【才能に頼らない仕事術】 人見知りデザイナーの持続可能なフリーランス戦略
※この記事は途中まで無料でお読みいただけます。
突然ですが、皆さんはフリーランスにどんなイメージを持っていますか?
組織で働くビジネスパーソンからは、自信満々で精神的にタフそうなイメージを持たれているかもしれません。なんの後ろ盾もないまま世の中を渡り歩く才気あふれた人物。そんな風に美化している方もいるかもしれません。
でも実は、そうでもないんです。少なくとも僕の場合はそこから遠い地点、ほとんど真逆と言える地点からキャリアをスタートさせました。技術的な才能は人並み。しかも身体にもメンタルにも持病を抱えています。早速皆さんの期待を裏切っているのではないかと少し心配になってきました…。
(1)あまりにもフリーランス10年選手らしくない自分
改めまして、こんにちは。大阪で「AMIX(アミクス)」という小さなデザイン事務所を経営しているトミナガハルキ(@asobodesign)と申します。おかげさまでフリーランスとして独立し10年目を迎えます。
仕事や経歴は個人のWebサイト(↓)にまとめていますので、よければご覧ください。
#ズボラPhotoshopという書籍も制作させていただきました。
実は、僕は人と対面でコミュニケーションを取ることが本当に苦手で、体力・メンタルともに弱く、割とすぐにへばってしまいます。デザイナーは概して長時間労働のハードワークですから、致命的なマイナスポイントではないでしょうか。どう考えても、自営業に向かないタイプだと言えるでしょう。
かと言って会社勤めにも適性があるとも思えません。なにより集団行動が苦手なんです。元々運動神経が悪いのですが、チームワークが必要な競技は大の苦手です。ですから社内デザイナーにも向いているとはお世辞にも言えません。
そんなダメダメな男がフリーランスとして、どうやって10年近く生き残ってきたか?自分なりに培ってきた戦術を皆さんにシェアしたいと思います。図らずも王道から外れたものになっていますが、参考になる部分がありましたら取り入れてみていただければ幸いです。
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〜 読んでいただいた方の感想 〜
(2)理想の働き方を追求するフリーランスへの道
(2-1)弱点を認めて、自分らしい起業の形を見つける
フリーランス志望者たちに向けた記事には、決まって次のようなことが書かれています。
「フリーランスには高いコミュニケーション能力が求められます」
「独立する前から継続的に人脈の構築に励むべきです」
確かに間違っていないと思います。
会社という組織で働くのとは異なり、フリーランスは出世とも異動とも社内政治とも無関係です。同僚との飲み会もないので、人間関係は業務遂行に関わる最小限で事足ります。もちろんクライアントと良好な関係を築くことができれば、継続的に案件をもらえるかもしれません。あるいは新たな案件を先方から相談してくれることもあるでしょう。
コミュニケーション能力が高くて困ることはありません。フリーランスにとってコミュニケーション能力を高めておくことは、非常に重要だと言えます。
ところがです。前述の通り、僕は人と直接コミュニケーションを取ることが、本当に苦手です。おまけに心身共にタフとは言い難いです。
会社員時代は幸いにも上司先輩に恵まれ、僕のような人間にも寛容な環境で働きやすかったです。ただ、転職やキャリアを積む中で、社内調整的な業務も担うようになり、僕のメンタルは徐々に不調に。あちらを立てればこちらが立たず。そもそも集団行動もチームワークも苦手な人間が、調整役に回るなんて無理ゲーでしょう。「立場?メンツ?そんなの知らんがな」…という訳にもいかず、泥臭い人間関係の波しぶきは僕の胃腸とメンタルをキリキリと締め付けたのでした。勿論こういう業務が無駄という訳ではなく、単に僕が向いていないだけなんですが。
悲しいかな、社内のポジションが上がるほどその類いの仕事が増えてきて「これは幸せになるキャリアなのか?」と自問せざるを得ませんでした。そしてある意味逃げるように起業したんです。僕は自分の弱点とあまり向き合わずに済む方向に走りました。
フリーランスになる人は、独立前の現状になんらかの不満を持っている場合が多いはずです。単純に「もっと稼ぎたい」という人もいれば、「現場から離れたくない」と考える制作畑の人もいるでしょう。人間関係で悩んだ結果、独立する人もいるかもしれません。会社の居心地が良かったら、給料に満足していたら、わざわざ不安定な世界に飛び出そうとは多くの人はしないはずです。つまり誰もがフリーランスとしてやっていく自信があって独立したとは限らないと思います。
フリーランスのメリットはいくつかありますが、「自分の希望に合った働き方ができる」というのは、僕にとってまさしく福音でした。クライアントが存在する以上、人との関わりはゼロにはできません。でも必要以上にコミュニケーションを取る必要もありません。気がついたら、まる一日一言も発しないまま夜になっていた…ということもありました。会社員時代より人間関係が希薄になりましたが、その分仕事関係の飲み会等が極端に減りました。この傾向はコロナ禍においてピークに達し、やや薄れてきたものの、今も健在です。
(2-2)予期せぬ転機 — いじめられっ子からデザイナーへ
話が前後しますが、独立までの僕の半生を駆け足でお話します。
幼少期からず〜っといじめられ続けの人生でした。思えば、幼稚園に入園した最初の日、隣り合わせたスネ夫みたいな子にいきなり手をつねられたのが全ての始まりです。そこからの長い長いイジメられ体験は僕にトラウマを残しました。いじめから卒業できたのはようやく高校に入ってからのこと。恥ずかしながら38歳の今でも他人と目を合わせることが困難です。目が合ったら、殴ったり蹴られたりしていたことが潜在的に思い出されているのかもしれません。新しい人とちょっと会うだけでも気力が消耗するほどです。
運動は大の苦手。勉強もそこそこ。そんな状態のまま語学系の大学に進学し、外国語(主に英語)を勉強していました。進路としては、多少海外と関係がありそうな空港の地上勤務員か、父と同じ公務員になることを惰性で考えていました。当時はPhotoshopやIllustratorはおろか、Macさえ持っていなかったんです。(PhotoshopやIllustratorに至っては存在すら知りませんでした)
グラフィックデザイナーに興味を持ったきっかけは、とても単純です。軽音楽部に在籍していたので簡単なフライヤーをWordで作っていたのですが、それが結構楽しかったんです。本当になんとなく「これを仕事にできたら楽しいだろうな…」と思いました。
そんな話をポロッと友人にしたところ「やりたい事があるならその道に進むべきだ」と諭されました。もともと資料作りが上手いと褒められていたこともあり、ひとまず一歩踏み出すことにしたんです。
詳しくは上記の「素人の大学生が新卒でグラフィックデザイナーになるまでにやった事」という記事を見ていただきたいのですが、未経験のど素人という不利を覆すため、がむしゃらになって分厚いポートフォリオを作りました。美術系の大学しか採用募集していない企業にも突撃し、面白がってもらったりしながら、なんとか新卒でデザイナーになることができました。
ただ、入社後明らかなスキル不足は否めず、「自分はお荷物になっているのでは…?」という感覚がありました。そこで、僕は武者修行をひっそりと行うことを決意します。ノーギャラで知り合いの飲食店の広告デザインを手伝ったりしていました。当時は副業という考えすらなく、ただスキルを磨きたかったんです。実はこの武者修行こそが、副業へと繋がっています。徐々に「お金を払うからデザインを作って欲しい」という人が現れるようになったからです。
【 大企業 → ベンチャー → 中小企業】と会社員として3社経験した後に、独立を果たしました。
会社員と並行して、個人としては【 趣味(修行)→ 副業 → 独立 】という形でデザインをやってきたことになります。
副業のまま続けるという選択肢もありえました。でも豆腐メンタルの僕は、次第に重くなってくる管理職的な業務に耐えられそうにありませんでした。加齢とともに体力面もキツくなりそうです。そういう生き方はやだなぁ…となんとなく思ってしまったんです。
折しも副業の収入が会社員デザイナーとしての給与に並んだタイミングがあり、その状態が半年継続できたので独立を決意しました。
(2-3)内向型人間の強みを活かした、テキストベースのビジネス戦略
いじめという過去に端を発する「できれば人と会いたくないな…」という願望が、僕のビジネススタイルの根底にあります。言ってみれば「引きこもり的生存戦略」です。
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