見えないものを集めて形にする
私は変に心理を読む傾向がある
出張先のホテルでもそう
余計なおせっかい
基本的にチェックアウト前には部屋をきれいにするタイプで
ゴミをまとめるのはもちろん
部屋着とタオルなどの洗濯ものは一ヶ所にまとめる
シーツ交換しやすいように布団は整えるだけで直さない
洗面所とトイレの掃除
来た時と同じ状態に自分の尻ぬぐいは自分でする
でもわざとそのままにしておくものもある
なぜか…
きれいに片づけてしまうとスタッフの方が未使用と思われ
そのまま次のお客様に出してしまうと
次のお客様が使った時に「あれ?これ使用済みでは?」
となりクレームが入ったら誰も得しないと思うから
掃除しやすいようにはしておくけど掃除はしてくださいよというスタンス
掃除ってその人の感覚によって違いが出ると思う
これできれいになった!と思う人もいればまだまだと思う人もいる
ホテルの場合はマニュアルはあると思うけどそのマニュアルの受け取り方によって些細なところで差が出ると思う
それは仕事全般に通じることで、特に私の業種なんかモロにそうだけど
たとえばAをBにする使命があったとして
Aに近いBで提出する人
Bど真ん中のBで提出する人
C寄りのBで提出する人
どれもBなんだけど人の数だけわずかな差がある
指示した人は一体どの塩梅のBを求めたのか
さらに思考を飛躍させると、Zを得るためにBを欲しているのか
つまり最終的に何を求めているのか
それをなるべくヒアリングしたり察したりし
相手が求めるものを提供する
作家さんは先に自分の感性でBを作りあとから他人がそれを「素晴らしいB!」と認めファンになる
その作家さんが作るBに価値があるのでたとえそれがA寄りでもC寄りでも関係ない
一方、依頼者がBをお願いし「まさしくB!」なものを作るのが職人さん
と私の中では思っている
依頼者と職人の間でも感性のずれが生じるのは否めない
私の仕事はお客様が求めるものを職人さんに作ってもらって提供すること
そして同じ分野の職人さんでもお客様の求めに応じたものを作るのに技術面でも予算面でも適した職人さんを選定すること
「まさしくB!」なものを作ってもらうために尽力する、そして職人さんにうるさがられる…
時には新たな職人さんを探すところから始めることもある
感性、情報、人脈、折衝、共有、往来
それが私の仕事の醍醐味であるプロデュース
そのためには何が求められているのか深く知る必要がある
趣味嗜好、人柄、世界観、思想、社会的立場、家族構成
一見さんをお断りしたくなるのはこういう背景があるからじゃないかな
京都製がもつブランド力を単に歴史ある地名という言葉だけの薄っぺらい威力ではなく
「神は細部に宿る」といわれるように感性のすり合わせが結果オーラとなって真の迫力を纏うように、見えないものを注意深く集めながらものづくりをしていきたいと思う