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エリック・サティ氏の気晴らし 2024年11月10日 夢工房
19世紀末、フランス音楽界では異端視されていたエリック・サティ(1866-1925)。しかし、20世紀に入ると、次第にサティ氏は、それなりに認められてゆきます。サティを評価していた作曲家のラヴェルやストラヴィンスキーも交えて、サティ氏による「気晴らし」の音楽会を計画しました。
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今回の「気晴らし」のメインは「スポーツと気晴らし」です。
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以下図像は全てフランス国立図書館より
ロココの時代からのFête galante(雅やかな宴・艶めかしい饗宴)の伝統を受け継ぎつつも、近代の要素をふんだんに取り込んだ、20世紀版:裕福なブルジョワ市民によるFête galanteな世界。
なんと、サティ氏は、辛辣な音楽と言葉で切り込んでゆきます。シャルル・マルタン(1884-1934)による美しい版画と共にお楽しみください。
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炭酸水を入れるサイフォン式ボトル・カンカン帽・揺れるスカートが描かれているのでしょうか?
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左側の"BOCK 0.75"は、当時流行っていたビール
テーブルの上には炭酸水用のサイフォン式ボトルも置いてあります
ブランコの揺れと共に、シュワシュワとした炭酸の泡立ちも感じます
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右手はブランコの揺れを
左手はビールや炭酸水の泡立ちも連想
でも、どこか退屈そうです・・・
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当時は、「ウォーター・シュート」や「テニス」等、
アメリカやイギリスの文化が流行っていました
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ゴルフクラブごとぶっ飛ばしてしまう大佐の力任せのショットが
楽譜にも描かれています
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「蛸」が何故「気晴らし」になるのでしょうか?
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19世紀末から、日本の「浮世絵」や「春画」は、フランスの文化人たちの中で大流行しました
葛飾北斎や勝川春章などによる「蛸と海女」のテーマは、後に、ピカソの絵画にも表れます
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官能的な内容かと思いきや・・・
蛸がカニを飲み込んで、むせて、
塩水を飲んで心身を整えるという、コミカルなお話し
蛸のヌメヌメした動きと、カニの動きが楽譜にも描かれています
ラヴェル、ストラヴィンスキー、サティの名曲も交えながら、サティ氏の辛口ユーモアの世界をお楽しみください。
フランス音楽研究会
文責:阿部理香
参考文献:フランス国立図書館 電子図書館
鈴木堅弘著『海女にからみつく蛸の系譜と寓意 -北斎画「蛸と海女」からみる春画表現の「世界」と「趣向」』
京都 : 人間文化研究機構国際日本文化研究センター 2008-9年出版