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【aspatagusのシンプル地理授業 No.2 】一番重要なのは「単元の軸を決めること」
僕は、公立中学校社会科の教師。
最近、僕は授業の目的をシンプルに捉え直している。
そうすると、気持ちが楽になった。
そして、生徒たちからも分かりやすいと評判になった。
このマガジンでは、僕自身の思考の整理も含めて、地理的分野での実践を紹介していくことにする。
名付けて、
「asparagusのシンプル地理授業」
僕の地理的分野のとらえ方は以下のリンク先に書いてある。
お時間あれば立ち寄ってくださいね。
今日は具体的な内容に入る前の地理授業の単元構成について軽く触れておくことにする。
上のリンク先でも書いているように、僕の地理の授業の目的は、
「動的な見方・考え方ができるようになること」
これのみを目的にしている。軸が決まれば、授業も展開していきやすい。
さて、そんな僕がいつも地理授業を作る上で、大前提として大切にしていることを今日は伝える。
それは、
「単元ごとにテーマを決めて、単元の軸作ること」
「単元の軸を中心に各授業の問いを構成すること」
ということだ。
単元ごとのまとまりを意識することで、より動的な見方を意識した授業展開を心がけることができる。
単元ごとにテーマを決めて、単元の軸を作る
地理は教えることが多い。
自然環境 ・・・河川名、山脈名、海洋名など
気候 ・・・熱帯~寒帯、それぞれの地域にある特徴的な気候
産業 ・・・農業、工業、商業・サービス業
資源・エネルギー ・・・僕たちの生きる上で欠かせないさまざまな資源
文化 ・・・衣食住、その地域独特の伝統文化
結びつき ・・・交通・通信
でも、動的に捉えることを目的としている僕の授業はこれらのそれぞれの知識を一つ一つ教えることに重きを置いていない。
・ある気候が存在しているのは、そこにある山脈や河川、海などの自然環境が影響している、
・ある衣食住の文化的なものの存在の背景には気候や農産物、工業生産物が関わっている。
・ある産業が発展した背景には、交通・通信や気候など様々なことが関わっている。
世界中にある地理的事象は、さまざまな背景が有機的に関わっているのである。知識を教えるより、この関わりを教えた方が、これからの人生に絶対に役立つし、知識を教える上でも実は効率が良かったりする。
つまり、このような有機的な関わりが分かる授業展開に構成し直すことがポイントになる。
例えば、アジア州。
僕の場合、この単元のテーマは「経済発展」。
アジアは、東アジア、東南アジア、南アジア、西アジア、中央アジアなど、とても広範囲だ。中国の発展、シンガポールの発展、インドの発展、ドバイの発展など、それぞれの地域事情に応じた急速な経済発展には目をみはるものがある。
このような発展事例をもとに、アジアのどの地域の授業でも「経済発展」を中心に授業を組み立てるのだ。
単元の軸を中心に各授業の問いを構成する
単元の軸が決まれば、次は各授業の構成である。
ここで最も大事なのことは、
テーマに即した「問い」を作ること
上でも例に出した「経済発展」を軸にしたアジア州でいくと、
(西アジアの授業)
砂漠の中に大都会ドバイが広がっているのはなぜだろう?
(南アジアの授業)
インドのベンガルールでICT産業が盛んになってきたのはなぜだろう?
といった感じだ。
この「問い」を中心に授業を展開していくのである。
「問い」の作成の方法には、重要なポイントがある。
それは、
「問い」に対する答えが、他のさまざまな地理的事象と有機的につながっていること。
インドのベンガルールは、よく調べていくとアメリカ企業と連携している会社が多い。なぜだろう?
→アメリカとの時差は半日。アメリカの業務をインドに引き継ぐことによって、24時間体制で業務が出来る。【位置的な背景】
なぜ、アメリカの業務が引き継げるの?
→かつてイギリスの植民地で英語が公用語【歴史的背景】
といった感じで、いろんな事象が絡んでいる「問い」を作成すると、生徒たちは「問い」に没頭していくことができる。
僕はこうやって毎年、単元ごとに授業を構成し、新しい「問い」を立てながら授業を作っていく。
これが、地理をシンプルに捉えるコツ。
細かな指導法などはあとから考えれば良い。
とりあえず
・単元の軸となるテーマ決めること
・軸に合わせた各授業の「問い」を設計していくこと
これが一番重要。
これ1点に絞って教材研究をシンプルに進めていくのがアスパラガス流の授業なのだ。