小さな幸せに気づかせてくれる。鬱病時代の「一番の宝物」〜Angel Beats〜
ネタバレ含みますので、まだ見てない方は注意してください。
アニメに出会った
自分は高校時代に鬱病を患った。現在は回復し、大学にも通いながら、友人と遊んだり、バイトをしたりと「普通の大学生」を謳歌している。ここまで回復できた要因として、周囲の支えがあったこと、自分なりに勉強したこと、そしてアニメに出会ったことがあげられる。
今回の記事では、鬱病時代にに最も自分を助けてくれたアニメのAngelBeatsについて書こうと思う。
そもそも自分がアニメを見始めたのは、うつ病で引きこもってからだ。そのきっかけも、「引きこもりといえばアニメじゃね?」としょうもないものだった。ハマるまでに時間はかからなかった。困難に立ち向かう主人公、魅力的なヒロイン、壮大な物語を見ていると惨めな自分を忘れさせてくれて、気持ちの良い妄想に浸らせてくれた。辛い現状から逃避するのにアニメはピッタリだった。そういう時に、AngelBeatsに出会った。
AngelBeatsの世界観は、鬱の自分に衝撃を与えた
AngelBeatsは、最も泣けるアニメで有名な「CLANNAD」を制作したKeyなどの共同制作によりできたオリジナルアニメだ。
舞台は「死後の世界」。まともな学生時代を送れなかった子たちの霊を救済する場所での物語だ。かといって重々しい空気感ではなく、基本コメディ調で描かれており、普通の学園アニメだと思った。楽しそうな学園生活を送れていていいなと思った。1話の生徒の食券巻き上げはおもろい発想だなと感じた。楽しそうな空気に落ち込みそうになった。楽しそうな彼らを見て羨ましいと感じた。
しかし、その嫉妬に似た感情はすぐ反省させられた。「彼ら」の人生はコメディ調で描かれる軽いものではなかった。彼らが生きてきた人生は自分なんかと比較にならないほど、過酷なものだった。
「ゆりっぺ」は強盗に自分以外の妹と弟を殺され、長女として何もできなかったと後悔に苛まれていた。
「岩沢さん」は、家庭が荒れていて家を出て音楽で生きてこうと考えていた。ある日の両親の喧嘩を止めた時の後遺症で、声を失い、そのまま亡くなった。
「ユイちゃん」は、幼い頃の交通事故で全身麻痺になり、介護なしでは生きられない体だった。
他の登場人物も似たように、辛い経験があったのだろう。過酷さの大小はあっても彼らはもうやり直すことができない。ただ死後の世界で神に抗うことしかできない。
自分はまだやり直せる
自分はただ自惚れに気づき失望しただけだ。対人関係が下手くそだっただけだ。やり直そうと思えばやり直せる。自分が頑張ることで、状況を変化させられる。そう考えると、不安が強い時でも、家から出てみよう、学校に行ってみようと思うことができた。一歩を踏み出すときに勇気が出ない時は、AngelBeatsを何度も見返した。実際に踏み出せた時もあれば、踏み出せない時もあった。踏み出せない時、「死にたい」と思ってしまうまで落ち込んだことがあった。この時は「一番の宝物」という曲に救われた。
「一番の宝物」
この曲には、オリジナル盤とユイ盤があり、自分はユイ盤を聞いていた。このユイ盤とは、先に述べた交通事故の影響で全身麻痺になった「ユイちゃん」が歌ったものである。その歌詞に
「どんな不自由でも幸せになれる」
「死にたくなっても、死んでは行けない」
というものがある。生前何もできなかった子でさえ、死んでは行けないし、幸せになれると思っている。だったら、自分が「死にたい」と思うのはあまりも失礼と感じた。何度もこの曲を聴いてるうちに、「死にたい」とは思わなくなった。自己批判はひどいし、周囲は怖いし、自分には何もできないと感じても、「死にたい」とは思わないようになった。
世界には彼らに似た人がいるかもしれない
AngelBeatsは作り物なので、ここまで過酷な経験をしてるひとはいないかもしれない。もしかしたらいるかもしれない。
少なくとも言えるのは、落ち込んでる人には安全に逃げられる場所があるということ。自分にとっては「自室」がそうだった。家にいても安全が確保されないところもあるだろう。銃の所持が認められてる国では、普段の外出も日本より危険だろう。その日の食事を命懸けで探さないといけない環境もあるだろう。一つのミスが原因で周囲が危険にさらされる環境もあるだろう。落ち込んだ瞬間命が消えるような環境もあるだろう。
自分は幸せ者だ
AngelBeatsを見たことにより、自分の小さな幸せに気づくことができた。両親や、カウンセラーさん、学校の先生、野球の監督、コーチ、大勢の方に支えられている。アニメが見れる。自宅に引きこもることができる。鬱病になるまで、他のことを気にせず落ち込むことができる。死にたいと思える余裕があること。停滞している余裕があること。やり直せること。生きることができること。
そう考えると自分は幸せ者だと感じることができた。
長々ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
追記
アニメで学んだ事を書いてると、忘れてた初心を思い出すことができるので、しばらく続けようと思います。これからもお付き合いください。
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