5時間でー7kg

選手は皆、試します。

減量を、です。
失敗しても咎めない試合前以外の減量を、です。

そういう経験を経て成長していくのです。
どのくらい走って何kg落としただとか、何時間で
何kg落としただとか、選手同士の中での自慢大会の
1つです。


1試合の減量で何kg落としたことがあるとかが、
その入口でしょうか。


僕にも勿論、そんな経験はあります。

サウナでの1度で何kg落としたことがあるということも
同様に。

勿論、試合が全てなことくらい分かっているのですが、
試合をする為に必要な過程でもあります。


自伝にも記しましたが僕の最高は13kgです。
1試合にかけての減量だけでいったらもっとありますが、
2週間でその量は二度と出来ませんし、どれだけのお金を
もらっても出来ません。


フライ級まで落としたあの苦しみは忘れません。


苦しみ以外の何物でもありません。
今も夢に見るし、寝る前に思い出すと眠れなくなるほどです。



3日前に帰国しました。
53kgを切ったあたりです。
あと2kgが落ちません。

電車に乗る元気もなく、成田空港からタクシーで帰宅しました。
それだけの減量をさせておいて、会長はジムのサンドバッグや
ミットなどの練習道具を僕に買ってくるよう命じたからです。

立っているだけでも痛い(分かる人はほぼいない確率のことは
分かっていますが、体重を落としすぎて、靴を履いていても
踵が痛いのです。)その身体まで落とさせておいて、その様な
ことを命じる会長の神経が理解出来ませんでした。


タクシーで帰宅し、トランクから荷物を団地の5階まで全て運び、
そしてようやく帰宅です。

そこから3日間、絶食舌咽します。
計量は試合当日朝の時代です。

前夜から早朝にかけて、腹が痛くて早朝までトイレで腹を
抱えていました。


その試合の回想録にも記しましたが、試合当日の計量まで
歩けないので父に支えられて向かいました。
1人で立っていられないのです。
父に試合をキャンセルしてもらうつもりだったのですが、
後楽園ホール1階で会長は父を帰る様、促しました。
「計量に親と来るなんて。」
冷たく鼻で笑いました。



この試合で引退しようと決めて臨みました。

身体がいうことを聞かず、判定までもつれました。
その年の大検、1教科も取れず、なので、もう一度高校受験をするか
働くかの2択でした。


高校生になることを選択しました。




受験して合格して、春から高校生になる準備をし始める頃、
ジムに荷物を取りに行くと次の試合決まってるのに、なんで
練習に来ないのだと会長はお冠でした。

もう、やりたくありませんでした。

スーパーバンタム級で試合を組んだといいます。
でも、その階級にすらもう体重は落ちませんでした。

前日に1kg以上オーバーしていました。
走って落とし、何とか試合は出来ました。


高校入学して翌月、フェザー級に戻るのですが、フェザーにすら
体重は落ちませんでした。
「ざまぁみろ!」に記した通りです。




なので、何を食べたらどれくらい増えるとか、体重の落ちやすい
食べ物や増えにくい食べ物、サウナでの汗のかき方や走る際の
汗のかき方を考えるようになります。

フライ級まで落としたら、フェザー級にも体重が落ちなく
なったからです。

なので、試合が終われば、体重を落とすことを試し始めました。
試合翌日から走り始めるのは十代の頃からです。
走って帰るということは考えたことがなかった訳では
なかったですが、勇気が要りやるまで時間がかかりました。


サウナもそうですし、走ることもそうです。
サウナでいったらどういう入り方をすれば体重は落ちるかや
落ちやすいか、走ることだいったら1時間を1セットにして
1日に何回走れるかということや、も行います。


簡単です。
試合前の本番で試したくはないからです。
多少の事はさておき、オーバーするかもしれないという
様なことは、本番で試したくはありません。

「このやり方で落とせるかもしれない。」
ではなく、本番では間違いなく落とさなくてはいけない
のです。


超過する様な選手はその様な経験がないのかもしれません。
これだけ走ったらこれだけ体重が落ちる、これを食べたら
体重が落ちる。
これだけ着込んでこの距離を走れば、この時期でも
これだけ落ちる。

等、時期によっての距離や着込む量、様様な過去の減量中や
そうでない時に試したデータを元にして本番に臨みます。
そして試合後にまた新たなデータを求めて試すのです。



2011年8月、13年も前になるのですね。

9時頃に減量着を着て、船橋を出ました。
試合1ヶ月前の設定体重、65kgでした。
普段は10kg程(それ以上の時も普通にあります)
落とすのですが、でも、1ヶ月前は7・8kgオーバーから
落とす様にしています。


その1ヶ月前の体重を一度作って、そこから試しに
1日でどれだけ落とすことが出来るか試すのです。
試合前以外は勉強の時間です。

なので、その様なことは季節に限らず沢山してきました。
勉強不足を棚に上げて、自分が努力していないことを認めたくない
選手等は僕を馬鹿にしました。
口頭で、噂で、ネット社会になってからはネット掲示板で。
残念ですが、事実です。
理由は簡単です。
努力していない自分が悔しくて貶めようとするのです。
世の中は8対2です。
意外と何にでも当てはまります。


失敗したっていいのです。
試合前でもないし、誰にも迷惑はかけません。
疲れたら歩いてもいい、水のみ飲み放題、おにぎりなど
軽食は数回摂ってよし。
それがルールです。



5時間程で40kmほど先の原宿駅周辺の明治神宮に
着くことが出来ました。
人気のないところで頭から水を被り、駅構内のトイレで
着替え、電車に乗って船橋に戻りました。

船橋に戻ってサウナに行き、体重を量ります。
58kgでした。
サウナに少し入り、寝れば翌朝にはフェザー級リミットまで
体重は落ちました。


食べる量減らして、飲む量も減らして、1ヶ月かけて落とす
体重に5時間で到達しました。


だからといって、最悪前日に7・8kgオーバーまでしていても
大丈夫ということではありません。
仮にこれが定期的に出来ることだとしても、失敗する可能性の
あることをあえてやる必要はありません。

なので、2kg超過する選手を見ていていつも思います。

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デビュー戦からの全ての試合を販売する 回想録です。 1試合ずつ販売しているそれとは別の、 それです。

これがなんのことやらか、ようやく 理解しました。 どうもです。 頑張ってホームラン打とうと 思います。