【絵本レビュー】 『ぐりとぐらのかいすいよく』
作者:なかがわりえこ
絵:やまわきゆりこ
出版社:福音館書店
発行日:1977年7月
『ぐりとぐらのかいすいよく』のあらすじ:
のねずみのぐりとぐらが、波打ち際で遊んでいると、ぶどうしゅのビンが流れ着きました。中に入っていたのは手紙と地図と浮き袋。「しんせつなともだちへ しんじゅ・とうだいへきてください。うみぼうずより」
ぐりとぐらは浮き袋にゆられて「しんじゅ・とうだい」へむかいます。
『ぐりとぐらのかいすいよく』を読んだ感想:
子供の頃のわたしは頭を洗うのも怖いくらい水が苦手でした。それでなのかどうか、気づいたらこの絵本がうちにありました。うみぼうずを見て、泳ぐのもそう難しくないのではないかと思いました。ぐりとぐらだってあっという間に泳げるようになったんだから、わたしだってできる、という感じになったはずです。
イメージトレーニングはばっちりだったのに、頭を洗うときはやっぱり目に水が入ってパニックになるし、プールでは浮き輪が手放せませんでした。水に対する恐怖は、父の荒療治で克服されたという話は以前したと思うのですが、そのあとの私は週末プールの試合という子供時代を過ごしました。都大会、ジュニアオリンピックやなんとか大会とほぼ毎月遠征に行きました。競争心のかけらもない子供だったので、上位に残るということもありませんでしたが、それでもみんなでコーチのバンに乗って色々なところに行くのは楽しいものでした。
中学高校では水泳部には入ったものの肌に合わずいつもサボってばかりでしたが、スイミングには大学受験前までずっと通っていました。大学に入ってからは地元のジムでマスターズクラスに入り、また試合にも出るようになりました。夏には出身校の小学生たちのコーチとして小遣い稼ぎもしました。
妊娠中も週何回か泳ぎに行っていて、「きっとイルカみたいに水好きな子が生まれて来るんだろうなあ」と淡い夢を抱いていたのですが、全くもって期待はずれ。スイミングでは水に飛び込めず、先生が近づいて来ると泣くので私がイライラ。なのに家に帰って来ると、「プールで飛び込んだねえ」と言ってお風呂にダイブ。「違うだろ〜」と頭の中で息子の肩を掴んで揺さぶってみたりとか。。。夏にプールへ行った時も私の父を思い出して荒療治と思ったら、一回一緒に水中に沈んだだけでもう私とは水際にも行ってくれない始末。全く信用されていません。「なんだよ〜」とまたも頭の中で息子の肩をゆさゆさ。私のうみぼうずはどこにいるのかしら。
『ぐりとぐらのかいすいよく』の作者紹介:
なかがわりえこ
作家。1935年札幌生まれ。東京都立高等保母学院卒業後、「みどり保育園」の主任保母になる。72年まで17年間勤めた。62年に出版した『いやいやえん』で厚生大臣賞、NHK児童文学奨励賞、サンケイ児童出版文化賞、野間児童文芸賞推奨作品賞を受賞。翌年『ぐりとぐら』刊行。『子犬のロクがやってきた』で毎日出版文化賞受賞。主な著書に絵本『ぐりとぐら』シリーズ、『そらいろのたね』『ももいろのきりん』、童話『かえるのエルタ』、エッセイ『絵本と私』『本・子ども・絵本』。映画「となりのトトロ」の楽曲「さんぽ」の作詞でも知られる。2013年菊池寛賞受賞。『ぐりとぐら』は現在まで10カ国語に翻訳されている。