柄か時間的にか、結構並んでいた。すでに5組ぐらいは並んでいただろうか。それでも15分程度待つだけで店内に案内された。その前に自動販売機で食券を購入しておく。基本の「おいしいラーメン」に私はネギのトッピングを、娘はもちろんネギは乗せない。もやしをトッピングした。それにからあげを一品を付けた。
事前にネットでしらべておいたところ、ここはフレンチシェフが開いたお店のようで、京都ポルタ店は2022年3月に出来たばかりだ。
スープも具材も異質というか、新しい。白菜と豚肉(チャーシューではない)がこのスープに絶妙にマッチする。あっさりだがこくがある。うまく説明できない。また来たくなる味であった。
ちなみに、ポルタを含めて京都駅周辺にもかなりの数のラーメン店がしのぎ合っているようだ。
調べて回ったわけではないが、どのラーメン店も結構はやっているように思える。河原町周辺や京都駅周辺でいくつか並んでいる店をみかけた。
京都人はラーメン好きだったかな、と思ったりするが、私ももともとラーメン好きということではないが、やはり食べてしまう。アメリカ人がハンバーガーを食べるように、今やラーメンは国民食となっているのだろう。
今回の京都帰省では、これら3件の店に加え、もう一軒つけ麺の店にも行った。河原町周辺の定番の魚介スープのつけ麺である。奥のテーブル席で基本のつけ麺を注文したが、上記のラーメンほどの感動は無かった。やはりつけ麺ではなく、基本のラーメンが良い。
昨今ラーメンは世界の国々でポピュラーとなっている。ここアメリカでも同様だ。私の住んでいるシカゴ郊外にも何点か出店されている。味はそこそこだが、とにかく値段が高い。10ドル以上はする。それに税金とチップを入れるとざっくり15ドルは見なければならない。安くても15ドルと言う意味だ。
シカゴのダウンタウンでは20ドルは下らない。もっとも私はダウンタウンでラーメンを食べたことはない。いや、だから食べたことが無いというべきか。
それに比べて日本は安くてうまい。「ますたに」は700円だった。もう神様のような価格設定だ。ただ、往復のバス代を考慮すると1000円は越すのだが。
そこでラーメンを食べて帰るだけではもったいないので、ついでに銀閣寺に寄ることにした。ついでと言ったら、銀閣寺に失礼だ。何よりも、ここは、正確には慈照寺銀閣は国宝であり、世界遺産なのだ。それに、昭和に再建された金閣寺と違ってほんまもんである。
その落ち着いたさびのある風格の銀閣(観音堂)と周りの庭園を久しぶりに堪能した。庭園は池泉回遊式だ。周囲をぐるっと歩く。そして、展望台に上る。そこから京都の街並みを臨むことができた。ダウンを着て歩く季節ではあるが、食後の後だろうか、あまり寒さは感じない。食後というか、ラーメンの後だからか。そうだラーメンの後は銀閣寺だ。となぜかひとりで納得する。
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